ノーヴォイス・ライフ

黒蝶

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第22話

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「真島先生、こんばんは」
「こんばんは。何か困りごとですか?」
「そこの蛍光灯を換えようとしたんですけど、どうしても手が届かなくて…」
「大丈夫です。俺がやりますから」
相変わらずモテモテな真島先生の横を通りすぎて、いつもどおり旧校舎の元・天文部の部屋に忍びこむ。
誰もいない空間、図鑑を広げて読み漁る。
なんとなく教室に入りたくなくて、授業直前まで時間を潰した。
ぎりぎりのところですべりこみ、そのまま授業を受ける。
桜雪ちゃんからの返事を待ちながら休み時間を迎え、また教室を出て旧校舎へ向かった。
「あれ、穂?」
「陽向…こんな時間まで残ってるの?」
「資料片づけてた。今年メンバー少ないから、その分カバーするしかなくて…」
監査部の仕事は本当に大変だろう。
「俺もメンバーになろうか」
「そういえば、先生から誘われたって言ってたっけ。入ってもらえればありがたいけど、忙しいでしょ?」
「昼間制の生徒が忙しさで残ってる時点でやばいよ」
「そうかもしれないけど…」
元々室星先生からやってみないかと声はかけられていた。
前の学校でも若干単位はとっていたし、引き受けてもそれなりになんとかなったと思う。
このままひっそり過ごせればいいと思っていたけど、友人が困っているなら補助くらいのことはやりたい。
「岡副、資料は…夏霧もいたのか」
「先生、夏霧が監査部員になりたいって言ってます」
「…もう監査部員だろ?」
「え?」
陽向は気づいていなかったらしい。
併修生で目立たないから気づかれていなかったのだろうか。
「もう定時制の監査部員だよ。この前合同イベントの話し合いで会ったでしょ?」
「え、俺からかわれた?」
「けど、昼間制の仕事はよく知らないから補助に入れないかなって」
「穂…」
室星先生はふっと笑って陽向の手から資料を取っていった。
「ちょ、先生!?」
「ふたりで話していればいい。夏霧、定時制の分は目を通しておいた。いつも早めに提出してもらえて助かってる」
「それならよかったです」
そのまま歩いていく後ろ姿を見つめていると、陽向に声をかけられる。
「定時制の仕事が早いと思ったら穂がやってたんだ…」
「締め切りぎりぎりだと直すの大変だから、届いたその日に仕上げることにしてるんだ」
「知らなかった…。あ、そういえば今度の定通合同イベントの話なんだけど、もし予定が空いてたら手伝いに来てほしいんだ。
昼間制は5人しか集められなくて…ごめん」
「いいよ。どうせその日は授業もないし、クラスの出し物にも不参加で提出しておいたから」
「そっか」
陽向はそれ以上事情を深く聞かずにいてくれた。
そういうところにありがたさと申し訳なさを感じる。
「この前の書記してくれた子も来てくれるみたいだし、ふたりにはそのまま会計の仕事をお願いしようかな」
「え、桜雪ちゃんも?」
「あんまり人前に出たくないだろうけど、ふたりとも仕事が早いから向いてるだろうなって。
嫌なら別のところに回ってもらうけど、」
「やる」
「だと思った」
陽向の背中を見送って授業に戻る。
帰り際渡された資料を読みながら、桜雪ちゃんにメッセージを送ってみることにした。
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