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泣けないver.
彼の気持ち
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「お腹すいちゃったね。そろそろ何か食べようか」
時計を見てみると、確かにもう昼食を食べてもいい時間帯になっていた。
「あそこのレストランがいいかな?」
「植物園の中にあんなものがあるとは思わなかった...」
「僕も初めて来たときに同じことを思ったよ」
然り気無く手を繋いでくれて、優翔のぬくもりをより近くで感じる。
「何が食べたい?」
「えっと、ハンバーグにしようかな。優翔は?」
「僕は和風ハンバーグにするよ。...ここ、ハンバーグの種類が沢山あってどれも美味しいんだよ」
メニューを見てみると、確かにかなりの数存在しているのが分かる。
ただ、それよりも気になったことがあった。
「...優翔、やっぱり元気がないのはどうして?」
「そう見える?」
恐る恐る頷くと、優翔は少し哀しそうな表情をしながら教えてくれた。
「詩音のこと、ずっと苦しめているんじゃないかって思ったんだ。しばらくはこうして人の目を避けながらじゃないと会えないから...。
悪いことをしている訳じゃないのに、堂々と人がいる場所で会えないのは寂しいなって」
優翔はずっと考えてくれていたのだ。
本当にこれでいいのだろうか、いつまでこうしなければならないのだろう...色々な思いが混ざっている。
(私もちゃんと言葉で伝えないと)
「私は、優翔が側にいてくれるだけで幸せなの。こんなふうに人目を忍んででも...少しの時間でもいいから、隣にいられればそれだけで幸せだよ」
「詩音...」
「私がもっと大人だったらよかったのに...ごめんなさい」
そこまで話すと、優翔はそっと頭を撫でてくれた。
「僕は何を見ていたんだろう。ありがとう。詩音のその優しさが、いつも僕を救ってくれる」
「私も優翔に支えてもらってばかりだよ。...ありがとう」
話がひと区切りついたところで料理が運ばれてくる。
「僕はもう迷わない。だから...詩音、これからも側にいてくれる?」
「勿論。こちらこそよろしくお願いします。...寧ろ迷惑をかけることが多いと思うけど、優翔がいてくれるから無敵になれる気がする」
先のことは分からないけれど、この恋が希望に満ちていることだけは分かる。
確かに危険な橋ではあるけれど、本当に大切な人が隣にいるから生きていられるのだ。
「それじゃあ食べようか。それからお土産屋さんも覗いてみよう」
「うん」
スープを飲んでハンバーグを口に運ぶ。
いつも独りで食べているものよりずっと温かくて美味しいような気がした。
...大切な人の側にいられるのは、奇跡に近い時間なのかもしれない。
時計を見てみると、確かにもう昼食を食べてもいい時間帯になっていた。
「あそこのレストランがいいかな?」
「植物園の中にあんなものがあるとは思わなかった...」
「僕も初めて来たときに同じことを思ったよ」
然り気無く手を繋いでくれて、優翔のぬくもりをより近くで感じる。
「何が食べたい?」
「えっと、ハンバーグにしようかな。優翔は?」
「僕は和風ハンバーグにするよ。...ここ、ハンバーグの種類が沢山あってどれも美味しいんだよ」
メニューを見てみると、確かにかなりの数存在しているのが分かる。
ただ、それよりも気になったことがあった。
「...優翔、やっぱり元気がないのはどうして?」
「そう見える?」
恐る恐る頷くと、優翔は少し哀しそうな表情をしながら教えてくれた。
「詩音のこと、ずっと苦しめているんじゃないかって思ったんだ。しばらくはこうして人の目を避けながらじゃないと会えないから...。
悪いことをしている訳じゃないのに、堂々と人がいる場所で会えないのは寂しいなって」
優翔はずっと考えてくれていたのだ。
本当にこれでいいのだろうか、いつまでこうしなければならないのだろう...色々な思いが混ざっている。
(私もちゃんと言葉で伝えないと)
「私は、優翔が側にいてくれるだけで幸せなの。こんなふうに人目を忍んででも...少しの時間でもいいから、隣にいられればそれだけで幸せだよ」
「詩音...」
「私がもっと大人だったらよかったのに...ごめんなさい」
そこまで話すと、優翔はそっと頭を撫でてくれた。
「僕は何を見ていたんだろう。ありがとう。詩音のその優しさが、いつも僕を救ってくれる」
「私も優翔に支えてもらってばかりだよ。...ありがとう」
話がひと区切りついたところで料理が運ばれてくる。
「僕はもう迷わない。だから...詩音、これからも側にいてくれる?」
「勿論。こちらこそよろしくお願いします。...寧ろ迷惑をかけることが多いと思うけど、優翔がいてくれるから無敵になれる気がする」
先のことは分からないけれど、この恋が希望に満ちていることだけは分かる。
確かに危険な橋ではあるけれど、本当に大切な人が隣にいるから生きていられるのだ。
「それじゃあ食べようか。それからお土産屋さんも覗いてみよう」
「うん」
スープを飲んでハンバーグを口に運ぶ。
いつも独りで食べているものよりずっと温かくて美味しいような気がした。
...大切な人の側にいられるのは、奇跡に近い時間なのかもしれない。
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