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泣けないver.
『お友だち』
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『おはよう』
「お、おはよう...」
この日はテレビ電話を使って授業をしてもらった。
『それじゃあ次はここの問題。この公式とこっちの式を使うんだけど、』
「...こっちじゃ駄目?」
『できなくはないけど、難しくない?』
「こっちの方が早いよ」
そんな話をしているとだんだん楽しくなってきて、少しだけ笑ってしまった。
『詩音?』
「ごめんなさい。やり方が色々で正解がひとつだから、こうやって一緒に解く人がいると楽しいなって思ったんだ」
『それは何となく分かる気がする...』
「講義は大丈夫なの?」
優翔から今日は講義があると聞かされていた。
だからこそテレビ電話を使うことになったのだけれど、大半は雑談で終わっているような気がする。
(どうしよう、すごく楽しい...)
『...実はそろそろ出ないといけないんだ。また帰ったら連絡してもいい?』
「うん。待ってる」
そこで画面が真っ暗になる。
優翔は本当にぎりぎりまで私につきあってくれたらしい。
「...寂しい」
机の近くに増えたテディベアを抱きしめて、問題を解きはじめる。
(やっぱりこの子がいてくれたら落ち着くな...)
──それは昨日、お土産屋さんに立ち寄ったときのこと。
「ねえ、詩音。この子はどうかな?」
「え、あ...可愛い」
ノートやアクセサリー類も沢山見たけれど、誰かに贈るのだろうと思っていたので正直に答えた。
「この子とこの子ならどっちの子が好き?」
「...こっちの子かな」
そうして私が選んだ薄く茶色がかったテディベアを、優翔は満面の笑みで渡してくれた。
...そういうわけで、私の側には『お友だち』が増えたのだ。
私が優翔に貰ってほしいと買っていたのはノート等の雑貨用品だけだったのに、優翔はそれでも嬉しそうに受け取ってくれた。
(優翔は本当に優しい...)
私の部屋にはぬいぐるみが沢山いる。
その子たちを総称して『お友だち』と呼ぶことにしているのだけれど、こういう時間が堪らなく楽しい。
膝にのせている子のおかげもあってか、あっという間に問題集を解き終えてしまった。
「...見て、やっと終わったよ」
勿論返事がかえってくることなんてないけれど、少しだけ気分が上向きになる。
「一緒にいてくれてありがとう」
そのままキッチンまで連れて行って、夕食の準備をはじめる。
軽食を作り終えて一口ずつ噛みしめながら食べていると、スマートフォンが鳴りはじめた。
(優翔から、だよね)
『詩音、問題集は...』
「解き終わったよ。...優翔?」
『ごめん、今からご飯?』
「うん」
『もしよかったらだけど、こうやって一緒に食べるのはどうかな?』
「楽しそう...」
『じゃあ決まり。それじゃあ、いただきます』
「いただきます」
画面越しに並ぶ、豪華さが違う料理。
それでもただ話せるのが楽しくて、いつもより食事がすすむ。
他愛のない会話をしているとインターホンが鳴る。
『今日は来客予定はないんだけど...ちょっと待ってね』
扉を開ける音がした瞬間、見知った顔が優翔の隣に座るのが見えた。
『悪い。俺邪魔じゃないか?』
...大翔君だ。
「お、おはよう...」
この日はテレビ電話を使って授業をしてもらった。
『それじゃあ次はここの問題。この公式とこっちの式を使うんだけど、』
「...こっちじゃ駄目?」
『できなくはないけど、難しくない?』
「こっちの方が早いよ」
そんな話をしているとだんだん楽しくなってきて、少しだけ笑ってしまった。
『詩音?』
「ごめんなさい。やり方が色々で正解がひとつだから、こうやって一緒に解く人がいると楽しいなって思ったんだ」
『それは何となく分かる気がする...』
「講義は大丈夫なの?」
優翔から今日は講義があると聞かされていた。
だからこそテレビ電話を使うことになったのだけれど、大半は雑談で終わっているような気がする。
(どうしよう、すごく楽しい...)
『...実はそろそろ出ないといけないんだ。また帰ったら連絡してもいい?』
「うん。待ってる」
そこで画面が真っ暗になる。
優翔は本当にぎりぎりまで私につきあってくれたらしい。
「...寂しい」
机の近くに増えたテディベアを抱きしめて、問題を解きはじめる。
(やっぱりこの子がいてくれたら落ち着くな...)
──それは昨日、お土産屋さんに立ち寄ったときのこと。
「ねえ、詩音。この子はどうかな?」
「え、あ...可愛い」
ノートやアクセサリー類も沢山見たけれど、誰かに贈るのだろうと思っていたので正直に答えた。
「この子とこの子ならどっちの子が好き?」
「...こっちの子かな」
そうして私が選んだ薄く茶色がかったテディベアを、優翔は満面の笑みで渡してくれた。
...そういうわけで、私の側には『お友だち』が増えたのだ。
私が優翔に貰ってほしいと買っていたのはノート等の雑貨用品だけだったのに、優翔はそれでも嬉しそうに受け取ってくれた。
(優翔は本当に優しい...)
私の部屋にはぬいぐるみが沢山いる。
その子たちを総称して『お友だち』と呼ぶことにしているのだけれど、こういう時間が堪らなく楽しい。
膝にのせている子のおかげもあってか、あっという間に問題集を解き終えてしまった。
「...見て、やっと終わったよ」
勿論返事がかえってくることなんてないけれど、少しだけ気分が上向きになる。
「一緒にいてくれてありがとう」
そのままキッチンまで連れて行って、夕食の準備をはじめる。
軽食を作り終えて一口ずつ噛みしめながら食べていると、スマートフォンが鳴りはじめた。
(優翔から、だよね)
『詩音、問題集は...』
「解き終わったよ。...優翔?」
『ごめん、今からご飯?』
「うん」
『もしよかったらだけど、こうやって一緒に食べるのはどうかな?』
「楽しそう...」
『じゃあ決まり。それじゃあ、いただきます』
「いただきます」
画面越しに並ぶ、豪華さが違う料理。
それでもただ話せるのが楽しくて、いつもより食事がすすむ。
他愛のない会話をしているとインターホンが鳴る。
『今日は来客予定はないんだけど...ちょっと待ってね』
扉を開ける音がした瞬間、見知った顔が優翔の隣に座るのが見えた。
『悪い。俺邪魔じゃないか?』
...大翔君だ。
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