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夏彦ルート
第31話
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「ありがとうございました」
次の日、私はお店の奥にある個室で作業をさせてもらっていた。
もう少しで花菜の洋服ができあがる。
ただ、今日はソルトの機嫌が少し悪い。
「…ごめんなさい。一緒に遊ぼう」
お気に入りのボールを転がすと、ソルトは嬉しそうに追いかけはじめる。
扉が閉まっているとはいえお店の方に行ってしまわないか心配だったけれど、なんとか室内で満足したようだ。
「もう少し遅い時間になったら散歩に行こう」
私もソルトも人混みが得意な方ではない。
そのうえ先日体調が悪くなって迷惑をかけてしまったので、夕方から夜の間に行っている。
「…ソルト、こういうのはどうかな?」
余った布で作ったスカーフを首に巻いてみたけれど、嫌がっている様子はない。
そのままつけたままにしておくことにして作業に戻ろうとしたとき、扉が控えめにノックされる。
「…?」
開けていいのか分からずに静止していると、がちゃりとノブが回される音がする。
夏彦に鍵を閉めておくように言われていたので勝手に入ってこられることはないけれど、彼なら鍵を持っているはずだ。
…それじゃあ、今外にいるのは誰?
「本当に何もないみたいだ」
「別の場所を当たるぞ」
聞いたことがない声がふたつして、足音が遠ざかっていく。
お店の人でもなさそうだし、不審者なのではないだろうか。
夏彦に連絡を取るべきか迷っていると、ポケットで携帯電話が動き出す。
離れていても簡単に連絡がとれるからと持たせてくれたものだけれど、全く使い慣れていない。
《絶対にドアを開けないように。今ちょっと厄介な人たちが来てるから、音もたてないように気をつけて。
俺は大丈夫だし、過剰に不安になる必要はないよ》
メールにはそう書かれていたけれど、外の様子が気になって仕方がない。
ソルトの方を見ると、遊び疲れたのかぐっすり寝ていた。
大丈夫、これならきっと怖がらせることはない。
「──お願い、蕀さんたち」
グローブをはずし、扉に向かって手をかざす。
少しずつ蔦を外に出していくけれど、人が沢山いることしか分からない。
誰かが怒っているのを感じてよく確認してみると、夏彦のものらしいことが判明した。
他にはお店の人じゃない分からない人が5,6人…欲張りな感情を持っている気がする。
人を何人傷つけてもいい、自分たちの為のお金がほしい…多分、そんな気持ちだ。
「…どうしよう」
助けに行けるだけの力があればよかったのに、私にはそんな力はない。
強盗と呼ばれるその人たちはきっと強いはず。
私の力だけで勝てるだろうか。
次の日、私はお店の奥にある個室で作業をさせてもらっていた。
もう少しで花菜の洋服ができあがる。
ただ、今日はソルトの機嫌が少し悪い。
「…ごめんなさい。一緒に遊ぼう」
お気に入りのボールを転がすと、ソルトは嬉しそうに追いかけはじめる。
扉が閉まっているとはいえお店の方に行ってしまわないか心配だったけれど、なんとか室内で満足したようだ。
「もう少し遅い時間になったら散歩に行こう」
私もソルトも人混みが得意な方ではない。
そのうえ先日体調が悪くなって迷惑をかけてしまったので、夕方から夜の間に行っている。
「…ソルト、こういうのはどうかな?」
余った布で作ったスカーフを首に巻いてみたけれど、嫌がっている様子はない。
そのままつけたままにしておくことにして作業に戻ろうとしたとき、扉が控えめにノックされる。
「…?」
開けていいのか分からずに静止していると、がちゃりとノブが回される音がする。
夏彦に鍵を閉めておくように言われていたので勝手に入ってこられることはないけれど、彼なら鍵を持っているはずだ。
…それじゃあ、今外にいるのは誰?
「本当に何もないみたいだ」
「別の場所を当たるぞ」
聞いたことがない声がふたつして、足音が遠ざかっていく。
お店の人でもなさそうだし、不審者なのではないだろうか。
夏彦に連絡を取るべきか迷っていると、ポケットで携帯電話が動き出す。
離れていても簡単に連絡がとれるからと持たせてくれたものだけれど、全く使い慣れていない。
《絶対にドアを開けないように。今ちょっと厄介な人たちが来てるから、音もたてないように気をつけて。
俺は大丈夫だし、過剰に不安になる必要はないよ》
メールにはそう書かれていたけれど、外の様子が気になって仕方がない。
ソルトの方を見ると、遊び疲れたのかぐっすり寝ていた。
大丈夫、これならきっと怖がらせることはない。
「──お願い、蕀さんたち」
グローブをはずし、扉に向かって手をかざす。
少しずつ蔦を外に出していくけれど、人が沢山いることしか分からない。
誰かが怒っているのを感じてよく確認してみると、夏彦のものらしいことが判明した。
他にはお店の人じゃない分からない人が5,6人…欲張りな感情を持っている気がする。
人を何人傷つけてもいい、自分たちの為のお金がほしい…多分、そんな気持ちだ。
「…どうしよう」
助けに行けるだけの力があればよかったのに、私にはそんな力はない。
強盗と呼ばれるその人たちはきっと強いはず。
私の力だけで勝てるだろうか。
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