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逆境を壊す
第70話✓
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まさか桜雪を巻きこんでしまうことになるとは思わなかった。
ただ、黒川に本音がぶつけられたことに後悔はない。
「ひとまずこれ巻くね」
水道で濡らした新品のハンカチを絞って、それを赤くなっている桜雪の手首に巻く。
彼女はなんだか申し訳なさそうな顔をしていた。
「そんなに俯かないで。俺はあいつに言いたいことを言えたし、結構すっきりしているんだ」
「……」
桜雪に両手で右手を掴まれたけど、やっぱり感覚がなくて苦笑することしかできない。
「やっぱりよく見てるね。ばれない自信あったのにな…」
桜雪の不安そうな顔を見て、左手でそっと頭を撫でる。
このまま黙っているのが嫌で、少しずつ自分の気持ちを話してみることにした。
「やっぱり、気持ちをぶつけるのはちょっと怖かった。特に黒川には憎しみをぶつけちゃいそうで…だからずっと避けてたんだ。
だけど、今日ちゃんと決別できたと思う。SKIRDのキリじゃなくて、夏霧穂として話ができてよかった。…ありがとう。全部桜雪のおかげだよ」
「……!」
彼女は驚いた様子で真っ直ぐ見つめ返してきた。
自覚がないようだけど、俺は相当救われている。
「やっとしがらみ全部断ち切れてすっきりしたんだ。独りだったらどうするか一生決めかねていたと思う。
だから…ありがとう桜雪。やっぱり君は魔法使ぃみたいだ」
「…【よく頑張りました】」
桜雪は俺の右手を握ったまま、文字をさっと書いて見せてくれた。
彼女は本当にいい人だ。
「ありがとう。桜雪もお疲れ様。沢山苦しいことを乗り越えてきたんだもんね」
「【そんな大それたことはしてないよ】」
「俺からすれば、桜雪だってすごいよ」
帰り道、桜雪を送ってからマンションに戻るとりっ君が立っていた。
「今日はなんかすっきりした顔してるな」
「過去にケリをつけてきたんだ」
「…話したのか?」
「少しだけ。だけど、俺はもう黒川の側にいたくない。自分が歪んでしまいそうだから」
ずっと怖かった。
黒川と顔を合わせたら責めてしまいそうで…悪い人間になりそうで不安だったんだ。
だけどそれは、終わってしまえばあっという間の出来事だった。
「ちゃんと決別できたよ」
「…そうか」
「りっ君がずっと励ましてくれたから、今日まで頑張れた。…ありがとう」
「おまえが頑張っただけだ。…よかったな、みい」
頭を撫でてくれた手は相変わらず優しい。
小さい頃から、落ちこんだときは必ずそうして励ましてくれた。
そのぬくもりに支えられてきたんだ。
「今度は俺がりっ君の悩み事を解決できたらいいな」
「今のところ悩みはないけど、どうしようもなくなったら頼るかもしれない。…まあ、今は頼られたいけど」
グータッチしてからそのまま分かれる。
このまま明るい未来に進めるように、ただそれだけを祈って。
ただ、黒川に本音がぶつけられたことに後悔はない。
「ひとまずこれ巻くね」
水道で濡らした新品のハンカチを絞って、それを赤くなっている桜雪の手首に巻く。
彼女はなんだか申し訳なさそうな顔をしていた。
「そんなに俯かないで。俺はあいつに言いたいことを言えたし、結構すっきりしているんだ」
「……」
桜雪に両手で右手を掴まれたけど、やっぱり感覚がなくて苦笑することしかできない。
「やっぱりよく見てるね。ばれない自信あったのにな…」
桜雪の不安そうな顔を見て、左手でそっと頭を撫でる。
このまま黙っているのが嫌で、少しずつ自分の気持ちを話してみることにした。
「やっぱり、気持ちをぶつけるのはちょっと怖かった。特に黒川には憎しみをぶつけちゃいそうで…だからずっと避けてたんだ。
だけど、今日ちゃんと決別できたと思う。SKIRDのキリじゃなくて、夏霧穂として話ができてよかった。…ありがとう。全部桜雪のおかげだよ」
「……!」
彼女は驚いた様子で真っ直ぐ見つめ返してきた。
自覚がないようだけど、俺は相当救われている。
「やっとしがらみ全部断ち切れてすっきりしたんだ。独りだったらどうするか一生決めかねていたと思う。
だから…ありがとう桜雪。やっぱり君は魔法使ぃみたいだ」
「…【よく頑張りました】」
桜雪は俺の右手を握ったまま、文字をさっと書いて見せてくれた。
彼女は本当にいい人だ。
「ありがとう。桜雪もお疲れ様。沢山苦しいことを乗り越えてきたんだもんね」
「【そんな大それたことはしてないよ】」
「俺からすれば、桜雪だってすごいよ」
帰り道、桜雪を送ってからマンションに戻るとりっ君が立っていた。
「今日はなんかすっきりした顔してるな」
「過去にケリをつけてきたんだ」
「…話したのか?」
「少しだけ。だけど、俺はもう黒川の側にいたくない。自分が歪んでしまいそうだから」
ずっと怖かった。
黒川と顔を合わせたら責めてしまいそうで…悪い人間になりそうで不安だったんだ。
だけどそれは、終わってしまえばあっという間の出来事だった。
「ちゃんと決別できたよ」
「…そうか」
「りっ君がずっと励ましてくれたから、今日まで頑張れた。…ありがとう」
「おまえが頑張っただけだ。…よかったな、みい」
頭を撫でてくれた手は相変わらず優しい。
小さい頃から、落ちこんだときは必ずそうして励ましてくれた。
そのぬくもりに支えられてきたんだ。
「今度は俺がりっ君の悩み事を解決できたらいいな」
「今のところ悩みはないけど、どうしようもなくなったら頼るかもしれない。…まあ、今は頼られたいけど」
グータッチしてからそのまま分かれる。
このまま明るい未来に進めるように、ただそれだけを祈って。
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