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第40話
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「お疲れ様でした」
バイトを無事終え帰宅したところでひと息つく。
どうしても桜雪ちゃんを前にすると、口元を拭いたことを思い出してしまう。
明日は大丈夫だろうかと不安になりながら準備を終えた。
……翌朝、まだ緊張が消えないなか合同イベントが開幕する。
『お集まりの皆様、本日はお越しいただきありがとうございます』
簡単な出店やゲームで遊ぶくらいのものではあるけど、色々な人たちと話さないといけなくなるから大変だ。
「受付はこちらです」
「まあ、ありがとう」
おばあさんに声をかけてふと顔をあげると、向かい合わせに座っている桜雪ちゃんが何度も計算し直しているのが見えた。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。確認するのも大事だけど、楽しむのが1番だから」
桜雪ちゃんは固い表情のまま小さく頷く。
人が多いし緊張しているのかもしれない。
なんとか緊張を和らげようと思ったけど、近くで子どもが退屈そうにしているのが目に入った。
「こんにちは。何か探しものでもしてるの?」
「たっ君、アヒル!」
…駄目だ、全然分からない。
にこにこしているその子の周りには保護者らしき人物が見当たらなくて、どうすればいいのかかなり困った。
「アヒルが好きなの?」
「しゃんたしゃん、しゃんたしゃん」
「そっかそっか」
会話になっている気がしない。
すると、桜雪ちゃんが何かを折りはじめた。
きゃわきゃわ楽しそうにしているその子に話しかけながらあたりを見回してみたけど、やっぱり見当たらない。
「しゃんたしゃ!」
ふと視線を下に向けると、桜雪ちゃんが視線を合わせてサンタクロースを渡していた。
赤い折り紙のものの他に、青や緑のカラフルなサンタも手渡している。
「サンタクロースって言ってたんだ…」
その後受付担当の人たちがやってきて、ご家族と一緒に帰っていった。
「桜雪ちゃんは魔法使いだね」
「……?」
「あの子の不安を一瞬で消したでしょ?俺には真似できないなって…」
「【それは、穂さんがいてくれたからです】」
「え、俺?」
桜雪ちゃんは微笑んで俺の手を握った。
「【ありがとうございます】」
「俺、大したことしてないよ?」
「【いつも笑顔にしてもらっているので…幸せです】」
メモ帳に書かれた文字ひとつひとつが心に沁みわたる。
少しの間見つめ合っていると、近くの保育園から来た子どもたちが走ってきた。
「お姉さん、すごい!」
「折り紙できるんでしょ?私も欲しい!」
「みんな、お姉さんたちはお仕事してるから…」
桜雪ちゃんは少し迷っているみたいだったけど、園長先生と思しき人が子どもたちを連れていった。
ここは思いきって訊いてもいいだろうか…そう考えていると、もう桜雪ちゃんの手には折り紙が握られている。
「俺にも手伝わせて。あんまり折り方知らないけど、ちょっとだけなら手伝えると思う」
バイトを無事終え帰宅したところでひと息つく。
どうしても桜雪ちゃんを前にすると、口元を拭いたことを思い出してしまう。
明日は大丈夫だろうかと不安になりながら準備を終えた。
……翌朝、まだ緊張が消えないなか合同イベントが開幕する。
『お集まりの皆様、本日はお越しいただきありがとうございます』
簡単な出店やゲームで遊ぶくらいのものではあるけど、色々な人たちと話さないといけなくなるから大変だ。
「受付はこちらです」
「まあ、ありがとう」
おばあさんに声をかけてふと顔をあげると、向かい合わせに座っている桜雪ちゃんが何度も計算し直しているのが見えた。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。確認するのも大事だけど、楽しむのが1番だから」
桜雪ちゃんは固い表情のまま小さく頷く。
人が多いし緊張しているのかもしれない。
なんとか緊張を和らげようと思ったけど、近くで子どもが退屈そうにしているのが目に入った。
「こんにちは。何か探しものでもしてるの?」
「たっ君、アヒル!」
…駄目だ、全然分からない。
にこにこしているその子の周りには保護者らしき人物が見当たらなくて、どうすればいいのかかなり困った。
「アヒルが好きなの?」
「しゃんたしゃん、しゃんたしゃん」
「そっかそっか」
会話になっている気がしない。
すると、桜雪ちゃんが何かを折りはじめた。
きゃわきゃわ楽しそうにしているその子に話しかけながらあたりを見回してみたけど、やっぱり見当たらない。
「しゃんたしゃ!」
ふと視線を下に向けると、桜雪ちゃんが視線を合わせてサンタクロースを渡していた。
赤い折り紙のものの他に、青や緑のカラフルなサンタも手渡している。
「サンタクロースって言ってたんだ…」
その後受付担当の人たちがやってきて、ご家族と一緒に帰っていった。
「桜雪ちゃんは魔法使いだね」
「……?」
「あの子の不安を一瞬で消したでしょ?俺には真似できないなって…」
「【それは、穂さんがいてくれたからです】」
「え、俺?」
桜雪ちゃんは微笑んで俺の手を握った。
「【ありがとうございます】」
「俺、大したことしてないよ?」
「【いつも笑顔にしてもらっているので…幸せです】」
メモ帳に書かれた文字ひとつひとつが心に沁みわたる。
少しの間見つめ合っていると、近くの保育園から来た子どもたちが走ってきた。
「お姉さん、すごい!」
「折り紙できるんでしょ?私も欲しい!」
「みんな、お姉さんたちはお仕事してるから…」
桜雪ちゃんは少し迷っているみたいだったけど、園長先生と思しき人が子どもたちを連れていった。
ここは思いきって訊いてもいいだろうか…そう考えていると、もう桜雪ちゃんの手には折り紙が握られている。
「俺にも手伝わせて。あんまり折り方知らないけど、ちょっとだけなら手伝えると思う」
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