王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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白鳥雪 編

第5話

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「ちょっと資料が足りてないみたいだから、倉庫にいってくるね!」
○「お願いします」
だいぶ業務にはなれてきた。
...とは言えやはり、漢字を書いたりするのは未だに苦手なので書くのはだいたい雪がやっている。
(もっと字の勉強、したいな...)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(これでよし、と)
資料の整理が終わった。
戻ろうとしたそのとき。
ドンッ!と音がした。
「いっ...!」
(足が痛くて立てない!)
~「調子に乗りやがって!ここで留守番してな!」
先日の女性社員たちの声がする。
「誰か助けて...」
(暑い...)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○「...遅い」
帰りが遅いのに雪は心配になった。
●「雪!大変よ!」
○「...真緒さん?」
●「さっき、あのバカ部下たちが話しているのを聞いたんだけど...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「助けて...」
(そうだ、携帯!)
意識がとおのくなか、急いで雪に連絡する。
「暑いよ...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ピリリリ、と音がした。
○「...!」
《あつい
どこか 倉庫 おねがい 助けて
足 痛い あつい あつ》
メールはそこで途切れていた。
●「...何、これ。時間がない!急ぐよ!」
○「はい!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
王子様にも会えなかった。
雪にも気持ちを言えなかった。
(私、人間になって何をしたかったの?)
何も出来ずに迷惑ばかりかけて...。
(暑い...。死ぬのかな、私)
とおのく意識のなか、声を聞いた。
○「...!私の家に!早く!」
●「うん!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「...雪?」
●「気がついた!?よかった...」
「真緒、さん...」
○「...私が迂闊でした。すいません」
●「熱中症ね。熱があるから今日中は安静にして。それと、あなたを閉じこめた奴等は永久追放に処したから安心して。本当にごめんなさいね、私の管理不行き届きだわ」
「真緒さんは、悪くない、です...」
●「ありがとう。因みに雪って実は秘書のなかでは一番偉いの。だから彼が、永久追放にしたの。あんなに焦った彼、初めて見たわ...」
「本当、ですか?」
●「ふふ。少し嬉しそうね。...雪、少し席をはずしてくれる?」
○「...かしこまりました」
完全に出ていったのを見て、
真緒さんは私にこう言ってくれた。
●「多分雪は、あなたのことが好きなんだと思う。女性にあんなに接したことないから。...あなたも雪のこと、好きなんでしょう?」
「...!何で分かったんですか?」
●「見ていれば分かるわよ。初めて会ったときから、恋した女性の目だったもの!私は応援するわ。でも...お互いの思いを伝えなさい。どっちも何も気持ちを言わないなんて勿体ないわ」
そしてこう続ける。
●「あと雪ってね、薬品研究が好きなの。変な趣味だけど...たまにでいいから付き合ってあげてね。あなたがいい子なのは充分分かったから。だから、雪をおねがいね」
「あの、真緒さん、は...雪と、どんな関係、ですか?」
●「詳しくは雪に聞いた方がいいけど...私たちは同じ孤児院の出身だったの。彼には姉がいて...」
○「そこまでにしてください」
●「...はいはい、お邪魔虫は帰りますよ~っだ!」
お大事に、と言い残して帰ってしまった。
「雪、ごめんな、さい」
○「...まったく。目が離せません。しかし今回は私も手を抜いてました。やはりもっと早く彼女たちを裁くべきでしたね」
「雪、私の、気持ち、聞いて、くれる?」
まだ熱があるせいか頭がふらついている。
○「...はい」
(私にとっての王子様は、今は...)
「雪、好き」
○「...!何故私なのです?」
「いつも、助けて、くれて...温かい、から。いつも、ドキドキ、してる」
○「...私も好きです」
「...!?」
○「あなたは本当に目が離せません。...私の視界からいなくならないでください」
「...うん」
○「今日は寝てください。病気がよくなったら一緒にきてほしい場所があります」
「...うん」
○「夕飯、もってきますね」
「ありが、とう」
(気持ち、言えた...よかった...)
安堵に満ちあふれ、黒羽は眠りについたのだった...。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●「いい人が雪に出来たよ。今度一緒にここに来るかもしれないって」
真緒は墓の前にいた。
●「もうすぐあんたの命日だしさ!...天国から温かく見守ってやりなよ...花(はな)」
その儚い笑顔は誰も見ていない...。
真緒の願いは届くだろうか...。
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