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第5話
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ー***ー
食べ終わったあと、私は約束どおり廊下にトレイを置いた。
「ルイ...」
ぬいぐるみを抱きしめながら、大好きな人を思い浮かべる。
本当はもっと堂々としていたいのに、私にはそれができない。
(...明日がきてしまう)
私にとって今一番怖いのは、日付が変わってしまうことだ。
学校が、明日が、その先の未来が...怖くてしかたない。
(明日もお休みしたいな...。それで、お母さんに能力のことを習いたい)
ルイのことを守れるようになりたい。
ひ弱な私はいつも守られてきた。
【あの日】もそうだった。
「...もう寝よう」
私はそのまま眠りについた。
...でも、その夜は酷い悪夢を視ることになった。
《どっちから食べてやろうか...》
あの声が忘れられない。
特にこの寒い時期は、忘れることができない。
(どうしたらいいの?)
ー****ー
僕は部屋の前に出されているトレイを運び、まだ起きていたお母さんに声をかける。
「お母さん、洗い物は僕がやるよ」
「でも、」
「夜遅くまで起きていたら、お父さんが心配するよ?」
「分かりました。でも、ルイも洗い終わったらすぐ寝てくださいね?」
「うん、分かってる。おやすみ」
お母さんが部屋に入ったのを確認して、僕はふう、と息をついた。
メイの様子がおかしい。
いつもならにぱっと恥ずかしそうに笑って、寝る前に部屋かキッチンに挨拶にくるはずだ。
だが、今日はそれすらない。
(ただ疲れてるっていうならいいんだけど、なんだか違う気がするんだよな...)
僕は意を決して、メイの部屋に入ることにした。
洗い終えた食器を並べ、一応ノックしてみる。
「......ないで」
「メイ?起きてるの?」
「こないで...」
「メイ?」
僕は勢いよくドアを開けた。
そこには、魘されているメイがいた。
(きっと【あの日】のことを思い出しているんだ...!)
「メイ!メイ!」
「...!」
がばっと身体を起こし、こちらを虚ろな瞳が見つめている。
「僕だよ、メイ」
「ルイ...?」
ー***ー
さっきのは夢だったのだと理解するまでに少し時間がかかった。
「大丈夫?汗びっしょりだよ?」
「...ごめんなさい」
「気にしないで。...今日はこうして眠ろうか?」
ルイが私の手を握る。
強く強く、握ってくれる。
【あの日】より大きい手を見ると、とても心強く感じた。
「今日はずっと隣にいてくれるの?」
「勿論だよ」
しばらくすると、やがてルイは寝息をたてはじめた。
(ルイ、ありがとう...)
私は繋がれたままの手を見ながら、いつの間にか眠っていた。
...今度は夢も視ない程に。
食べ終わったあと、私は約束どおり廊下にトレイを置いた。
「ルイ...」
ぬいぐるみを抱きしめながら、大好きな人を思い浮かべる。
本当はもっと堂々としていたいのに、私にはそれができない。
(...明日がきてしまう)
私にとって今一番怖いのは、日付が変わってしまうことだ。
学校が、明日が、その先の未来が...怖くてしかたない。
(明日もお休みしたいな...。それで、お母さんに能力のことを習いたい)
ルイのことを守れるようになりたい。
ひ弱な私はいつも守られてきた。
【あの日】もそうだった。
「...もう寝よう」
私はそのまま眠りについた。
...でも、その夜は酷い悪夢を視ることになった。
《どっちから食べてやろうか...》
あの声が忘れられない。
特にこの寒い時期は、忘れることができない。
(どうしたらいいの?)
ー****ー
僕は部屋の前に出されているトレイを運び、まだ起きていたお母さんに声をかける。
「お母さん、洗い物は僕がやるよ」
「でも、」
「夜遅くまで起きていたら、お父さんが心配するよ?」
「分かりました。でも、ルイも洗い終わったらすぐ寝てくださいね?」
「うん、分かってる。おやすみ」
お母さんが部屋に入ったのを確認して、僕はふう、と息をついた。
メイの様子がおかしい。
いつもならにぱっと恥ずかしそうに笑って、寝る前に部屋かキッチンに挨拶にくるはずだ。
だが、今日はそれすらない。
(ただ疲れてるっていうならいいんだけど、なんだか違う気がするんだよな...)
僕は意を決して、メイの部屋に入ることにした。
洗い終えた食器を並べ、一応ノックしてみる。
「......ないで」
「メイ?起きてるの?」
「こないで...」
「メイ?」
僕は勢いよくドアを開けた。
そこには、魘されているメイがいた。
(きっと【あの日】のことを思い出しているんだ...!)
「メイ!メイ!」
「...!」
がばっと身体を起こし、こちらを虚ろな瞳が見つめている。
「僕だよ、メイ」
「ルイ...?」
ー***ー
さっきのは夢だったのだと理解するまでに少し時間がかかった。
「大丈夫?汗びっしょりだよ?」
「...ごめんなさい」
「気にしないで。...今日はこうして眠ろうか?」
ルイが私の手を握る。
強く強く、握ってくれる。
【あの日】より大きい手を見ると、とても心強く感じた。
「今日はずっと隣にいてくれるの?」
「勿論だよ」
しばらくすると、やがてルイは寝息をたてはじめた。
(ルイ、ありがとう...)
私は繋がれたままの手を見ながら、いつの間にか眠っていた。
...今度は夢も視ない程に。
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