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第2話
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ー***ー
「...」
私は自分の机の惨状を目で覆いたくなった。
『ルイ様に近づくな化け物!』
『死ね!消えろ!』
いくつも文字が重なっていて、頭が痛くなる。
机の中には生ゴミが詰められていた。
(いつものことだけど、どうしてこうなんだろう)
【人はみんな違うからいいんだよ】
お父さんはそう言っていたけれど、これを見るととてもそうとは思えない。
実は、ルイとの関係が露呈しそうになったことがある。
ルイは容姿も性格もイケメンだ。
だから...だからこそみんなの人気者なんだと思う。
(私は地味で根暗だからダメなのかな)
双子であることを周りに知られていないことが多く、今回もその一例だ。
「メイ...手伝うよ」
「ありがとう」
ルイが掃除道具を持ってきてくれる。
それを見てひそひそと話す人混みの中に、見覚えのある体が見えた。
「何やってんの?」
「ああ、おはようサン。ちょっと掃除をしていたんだ」
「メイの机の掃除?俺も手伝おうか?」
「ううん、大丈夫。ありがとう」
これ以上騒ぎを大きくするわけにはいかない。
そう思った私は、サンにエリスのことをお願いした。
(本当は私が行ければよかったんだけど...)
どうやらこの蒼い瞳は化け物の色らしい。
だから、学校ではできるだけ二人とは話さないようにしている。
学校なんて行きたくないけど、お母さんやお父さんを悲しませるわけにはいかないから。
「ねえ、メイ」
「どうしたの?」
ルイがこそっと耳打ちした。
「...二人で授業サボろうか」
ー****ー
僕は傷つくメイを見ていられなかった。
授業の単位は足りていない訳じゃない。
だから、休んでも問題はないはずだ。
「でも、それって問題になるんじゃ...」
「サンのお母さんとエリスのお父さんから聞いたんだ。二人ともよくサボってたって。...いい場所があるって教えてくれたよ」
「でも、」
「大丈夫!お母さんたちには絶対にバレないから」
お父さんに言ったことも内緒にして、僕はメイの腕をひっぱる。
「わふっ...」
そしてそのまま走り出す。
走って、走って、ひたすら走って...ようやくたどり着いたその場所に、何故か二つの影があった。
「二人も授業出ないの?」
「エリスが絡まれてたから助けてきた」
(ぼこぼこにしてきた、の間違いでは...)
初めは両親が仲がいいからという理由だけで一緒にいたけれど、今では四人で友だちだ。
エリスは可愛らしい雰囲気があるせいか、はたまた体が弱いせいか、教室に馴染めずにいるらしい。
エリスを護っているのが、僕やメイと三つ離れたサンだ。
「結局みんな考えることは同じなんだね」
「エリス、朝行けなくてごめんね」
「...気にしないで。その、私は今ここで会えたからそれでいい、し...」
「エリス、俺たち相手にはゆっくり話して大丈夫だから!」
「う、うん...」
緊張しているのか、エリスはいつもどこかぎこちない。
僕は隣にいるメイに視線をうつす。
(メイ、また我慢してる)
ー***ー
この二人の前で泣くわけにはいかない。
(学校、やめたいな...)
みんなに迷惑をかけて、自分も嫌な思いをして...それで何かいいことがあるのだろうか。
「メイ、あとで話そう」
ルイの優しい囁きに、私はこくりと頷いた。
「ここでみんなで勉強するか!」
「それがいいね」
「エリス、この前の問題の続きやろうか」
「う、うん!」
エリスは妹みたいなもので、私にはよくなついてくれている。
勿論、他の二人にもだけど。
私もエリスを大切にしたい。
(この時間を壊したくない)
「ここは、この公式を使って...」
常に能力が発動したままの私は、ほんのすこしだけ大変だ。
式の成り立ち、答えのパターン...そういったものが瞬時に視えてしまう。
(私の実力でやりたいから、今は抑えて!)
そう念じると、なんとか抑えられる。
お母さんに習った方法のうちの一つだ。
「...」
そのとき私は気づかなかった。
...ルイが後ろで寂しそうに見つめていることに。
別の影が、こちらを見ていたことに。
「...」
私は自分の机の惨状を目で覆いたくなった。
『ルイ様に近づくな化け物!』
『死ね!消えろ!』
いくつも文字が重なっていて、頭が痛くなる。
机の中には生ゴミが詰められていた。
(いつものことだけど、どうしてこうなんだろう)
【人はみんな違うからいいんだよ】
お父さんはそう言っていたけれど、これを見るととてもそうとは思えない。
実は、ルイとの関係が露呈しそうになったことがある。
ルイは容姿も性格もイケメンだ。
だから...だからこそみんなの人気者なんだと思う。
(私は地味で根暗だからダメなのかな)
双子であることを周りに知られていないことが多く、今回もその一例だ。
「メイ...手伝うよ」
「ありがとう」
ルイが掃除道具を持ってきてくれる。
それを見てひそひそと話す人混みの中に、見覚えのある体が見えた。
「何やってんの?」
「ああ、おはようサン。ちょっと掃除をしていたんだ」
「メイの机の掃除?俺も手伝おうか?」
「ううん、大丈夫。ありがとう」
これ以上騒ぎを大きくするわけにはいかない。
そう思った私は、サンにエリスのことをお願いした。
(本当は私が行ければよかったんだけど...)
どうやらこの蒼い瞳は化け物の色らしい。
だから、学校ではできるだけ二人とは話さないようにしている。
学校なんて行きたくないけど、お母さんやお父さんを悲しませるわけにはいかないから。
「ねえ、メイ」
「どうしたの?」
ルイがこそっと耳打ちした。
「...二人で授業サボろうか」
ー****ー
僕は傷つくメイを見ていられなかった。
授業の単位は足りていない訳じゃない。
だから、休んでも問題はないはずだ。
「でも、それって問題になるんじゃ...」
「サンのお母さんとエリスのお父さんから聞いたんだ。二人ともよくサボってたって。...いい場所があるって教えてくれたよ」
「でも、」
「大丈夫!お母さんたちには絶対にバレないから」
お父さんに言ったことも内緒にして、僕はメイの腕をひっぱる。
「わふっ...」
そしてそのまま走り出す。
走って、走って、ひたすら走って...ようやくたどり着いたその場所に、何故か二つの影があった。
「二人も授業出ないの?」
「エリスが絡まれてたから助けてきた」
(ぼこぼこにしてきた、の間違いでは...)
初めは両親が仲がいいからという理由だけで一緒にいたけれど、今では四人で友だちだ。
エリスは可愛らしい雰囲気があるせいか、はたまた体が弱いせいか、教室に馴染めずにいるらしい。
エリスを護っているのが、僕やメイと三つ離れたサンだ。
「結局みんな考えることは同じなんだね」
「エリス、朝行けなくてごめんね」
「...気にしないで。その、私は今ここで会えたからそれでいい、し...」
「エリス、俺たち相手にはゆっくり話して大丈夫だから!」
「う、うん...」
緊張しているのか、エリスはいつもどこかぎこちない。
僕は隣にいるメイに視線をうつす。
(メイ、また我慢してる)
ー***ー
この二人の前で泣くわけにはいかない。
(学校、やめたいな...)
みんなに迷惑をかけて、自分も嫌な思いをして...それで何かいいことがあるのだろうか。
「メイ、あとで話そう」
ルイの優しい囁きに、私はこくりと頷いた。
「ここでみんなで勉強するか!」
「それがいいね」
「エリス、この前の問題の続きやろうか」
「う、うん!」
エリスは妹みたいなもので、私にはよくなついてくれている。
勿論、他の二人にもだけど。
私もエリスを大切にしたい。
(この時間を壊したくない)
「ここは、この公式を使って...」
常に能力が発動したままの私は、ほんのすこしだけ大変だ。
式の成り立ち、答えのパターン...そういったものが瞬時に視えてしまう。
(私の実力でやりたいから、今は抑えて!)
そう念じると、なんとか抑えられる。
お母さんに習った方法のうちの一つだ。
「...」
そのとき私は気づかなかった。
...ルイが後ろで寂しそうに見つめていることに。
別の影が、こちらを見ていたことに。
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