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春人ルート
第43話
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春人がお仕事をしているのは、誰かの力になりたいからだと思っていた。
けれど、もしかするとその人に対する償いのような意味もこめられているのかもしれない。
「…ほら、俺の話なんて暗くてつまらなかったでしょ?」
複雑そうな表情を浮かべる彼に、どんな言葉をかけていいのか分からない。
ただ、これだけははっきり言える。
「…私は、あなたのことをもっと知りたいです。今日も話してもらえて、嬉しかったです」
「やっぱり君はちょっと変わってるよね」
春人の心を知れば、もっと近づけるんじゃないかと思った。
もっと分かることもあるんじゃないかってそう考えていたけれど、彼の過去は深い闇で覆われている。
「…今のお仕事のこと以外も、その方に教わったんですか?」
「うん。…料理以外は」
「ピアノも、ですか?」
「…それじゃあ今度は、もう少し平和的な話をするよ。
あの人が教えてくれたことは、生きる為に必要なことばかりで…外国語だったり楽器だったり、あとはマナーや勉強が中心だった」
先程のしんみりしていた空気が嘘のように晴れやかなものになり、聞いているだけで楽しい話を沢山してくれた。
いくつか楽器を試して1番合っていたのがピアノだったこと、5つの国の言葉を覚えたこと、はじめは失敗ばかりだったこと…。
「あの人はいつも言ってた。『もしも自分の周りに、疲れたら休んでいいって言ってくれる人がいるならそれは幸せだ』って。
…あの人は性別や年齢も気にせずに色々な人を助けていた。そういう誰かの味方になれる人になりたかった」
春人の声には悔しさが滲んでいて、どんな言葉をかけるのがいいのかまた分からなくなってしまった。
少し沈黙が流れた後、彼はゆっくり立ち上がる。
「…飲み物を淹れてくる。その後でまた話をしよう」
「分かりました」
春人に少しでも感謝の気持ちを伝えたい。
私に何ができるのかなんて全然分からないままだけれど、助けてくれたことに対しても…優しくしてくれることに対してもお礼を言いたいと思った。
「あ、あの…」
「どうかしたの?」
「春人がその人に近づいているかとか、そういうことは分からないんですけど…私にとって、あなたはヒーローです。
いつも助けてくれて、本当にありがとうございます」
出会ったときから助けてもらってばかりだ。
不審者がきたとき、雪乃のお店で蕀さんたちに力を借りたとき…今の生活の中でも、いつも助けてもらっている。
色々なことを思い返していたとき、体が抱き寄せられた。
「あ、あの…」
「…まさか誰かにそんなふうに言ってもらえる日がくるなんて思わなかった。ごめん、しばらくこうしていてもいい?」
「も、勿論です」
少し驚いたけれど、それで少しでも気持ちが安らぐならそれでいい。
私はただ、春の日だまりのような温もりを感じていた。
けれど、もしかするとその人に対する償いのような意味もこめられているのかもしれない。
「…ほら、俺の話なんて暗くてつまらなかったでしょ?」
複雑そうな表情を浮かべる彼に、どんな言葉をかけていいのか分からない。
ただ、これだけははっきり言える。
「…私は、あなたのことをもっと知りたいです。今日も話してもらえて、嬉しかったです」
「やっぱり君はちょっと変わってるよね」
春人の心を知れば、もっと近づけるんじゃないかと思った。
もっと分かることもあるんじゃないかってそう考えていたけれど、彼の過去は深い闇で覆われている。
「…今のお仕事のこと以外も、その方に教わったんですか?」
「うん。…料理以外は」
「ピアノも、ですか?」
「…それじゃあ今度は、もう少し平和的な話をするよ。
あの人が教えてくれたことは、生きる為に必要なことばかりで…外国語だったり楽器だったり、あとはマナーや勉強が中心だった」
先程のしんみりしていた空気が嘘のように晴れやかなものになり、聞いているだけで楽しい話を沢山してくれた。
いくつか楽器を試して1番合っていたのがピアノだったこと、5つの国の言葉を覚えたこと、はじめは失敗ばかりだったこと…。
「あの人はいつも言ってた。『もしも自分の周りに、疲れたら休んでいいって言ってくれる人がいるならそれは幸せだ』って。
…あの人は性別や年齢も気にせずに色々な人を助けていた。そういう誰かの味方になれる人になりたかった」
春人の声には悔しさが滲んでいて、どんな言葉をかけるのがいいのかまた分からなくなってしまった。
少し沈黙が流れた後、彼はゆっくり立ち上がる。
「…飲み物を淹れてくる。その後でまた話をしよう」
「分かりました」
春人に少しでも感謝の気持ちを伝えたい。
私に何ができるのかなんて全然分からないままだけれど、助けてくれたことに対しても…優しくしてくれることに対してもお礼を言いたいと思った。
「あ、あの…」
「どうかしたの?」
「春人がその人に近づいているかとか、そういうことは分からないんですけど…私にとって、あなたはヒーローです。
いつも助けてくれて、本当にありがとうございます」
出会ったときから助けてもらってばかりだ。
不審者がきたとき、雪乃のお店で蕀さんたちに力を借りたとき…今の生活の中でも、いつも助けてもらっている。
色々なことを思い返していたとき、体が抱き寄せられた。
「あ、あの…」
「…まさか誰かにそんなふうに言ってもらえる日がくるなんて思わなかった。ごめん、しばらくこうしていてもいい?」
「も、勿論です」
少し驚いたけれど、それで少しでも気持ちが安らぐならそれでいい。
私はただ、春の日だまりのような温もりを感じていた。
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