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第1話
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ー***ー
「お母さん、おはよう」
「おはようございます!」
私はお母さんのお手伝いをするのが日課になっていた。
お母さんの左眼は、私と同じアイスブルー。
だが、右目は吸いこまれそうな程綺麗な漆黒だ。
(いつ見ても綺麗だな...)
オッドアイというものだと、お父さんは言っていた。
「何かついていますか?」
「ううん、なんでもない!」
お母さんは綺麗だと言ったらいつも悲しそうにするから、胸のうちに留めておくことにしている。
「作り方、これで合ってる?」
「はい!メイはとってもお料理が上手ですね」
「そうかな...?」
「はい!」
お母さんはとても優しい。
でも、時々憂鬱そうにしている時があるから心配ではある。
(そろそろ、かな)
「メイ、ルイを起こしてきてもらってもいいですか?」
「うん、起こしてくるね!」
私はぱたぱたとルイの部屋へ行った。
(ルイ、起きてるかな?)
ルイを起こしに行く。
この時間が、今の私たちの秘密の時間のうちの一つだ。
多分、お母さんたちは気づいていない。
知ってしまったら、悲しむだろうから。
ー****ー
「...イ」
何か声が聞こえる。
「ルイ、起きて!もう時間だよ?」
「...ああ、おはよう」
「寝坊したら大変だよ?」
「そうだけど...んっ!」
僕は有無を言わさず一気に口づけた。
「これでもまだ同じことを言う?」
「そ、それは...」
僕はそのまま抱きしめる。
ここでだけは、誰の目も気にせずにいられるから。
『仲のいい双子』ではなく...【あの日の約束】どおり、『恋人』として。
...幼い頃、僕たちは魔女の家でこっそり約束した。
《僕のお嫁さんになってください!》
それからずっと、秘密の関係は続いている。
「い、いきなりキスはダメだよ...」
「いいでしょ、誰もいないんだから」
「もう...」
そう言って恥ずかしそうに笑うメイが僕は好きだ。
「...いつお母さんたちに話そうか」
「私たちの関係のこと?」
「それもだけど...」
僕はメイの制服の長い袖を捲った。
「『これ』のことだよ。本当に言わなくていいの?」
「...今は大丈夫。お母さんやお父さんに迷惑はかけられないし、ルイが側にいてくれるから」
こうしてこの瞬間は笑っているけれど、メイは...
(こっそりお父さんに知らせよう)
僕一人では、できることが少ないから。
ー**ー
「お父さん」
「どうしたの、ルイ」
突然話しかけられて、俺は少し焦った。
「あのね、メイやお母さんには言わないでほしいんだけど...」
ルイから聞かされたのは、メイがおかれている状況だった。
「それなら、この前の傷は...」
ルイは沈黙した。
(可能性に気づいたのに、何もできなかったな)
「取り敢えず学校に行っておいで?あとは俺がなんとかするよ」
「お父さん、ごめんなさい」
ルイが泣きそうな顔で俺にそう言った。
メルの事まで気遣い、俺だけにこうして打ち明けてくれたのだと思うと...謝罪しなければならないのは俺の方なのに。
「ルイが悪いわけじゃない。この家のみんな、誰も悪くないんだよ。だから...話してくれてありがとう」
そっと撫でると、ルイはほっとしたように頬を綻ばせた。
「それじゃあ行ってきます!」
「うん、いってらっしゃい」
ルイが出たあと、俺は感じていた気配に声をかけた。
「いつから聞いてたの?...メル」
ー*ー
「はじめからです」
カムイに嘘は通用しない。
だから私は正直に答えることにした。
「私が普通だったら、こんなことには...」
「ほら、そうやって自分を責めると思ったからルイもメイも言えなかったんだよ。...メルが普通じゃないなら、俺も普通じゃない。...だから、誰かが悪いわけじゃないんだ」
「カムイ...」
何年たっても変わらない。
いつだって、私はカムイに支えている。
(話したいことがあったからきたんでした!)
「カムイ、その...メイのことなのですが、実はゴミ箱の中にこれが入っていたんです」
「メル、それ捨てないで。...これを学校に証拠として提出しちゃおう」
「...はい」
メイがどんな思いで堪えてきたのかと思うと涙が止まらない。
そんな私の肩を、カムイはそっと抱きしめてくれた。
(護ってもらってばかりではいられない。だから...今度は私がみんなを護る番です)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
グレーテルを待ち受けるのは、修羅の道。
それを支えるヘンゼルは、今日も密かにグレーテルにキスを一つ落としました。
「僕が護るから」
震えるグレーテルの手を握り、二人は教室へと入っていきました。
『秘密の恋』、『学校での秘密』...たとえ間違いであったとしても、二人は共に進むのです。
「お母さん、おはよう」
「おはようございます!」
私はお母さんのお手伝いをするのが日課になっていた。
お母さんの左眼は、私と同じアイスブルー。
だが、右目は吸いこまれそうな程綺麗な漆黒だ。
(いつ見ても綺麗だな...)
オッドアイというものだと、お父さんは言っていた。
「何かついていますか?」
「ううん、なんでもない!」
お母さんは綺麗だと言ったらいつも悲しそうにするから、胸のうちに留めておくことにしている。
「作り方、これで合ってる?」
「はい!メイはとってもお料理が上手ですね」
「そうかな...?」
「はい!」
お母さんはとても優しい。
でも、時々憂鬱そうにしている時があるから心配ではある。
(そろそろ、かな)
「メイ、ルイを起こしてきてもらってもいいですか?」
「うん、起こしてくるね!」
私はぱたぱたとルイの部屋へ行った。
(ルイ、起きてるかな?)
ルイを起こしに行く。
この時間が、今の私たちの秘密の時間のうちの一つだ。
多分、お母さんたちは気づいていない。
知ってしまったら、悲しむだろうから。
ー****ー
「...イ」
何か声が聞こえる。
「ルイ、起きて!もう時間だよ?」
「...ああ、おはよう」
「寝坊したら大変だよ?」
「そうだけど...んっ!」
僕は有無を言わさず一気に口づけた。
「これでもまだ同じことを言う?」
「そ、それは...」
僕はそのまま抱きしめる。
ここでだけは、誰の目も気にせずにいられるから。
『仲のいい双子』ではなく...【あの日の約束】どおり、『恋人』として。
...幼い頃、僕たちは魔女の家でこっそり約束した。
《僕のお嫁さんになってください!》
それからずっと、秘密の関係は続いている。
「い、いきなりキスはダメだよ...」
「いいでしょ、誰もいないんだから」
「もう...」
そう言って恥ずかしそうに笑うメイが僕は好きだ。
「...いつお母さんたちに話そうか」
「私たちの関係のこと?」
「それもだけど...」
僕はメイの制服の長い袖を捲った。
「『これ』のことだよ。本当に言わなくていいの?」
「...今は大丈夫。お母さんやお父さんに迷惑はかけられないし、ルイが側にいてくれるから」
こうしてこの瞬間は笑っているけれど、メイは...
(こっそりお父さんに知らせよう)
僕一人では、できることが少ないから。
ー**ー
「お父さん」
「どうしたの、ルイ」
突然話しかけられて、俺は少し焦った。
「あのね、メイやお母さんには言わないでほしいんだけど...」
ルイから聞かされたのは、メイがおかれている状況だった。
「それなら、この前の傷は...」
ルイは沈黙した。
(可能性に気づいたのに、何もできなかったな)
「取り敢えず学校に行っておいで?あとは俺がなんとかするよ」
「お父さん、ごめんなさい」
ルイが泣きそうな顔で俺にそう言った。
メルの事まで気遣い、俺だけにこうして打ち明けてくれたのだと思うと...謝罪しなければならないのは俺の方なのに。
「ルイが悪いわけじゃない。この家のみんな、誰も悪くないんだよ。だから...話してくれてありがとう」
そっと撫でると、ルイはほっとしたように頬を綻ばせた。
「それじゃあ行ってきます!」
「うん、いってらっしゃい」
ルイが出たあと、俺は感じていた気配に声をかけた。
「いつから聞いてたの?...メル」
ー*ー
「はじめからです」
カムイに嘘は通用しない。
だから私は正直に答えることにした。
「私が普通だったら、こんなことには...」
「ほら、そうやって自分を責めると思ったからルイもメイも言えなかったんだよ。...メルが普通じゃないなら、俺も普通じゃない。...だから、誰かが悪いわけじゃないんだ」
「カムイ...」
何年たっても変わらない。
いつだって、私はカムイに支えている。
(話したいことがあったからきたんでした!)
「カムイ、その...メイのことなのですが、実はゴミ箱の中にこれが入っていたんです」
「メル、それ捨てないで。...これを学校に証拠として提出しちゃおう」
「...はい」
メイがどんな思いで堪えてきたのかと思うと涙が止まらない。
そんな私の肩を、カムイはそっと抱きしめてくれた。
(護ってもらってばかりではいられない。だから...今度は私がみんなを護る番です)
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グレーテルを待ち受けるのは、修羅の道。
それを支えるヘンゼルは、今日も密かにグレーテルにキスを一つ落としました。
「僕が護るから」
震えるグレーテルの手を握り、二人は教室へと入っていきました。
『秘密の恋』、『学校での秘密』...たとえ間違いであったとしても、二人は共に進むのです。
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