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其の肆
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それからしばらく平穏が続いた。
やっぱり義政さんの鍛錬は厳しかったけど、前より体力がついた気がする。
気のせいだと言われてしまえばそれまでだが、義政さんにも褒めてもらえたので思い上がりではないはずだ。
「おねえちゃん」
「どうした?」
「さっき、へんな人がついてきてた」
平穏な日々というのは壊れるのは一瞬で、大切な思い出ほどすぐ色あせてしまう。
「どんな人だった?」
「フードをかぶった人だったけど、あとは分からない」
「…そうか。しばらく帰りも迎えに行っていい?」
「うん。おねがいします」
なんとなく不安で行きは送っていたが、帰りは友だちができたという話を聞いて大丈夫だろうと思っていた。
今日は仕事で忙しいと聞いているが、繋がるか分からない相手に連絡する。
3コールくらいで、いつもののんびりした声が耳に届いた。
『何かあった?』
「…穂乃が、不審者につけまわされたみたいです」
『そっか。…思ったより早かったな』
「どういうことですか?」
『目をつけられてるのは知ってたんだ。だけど、流石に人の目が多い場所には現れないだろうと思ってた。
…ごめん、俺が甘かったよ。あいつならやりかねない』
「あいつ?」
真剣な声にそう返すと、電話の向こうで困った顔をしているのが想像できた。
だが、なんとなく聞いておかないといけない気がする。
『神宮寺義仁。あの男は手段を選ばないし、誰より神宮寺の家に認められたがってる。
そのために必要なことがあればなんでもしてくるはずだ』
「そんなことをしたら自分も無事じゃすまないだろうに…。それでもやってくるんですね」
『あの男が出てくるってことは、神宮寺本家にもばれてるってことになる』
義政さんが焦っているように感じるのは気のせいではないだろう。
「明日からもう少し家の周りを警戒します」
『ごめんね。俺がもっとしっかりしていれば見つからなかっただろうに…』
「義政さんのせいではありません。諦めてくれないのが悪いんです」
『詩乃ちゃんならそう言うと思った』
やっと義政さんが笑ってくれてほっとする。
私はともかく穂乃が襲われないよう気をつけなければならない。
《バア!》
「いや…!」
穂乃の声と、それとは別の人間ではない何かの声。
通話は切らずにスピーカーにして、すぐ近くに置いてあった小刀を握る。
《バ、バ……》
「ご近所迷惑だから黙ってくれ」
まだ夕方で紅は使えない。
それなら、今持っている札などの道具で戦う以外選択肢がないだろう。
「──失せろ」
爆風とともに相手がぼろぼろと崩れだす。
できるだけ穂乃に見せたくなくて抱きしめた。
「おねえちゃん…?」
「もう大丈夫だ。怖いのはいなくなった」
『いやあ、相変わらずすさまじい霊力だね』
「義政さんほどではありません。けど、私は私でできることをやります」
『前向きでいいね』
少し話して電話が切れた後、もう一度穂乃を抱きしめる。
この場所がばれてしまったなら、いつ襲われてもおかしくない。
義政さんに習ったとおりに結界を作り、その日は1日寝ずに過ごした。
やっぱり義政さんの鍛錬は厳しかったけど、前より体力がついた気がする。
気のせいだと言われてしまえばそれまでだが、義政さんにも褒めてもらえたので思い上がりではないはずだ。
「おねえちゃん」
「どうした?」
「さっき、へんな人がついてきてた」
平穏な日々というのは壊れるのは一瞬で、大切な思い出ほどすぐ色あせてしまう。
「どんな人だった?」
「フードをかぶった人だったけど、あとは分からない」
「…そうか。しばらく帰りも迎えに行っていい?」
「うん。おねがいします」
なんとなく不安で行きは送っていたが、帰りは友だちができたという話を聞いて大丈夫だろうと思っていた。
今日は仕事で忙しいと聞いているが、繋がるか分からない相手に連絡する。
3コールくらいで、いつもののんびりした声が耳に届いた。
『何かあった?』
「…穂乃が、不審者につけまわされたみたいです」
『そっか。…思ったより早かったな』
「どういうことですか?」
『目をつけられてるのは知ってたんだ。だけど、流石に人の目が多い場所には現れないだろうと思ってた。
…ごめん、俺が甘かったよ。あいつならやりかねない』
「あいつ?」
真剣な声にそう返すと、電話の向こうで困った顔をしているのが想像できた。
だが、なんとなく聞いておかないといけない気がする。
『神宮寺義仁。あの男は手段を選ばないし、誰より神宮寺の家に認められたがってる。
そのために必要なことがあればなんでもしてくるはずだ』
「そんなことをしたら自分も無事じゃすまないだろうに…。それでもやってくるんですね」
『あの男が出てくるってことは、神宮寺本家にもばれてるってことになる』
義政さんが焦っているように感じるのは気のせいではないだろう。
「明日からもう少し家の周りを警戒します」
『ごめんね。俺がもっとしっかりしていれば見つからなかっただろうに…』
「義政さんのせいではありません。諦めてくれないのが悪いんです」
『詩乃ちゃんならそう言うと思った』
やっと義政さんが笑ってくれてほっとする。
私はともかく穂乃が襲われないよう気をつけなければならない。
《バア!》
「いや…!」
穂乃の声と、それとは別の人間ではない何かの声。
通話は切らずにスピーカーにして、すぐ近くに置いてあった小刀を握る。
《バ、バ……》
「ご近所迷惑だから黙ってくれ」
まだ夕方で紅は使えない。
それなら、今持っている札などの道具で戦う以外選択肢がないだろう。
「──失せろ」
爆風とともに相手がぼろぼろと崩れだす。
できるだけ穂乃に見せたくなくて抱きしめた。
「おねえちゃん…?」
「もう大丈夫だ。怖いのはいなくなった」
『いやあ、相変わらずすさまじい霊力だね』
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『前向きでいいね』
少し話して電話が切れた後、もう一度穂乃を抱きしめる。
この場所がばれてしまったなら、いつ襲われてもおかしくない。
義政さんに習ったとおりに結界を作り、その日は1日寝ずに過ごした。
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