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夏彦ルート
第48話
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「ソルト、少しだけこっちで待っててくださいね」
お店に怖い人たちがやってきてから少し経ったこの日、久しぶりにお店を開けることになった。
「もしかしたら移転かなって思ってたけど、まさかまたここでちゃんと店をやれるとは思ってなかった」
そう話す夏彦は嬉しそうで、つられて私も少しだけ笑顔を作る。
勿論本当に嬉しいけれど、やっぱりどうしても上手く笑うことができない。
花菜に頼まれていた服ももうすぐ完成する。
「それじゃあ俺は店の方にいるから、何かあったら声をかけてね」
「はい」
今日も頑張ろうと作業部屋の扉を閉じる。
沢山の音が聞こえてくるけれど、以前ほど怖いと思うことはなかった。
しばらくすると、お客さんがまばらになったのか夏彦が様子を見にきてくれる。
「やっぱり器用だね」
「あ、ありがとうございます…」
夏彦が笑ってくれると私も嬉しい。
手元が狂わないように願いながら、なんとか区切りがいいところまで作業を終わらせた。
「お昼食べようか」
「はい」
襲撃される前、近くにある定食屋さんで食べるのが日課になっていた。
はじめはお弁当を作っていたけれど、それでは申し訳ないからと夏彦が美味しいお店を教えてくれたのだ。
ふたりで行こうとすると、ぞくりと寒気がする。
何事かと思ってその方向を見てみると、少しだけ複雑な気分になった。
「月見ちゃん、大丈夫?」
「あ…」
彼に心配をかけたかった訳じゃない。
上手く誤魔化せる自信はなかったけれど、首を縦にふった。
「ごめんなさい、少しぼうっとしていただけなんです」
「…そっか。それじゃあ行こうか」
以前からの癖で、つい夏彦の少し後ろを歩いてしまう。
私には、誰かの隣を歩く資格なんてない。
グローブに覆われた手元を見つめながら、さっき見た綺麗な手の女性と男性が指を絡めて楽しそうに歩いていた光景を思い出した。
…私の傷だらけな手では、あんなふうに繋ぐことはできないから。
「もっとこっちおいで」
「え…」
「そんなに離れなくても、月見ちゃんが嫌がるようなことはしないよ。
それに、もっとくっついてないとはぐれちゃうからね」
夏彦はただ笑って手を繋いでくれた。
「ありがとう、ございます」
「お礼を言われるようなことは何もしてないよ」
彼の行動も言葉も、いつも私を救ってくれる。
だからこそ、できることをせいいっぱいやって少しでも恩返しがしたい。
「今日は何食べようか」
「見てから決めます」
「了解!そういえば、今日はまだ給料を払ってなかったね」
「お給料、ですか?」
「うん。コサージュのときといい、いつも手伝ってもらってるのに未払いのままだったから」
「う、受け取れません」
そう言った私に、夏彦はまあまあと言いながら1枚の封筒を渡す。
私は結局、それを受け取ったのだった。
お店に怖い人たちがやってきてから少し経ったこの日、久しぶりにお店を開けることになった。
「もしかしたら移転かなって思ってたけど、まさかまたここでちゃんと店をやれるとは思ってなかった」
そう話す夏彦は嬉しそうで、つられて私も少しだけ笑顔を作る。
勿論本当に嬉しいけれど、やっぱりどうしても上手く笑うことができない。
花菜に頼まれていた服ももうすぐ完成する。
「それじゃあ俺は店の方にいるから、何かあったら声をかけてね」
「はい」
今日も頑張ろうと作業部屋の扉を閉じる。
沢山の音が聞こえてくるけれど、以前ほど怖いと思うことはなかった。
しばらくすると、お客さんがまばらになったのか夏彦が様子を見にきてくれる。
「やっぱり器用だね」
「あ、ありがとうございます…」
夏彦が笑ってくれると私も嬉しい。
手元が狂わないように願いながら、なんとか区切りがいいところまで作業を終わらせた。
「お昼食べようか」
「はい」
襲撃される前、近くにある定食屋さんで食べるのが日課になっていた。
はじめはお弁当を作っていたけれど、それでは申し訳ないからと夏彦が美味しいお店を教えてくれたのだ。
ふたりで行こうとすると、ぞくりと寒気がする。
何事かと思ってその方向を見てみると、少しだけ複雑な気分になった。
「月見ちゃん、大丈夫?」
「あ…」
彼に心配をかけたかった訳じゃない。
上手く誤魔化せる自信はなかったけれど、首を縦にふった。
「ごめんなさい、少しぼうっとしていただけなんです」
「…そっか。それじゃあ行こうか」
以前からの癖で、つい夏彦の少し後ろを歩いてしまう。
私には、誰かの隣を歩く資格なんてない。
グローブに覆われた手元を見つめながら、さっき見た綺麗な手の女性と男性が指を絡めて楽しそうに歩いていた光景を思い出した。
…私の傷だらけな手では、あんなふうに繋ぐことはできないから。
「もっとこっちおいで」
「え…」
「そんなに離れなくても、月見ちゃんが嫌がるようなことはしないよ。
それに、もっとくっついてないとはぐれちゃうからね」
夏彦はただ笑って手を繋いでくれた。
「ありがとう、ございます」
「お礼を言われるようなことは何もしてないよ」
彼の行動も言葉も、いつも私を救ってくれる。
だからこそ、できることをせいいっぱいやって少しでも恩返しがしたい。
「今日は何食べようか」
「見てから決めます」
「了解!そういえば、今日はまだ給料を払ってなかったね」
「お給料、ですか?」
「うん。コサージュのときといい、いつも手伝ってもらってるのに未払いのままだったから」
「う、受け取れません」
そう言った私に、夏彦はまあまあと言いながら1枚の封筒を渡す。
私は結局、それを受け取ったのだった。
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