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第3話
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ー***ー
「ただいま...」
今日は結局、ほとんどの授業をサボってしまった。
「おかえりなさい!今日はどうでしたか?」
「...」
「メイ?」
私は嘘をつけばいいと思っていた。
でも、お母さんに嘘は言えない。
(正直に話してみようかな)
「ごめんなさい!今日はほとんどの授業をサボったの」
「そうなんですか?」
私はこくりと頷いた。
学校をサボったのだ、流石にお母さんでも怒るだろう...そう思っていた。
でも、お母さんは怒らなかった。
「そういう日もありますよね...」
そう言って、私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
(お母さん、優しすぎるよ...)
「明日はお休みしますか?数学なら私でも多分教えられますし...」
「...いいの?」
「はい!あ、でもルイにはなんて説明しましょうか...」
お母さんは学校に行ったことがないと言っていた。
家族で色々あって行けなかったのだと。
だから、休んだらダメだって言われると思ってた。
(休んでも、いいのかな?)
「...荷物置いてきてもいい?」
「はい、待ってますね」
お母さんはふわふわとした笑顔を私に向ける。
どうしてそんなに優しくしてくれるのか、私には分からない。
でも...お母さんは私を大切に思ってくれているんだと思うと、涙が止まらなかった。
(ちゃんと涙を止めてから行かないと)
ー****ー
深夜、僕はこっそりお父さんの所へ向かった。
「お父さん、今日も仕事?」
「ごめん、今日は遅くなりそうなんだ」
「...そっか」
「メイのこと?」
「どうしてそれを...」
「なんとなく、かな」
お父さんは洞察力がすごい。
見た瞬間になんでも見抜いてしまう。
本物の魔法使いみたいに、すぐに見抜いてしまう。
「仕事までまだ時間があるから、それまでだったら話し相手になろうか」
「ありがとう」
僕は今日学校で起こったことを話した。
...サボったことも含めて。
でも、お父さんは僕を責めなかった。
お父さんは小学校の途中までしか通えていないということを、エリスのお父さんから聞いていた。
「俺には、全部を理解するのは難しいと思う。でも、ルイやメイが頑張ってることはちゃんと分かるよ」
(お父さんのこういう所が好きなんだ)
口に出しては言えないけど、いつも思ってる。
僕はお父さんほど察しがいいわけじゃない。
でも、メイのことは誰よりも分かっているつもりだ。
「お願いがあるんだけど...」
僕の話を真っ直ぐに聞いて、お父さんは真剣な眼差しで告げた。
「...酷くなるかもしれないけど、それでも大丈夫?最悪、学校を辞めなきゃいけなくなるかもしれない。...その覚悟はある?」
「うん。もう決めてる」
きっとお父さんには僕とメイの関係がバレていると思う。
恐らくさっきのは、色々な意味での言葉だろう。
(僕はメイの為ならなんだってする)
「分かった。それならいいよ」
お父さんは柔らかい表情で僕に微笑みかけた。
「ごめんなさい、お父さん」
「ごめんなんて言わなくていい。...そろそろ仕事に行かないと。俺の方こそごめんね」
そう言ってお父さんはお仕事へ行ってしまった。
僕は涙を堪えて、なんとか自室へと戻った。
(もし学校を辞めることになったら、そのときはどうなるんだろう)
ー***ー
次の日、私は結局学校を休むことにした。
部屋でひたすら読書する。
「...」
本は絶対に裏切らないから。
私の大切な友人みたいなものだ。
ただ、『ヘンゼルとグレーテル』だけは好きになれない。
(『魔女』...嫌なものを思い出す)
「メイ、少しだけお留守番をお願いできませんか?」
部屋の外からお母さんの声が聞こえる。
「うん、分かった」
「私が帰ってきたら四人で少しだけ勉強しましょう」
「うん」
お母さんの足音が遠ざかっていったとき、私の頭に『?』が飛び交った。
(『四人』?どういうこと?)
お父さんの『お昼のお仕事』の休憩時間というなら分かるけれど、あと一人は誰だろう。
(まさか...)
私は少し期待してある部屋のドアをノックした。
扉が開き、そこには予想通りの人物がいた。
「どうして休んでいるの?...ルイ」
ルイはにっこり笑って、私を部屋に招き入れた。
今この家には二人きり。
そう思うと、やはり『ただの兄妹』ではいられなかった。
「ルイっ...」
ルイは私を抱きしめて、耳許でひそひそと囁いた。
「メイ...キスしてもいい?」
「ただいま...」
今日は結局、ほとんどの授業をサボってしまった。
「おかえりなさい!今日はどうでしたか?」
「...」
「メイ?」
私は嘘をつけばいいと思っていた。
でも、お母さんに嘘は言えない。
(正直に話してみようかな)
「ごめんなさい!今日はほとんどの授業をサボったの」
「そうなんですか?」
私はこくりと頷いた。
学校をサボったのだ、流石にお母さんでも怒るだろう...そう思っていた。
でも、お母さんは怒らなかった。
「そういう日もありますよね...」
そう言って、私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
(お母さん、優しすぎるよ...)
「明日はお休みしますか?数学なら私でも多分教えられますし...」
「...いいの?」
「はい!あ、でもルイにはなんて説明しましょうか...」
お母さんは学校に行ったことがないと言っていた。
家族で色々あって行けなかったのだと。
だから、休んだらダメだって言われると思ってた。
(休んでも、いいのかな?)
「...荷物置いてきてもいい?」
「はい、待ってますね」
お母さんはふわふわとした笑顔を私に向ける。
どうしてそんなに優しくしてくれるのか、私には分からない。
でも...お母さんは私を大切に思ってくれているんだと思うと、涙が止まらなかった。
(ちゃんと涙を止めてから行かないと)
ー****ー
深夜、僕はこっそりお父さんの所へ向かった。
「お父さん、今日も仕事?」
「ごめん、今日は遅くなりそうなんだ」
「...そっか」
「メイのこと?」
「どうしてそれを...」
「なんとなく、かな」
お父さんは洞察力がすごい。
見た瞬間になんでも見抜いてしまう。
本物の魔法使いみたいに、すぐに見抜いてしまう。
「仕事までまだ時間があるから、それまでだったら話し相手になろうか」
「ありがとう」
僕は今日学校で起こったことを話した。
...サボったことも含めて。
でも、お父さんは僕を責めなかった。
お父さんは小学校の途中までしか通えていないということを、エリスのお父さんから聞いていた。
「俺には、全部を理解するのは難しいと思う。でも、ルイやメイが頑張ってることはちゃんと分かるよ」
(お父さんのこういう所が好きなんだ)
口に出しては言えないけど、いつも思ってる。
僕はお父さんほど察しがいいわけじゃない。
でも、メイのことは誰よりも分かっているつもりだ。
「お願いがあるんだけど...」
僕の話を真っ直ぐに聞いて、お父さんは真剣な眼差しで告げた。
「...酷くなるかもしれないけど、それでも大丈夫?最悪、学校を辞めなきゃいけなくなるかもしれない。...その覚悟はある?」
「うん。もう決めてる」
きっとお父さんには僕とメイの関係がバレていると思う。
恐らくさっきのは、色々な意味での言葉だろう。
(僕はメイの為ならなんだってする)
「分かった。それならいいよ」
お父さんは柔らかい表情で僕に微笑みかけた。
「ごめんなさい、お父さん」
「ごめんなんて言わなくていい。...そろそろ仕事に行かないと。俺の方こそごめんね」
そう言ってお父さんはお仕事へ行ってしまった。
僕は涙を堪えて、なんとか自室へと戻った。
(もし学校を辞めることになったら、そのときはどうなるんだろう)
ー***ー
次の日、私は結局学校を休むことにした。
部屋でひたすら読書する。
「...」
本は絶対に裏切らないから。
私の大切な友人みたいなものだ。
ただ、『ヘンゼルとグレーテル』だけは好きになれない。
(『魔女』...嫌なものを思い出す)
「メイ、少しだけお留守番をお願いできませんか?」
部屋の外からお母さんの声が聞こえる。
「うん、分かった」
「私が帰ってきたら四人で少しだけ勉強しましょう」
「うん」
お母さんの足音が遠ざかっていったとき、私の頭に『?』が飛び交った。
(『四人』?どういうこと?)
お父さんの『お昼のお仕事』の休憩時間というなら分かるけれど、あと一人は誰だろう。
(まさか...)
私は少し期待してある部屋のドアをノックした。
扉が開き、そこには予想通りの人物がいた。
「どうして休んでいるの?...ルイ」
ルイはにっこり笑って、私を部屋に招き入れた。
今この家には二人きり。
そう思うと、やはり『ただの兄妹』ではいられなかった。
「ルイっ...」
ルイは私を抱きしめて、耳許でひそひそと囁いた。
「メイ...キスしてもいい?」
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