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泣かないver.
体調不良 久遠side
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「これから休みに入るけど、夜遊びとかしないように」
それは軽い終業式のようなもので...よくよく考えてみるとテストが1度もなかった。
「大翔、テストってまだなの...?」
「ごめん、ちゃんと説明してなかったな。通信制は2学期制だから、テストは2月。正月休みがあるからその間に勉強しておけば余裕で間に合う。
...俺は教科が多いから、だいぶ前からやらないと間に合わなくなるけどな」
苦笑しながらも大翔はとても楽しそうだ。
「今日も一緒に帰ろう。...すぐ終わらせてくるから」
「駅で待っててもいい?ここにいたら邪魔になっちゃうから」
「邪魔とは思わないけど...分かった、風邪引かないようにな」
私が頷くと、生徒会長としての仕事をこなす為に大翔はどこかへ行ってしまった。
外は真っ白な雪景色...そんななかでも街は色々な音でいっぱいになっている。
(駄目だ、吐きそう...)
「久遠」
「大翔...?」
「遅くなってごめん。丁度電車きたけど乗れそうか?」
「...うん」
ふたり並んで座っていると、真剣な眼差しが向けられる。
「早速で申し訳ないんだけど...ちょっと手伝ってほしい」
「私でよければ」
今すぐ何かするのかと思っていると、大翔はどこかへと向かって歩き出す。
...私の手を繋いだまま。
「待って...」
「...もうちょっとこっち」
もう訳も分からないまま大翔に近づくと、ぐいっと腰をひかれて横抱きにされる。
「舌、噛まないように気をつけろ」
「ありがたいけど、恥ずかしいよ...」
「ふらふらなのを放っておけるはずないだろ」
やっぱり彼は優しくて、周りをよく見ていて...そんな彼が好きで堪らない。
「ごめん」
「謝る必要なんてない」
「それじゃあ...ありがとう」
「恥ずかしいならこれ被ってて。...その方が温かいと思うから」
ブランケットのようなものでぐるぐるにされて、だんだん眠くなってしまう。
本当はもっと話したいことがあるのに、結局眠気に勝てなかった。
「久遠、起きられるか?」
「ごめん、私...」
「無理しなくていい。まだちょっと怠いんだろ?」
力なく頷くと、ぎゅっと体を抱きしめられる。「大翔...?」
「本当にごめん」
私を待たせてしまったからと、大翔はだいぶ傷ついているように見える。
そんな彼に私ができることは少ないけれど、不安を打ち消したかった。
「私は大丈夫だから...そういえば、何かすることがあるんじゃなかったっけ?」
すっかり忘れていたという表情をしながら、優しく頭を撫でてくれる。
「その話はまた後で。今はもうちょっと寝てろ」
「...うん」
なんだかいつもと天井が違う気がするのは気のせいだろうか。
気になってはいたけれど、結局また疲労や体調不良に負けて瞼をおろしてしまう。
...頼ってもらえたのがとても嬉しかった。
それは軽い終業式のようなもので...よくよく考えてみるとテストが1度もなかった。
「大翔、テストってまだなの...?」
「ごめん、ちゃんと説明してなかったな。通信制は2学期制だから、テストは2月。正月休みがあるからその間に勉強しておけば余裕で間に合う。
...俺は教科が多いから、だいぶ前からやらないと間に合わなくなるけどな」
苦笑しながらも大翔はとても楽しそうだ。
「今日も一緒に帰ろう。...すぐ終わらせてくるから」
「駅で待っててもいい?ここにいたら邪魔になっちゃうから」
「邪魔とは思わないけど...分かった、風邪引かないようにな」
私が頷くと、生徒会長としての仕事をこなす為に大翔はどこかへ行ってしまった。
外は真っ白な雪景色...そんななかでも街は色々な音でいっぱいになっている。
(駄目だ、吐きそう...)
「久遠」
「大翔...?」
「遅くなってごめん。丁度電車きたけど乗れそうか?」
「...うん」
ふたり並んで座っていると、真剣な眼差しが向けられる。
「早速で申し訳ないんだけど...ちょっと手伝ってほしい」
「私でよければ」
今すぐ何かするのかと思っていると、大翔はどこかへと向かって歩き出す。
...私の手を繋いだまま。
「待って...」
「...もうちょっとこっち」
もう訳も分からないまま大翔に近づくと、ぐいっと腰をひかれて横抱きにされる。
「舌、噛まないように気をつけろ」
「ありがたいけど、恥ずかしいよ...」
「ふらふらなのを放っておけるはずないだろ」
やっぱり彼は優しくて、周りをよく見ていて...そんな彼が好きで堪らない。
「ごめん」
「謝る必要なんてない」
「それじゃあ...ありがとう」
「恥ずかしいならこれ被ってて。...その方が温かいと思うから」
ブランケットのようなものでぐるぐるにされて、だんだん眠くなってしまう。
本当はもっと話したいことがあるのに、結局眠気に勝てなかった。
「久遠、起きられるか?」
「ごめん、私...」
「無理しなくていい。まだちょっと怠いんだろ?」
力なく頷くと、ぎゅっと体を抱きしめられる。「大翔...?」
「本当にごめん」
私を待たせてしまったからと、大翔はだいぶ傷ついているように見える。
そんな彼に私ができることは少ないけれど、不安を打ち消したかった。
「私は大丈夫だから...そういえば、何かすることがあるんじゃなかったっけ?」
すっかり忘れていたという表情をしながら、優しく頭を撫でてくれる。
「その話はまた後で。今はもうちょっと寝てろ」
「...うん」
なんだかいつもと天井が違う気がするのは気のせいだろうか。
気になってはいたけれど、結局また疲労や体調不良に負けて瞼をおろしてしまう。
...頼ってもらえたのがとても嬉しかった。
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