ノーヴォイス・ライフ

黒蝶

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第41話

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「僕これほしい!」
「こっちのお手紙の折り方教えて!」
受付が終わってすぐ、会計席の周りに子どもたちが集まってきた。
園長先生が申し訳無さそうに頭を下げる。
「ごめんなさい。どうしても止めきれなくて…」
「いえ。俺たちでよければお手伝いさせてください」
桜雪ちゃんは少し困った顔をしながらも、少しずつ子どもたちに教えているようだった。
手話や文字を使わなくても、子どもたちはなんとなく理解しているみたいだ。
「お姉さん、できたよ!」
手紙の形に折った折り紙を見せるその子の頭を、桜雪ちゃんは優しく撫でる。
少し楽しそうにしているのを見て安心した。
「みんな、お姉さんたちにお礼を言いましょう」
「ありがとうございました」
「こちらこそありがとう。楽しんでね」
深々と頭を下げる園長先生にねぎらいの言葉をかけて、会計の一角は静かになった。
「お疲れ様。桜雪ちゃん、色々なものを作れるんだね」
桜雪ちゃんは少し恥ずかしそうにしながら、散らばった紙を集めていく。
一緒に集め終わったところで腕時計を確認すると、もう見回りの次官になっていた。
「ごめん、桜雪ちゃん。ちょっといってくるね」
「【いってらっしゃい】」
手話でそう言って送り出してくれたことに感謝しつつ、自分の担当場所へ向かう。
「どうしたんですか?トラブルみたいですけど…」
「実は、焼きそばの具に偏りがあるっていちゃもんをつけられて困ってるんです」
監査部の証である腕章をつけていれば、相手も安心して話してくれる。
「全然ないとか具が多すぎるなら分かりますけど、一切れ少ないっていうのは分からないと思います。
店員さんたちもいちいち数えて出しているわけではありませんので、ご理解のほどをお願いいたします」
今度は隣から困り果てた声が聞こえる。
「すみません、クイズの景品を見ませんでしたか?数が合わなくて…」
「それなら、一部は体育館倉庫前に保管してあるって聞いてます。ちょっと他のメンバーに確認しますね」
「すみません、お手洗いはどちらかしら?」
「もしよろしければご案内します」
お客さんやスタッフとして動き回っている学生さんたちの質問にも答えながら、なんとか持ち場でやることをしっかり終わらせることができた。
ひと息つこうと思っていると、目の前にココア感が差し入れられる。
「お疲れ」
「あ、ありがとうございます」
伝説級の、憲兵姫と呼ばれている先輩。
去年高等部を卒業し、今年から新設された学部に進学したと聞いている。
手伝いに来てくれているんだと思うとありがたかった。
「穂、そっちの見回り…あ、先輩!お疲れ様です」
「お疲れ」
陽向にお茶を渡してその場を去っていく。
しばらくふたりで談笑して、桜雪ちゃんのところに戻る。
「告白するの?」
「なっ、こ、え!?」
「そんなに照れなくてもいいのに…」
「別に、そんなに照れてない」
「引き止めてごめん。ひとりじゃ大変だろうし、早く行ってきなよ」
告白…考えてなかったといえば嘘になる。
ただ、受けいれてもらえるか不安だ。
体育館に入った瞬間目に飛び込んできたのは、何人かを捕まえた室星先生と会計の机で突っ伏している桜雪ちゃんの姿だった。
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