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其の弐
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「ここが、あたらしいおうち?」
「うん。しばらくここで暮らすんだ。もう少し落ち着いたら元のおうちの様子も見に行こう」
「うん」
まだ小さいのにしっかりしている。
…そうさせてしまっているのは、情けないことに何もできなかった私なのかもしれない。
「こんにちは」
「あ、よしおにいさんだ!」
「穂乃ちゃん、元気そうだね」
普段は人見知りする穂乃も、何故か義政さんにはよく懐いていた。
もうすぐ入学式というところで亡くなってしまった母を心に思い描く。
「お金のやりくり上手なんだね」
「そんなことないです」
高校生になったらバイトできるところへ進学するつもりだが、あと2年ほどはそれが不可能だ。
町の支援制度を使ってなんとかなっているが、自分の小遣いはこっそり内職で貯めている。
「…だけど、その年で内職してたら体壊さない?」
「どうして、」
「分かるよ。俺もあの家を捨てたときそうだったから」
義政さんによると、神宮寺本家は相手の事情を考えずになんでも消せばいいと思っているらしい。
その相手が人間であっても、邪魔なら殺してしまうのだと話してくれた。
相当お金があるというのと証拠が残らないことから、警察が逮捕してくれるほどはないらしい。
「それじゃあ、今日の鍛錬前に俺の家族を紹介するよ」
「かぞく…?」
「うん。──風、しっかり挨拶して」
紙から現れたのは、さらさらの髪を束ねた女性だ。
「…式神?」
《はじめまして。私は風雲と申します。義政様のお供です》
「ふううん…ふうちゃんだ」
穂乃は緊張した様子で風雲に手を伸ばす。
その手を優しく包みこむ姿を見て、少しだけ母を思い出した。
《それで構いません。彼女は私が見ておきましょう》
「…いいのか?」
《はい》
「ありがとう。それじゃあ穂乃、風お姉さんといい子にしてるんだぞ」
「はい」
「すぐ帰ってくるから」
「いってらっしゃい!」
ふたりに見送られ、辿りついたのは道場のような場所だった。
「風は子ども好きだから任せるとして…俺たちは鍛錬をはじめようか」
「よろしくお願いします」
私はあの日から本格的に鍛錬を始めた。
穂乃が保育園へ行っている間や学校が休みになった日、義政さんは必ず来てくれる。
木刀を片手で振り回していたが、竹刀であっさり振り落とされた。
「ちょっと動きが読みやすいかな。足の動きにバリエーションつけて、相手を撹乱することができればもう少し戦いやすくなるはず」
「分かりました」
「今のはすごくよかったよ。強いて言うなら、もう少し腕の動きを小さくしないと隙だらけになる」
「すみません」
初日から一本も取れたことがない。
基礎体力は自己流の特訓でついていたらしく、とにかく実戦形式の修行が多かった。
言い方が冷たいわけでもなく、ほんわかした雰囲気なのにとても強い。
「もう少し練習したら休憩挟もう。体が持たないよ」
「……はい」
相変わらず警戒してしまうものの、休憩してから鍛錬は夕方まで続いた。
「うん。しばらくここで暮らすんだ。もう少し落ち着いたら元のおうちの様子も見に行こう」
「うん」
まだ小さいのにしっかりしている。
…そうさせてしまっているのは、情けないことに何もできなかった私なのかもしれない。
「こんにちは」
「あ、よしおにいさんだ!」
「穂乃ちゃん、元気そうだね」
普段は人見知りする穂乃も、何故か義政さんにはよく懐いていた。
もうすぐ入学式というところで亡くなってしまった母を心に思い描く。
「お金のやりくり上手なんだね」
「そんなことないです」
高校生になったらバイトできるところへ進学するつもりだが、あと2年ほどはそれが不可能だ。
町の支援制度を使ってなんとかなっているが、自分の小遣いはこっそり内職で貯めている。
「…だけど、その年で内職してたら体壊さない?」
「どうして、」
「分かるよ。俺もあの家を捨てたときそうだったから」
義政さんによると、神宮寺本家は相手の事情を考えずになんでも消せばいいと思っているらしい。
その相手が人間であっても、邪魔なら殺してしまうのだと話してくれた。
相当お金があるというのと証拠が残らないことから、警察が逮捕してくれるほどはないらしい。
「それじゃあ、今日の鍛錬前に俺の家族を紹介するよ」
「かぞく…?」
「うん。──風、しっかり挨拶して」
紙から現れたのは、さらさらの髪を束ねた女性だ。
「…式神?」
《はじめまして。私は風雲と申します。義政様のお供です》
「ふううん…ふうちゃんだ」
穂乃は緊張した様子で風雲に手を伸ばす。
その手を優しく包みこむ姿を見て、少しだけ母を思い出した。
《それで構いません。彼女は私が見ておきましょう》
「…いいのか?」
《はい》
「ありがとう。それじゃあ穂乃、風お姉さんといい子にしてるんだぞ」
「はい」
「すぐ帰ってくるから」
「いってらっしゃい!」
ふたりに見送られ、辿りついたのは道場のような場所だった。
「風は子ども好きだから任せるとして…俺たちは鍛錬をはじめようか」
「よろしくお願いします」
私はあの日から本格的に鍛錬を始めた。
穂乃が保育園へ行っている間や学校が休みになった日、義政さんは必ず来てくれる。
木刀を片手で振り回していたが、竹刀であっさり振り落とされた。
「ちょっと動きが読みやすいかな。足の動きにバリエーションつけて、相手を撹乱することができればもう少し戦いやすくなるはず」
「分かりました」
「今のはすごくよかったよ。強いて言うなら、もう少し腕の動きを小さくしないと隙だらけになる」
「すみません」
初日から一本も取れたことがない。
基礎体力は自己流の特訓でついていたらしく、とにかく実戦形式の修行が多かった。
言い方が冷たいわけでもなく、ほんわかした雰囲気なのにとても強い。
「もう少し練習したら休憩挟もう。体が持たないよ」
「……はい」
相変わらず警戒してしまうものの、休憩してから鍛錬は夕方まで続いた。
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