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春人ルート
第49話
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「…おはよう」
「お、おはようございます」
なんとなくぎこちない挨拶になってしまったものの、無事ご飯を作り終えることができた。
「あの、今日は蜂蜜トーストにしたんですけど、食べられますか…?」
「基本的に好き嫌いはないから大丈夫。ただ…どうして俺が好きなものが分かったの?」
「え?」
確かに、今日の朝食は夏彦さんに質問して作ったものだ。
食べてはいけないものがあると思って訊いただけだったけれど、まさか好きなものについて返ってきているとは思わなかった。
「甘いもの、好きなんですか?」
「基本的にはあんまり食べたりしない。ただ、嫌いな訳じゃないし…チョコレートとか蜂蜜は好き。
寧ろ、苦いものの方が食べられないかもしれない」
そんな言葉にちょっと可愛いなんて思ってしまう。
「知りませんでした。それならゴーヤは、」
「あれは食べ物じゃなくて薬だと思うことにしてる。…普通に食べられる人を尊敬するよ」
ゴーヤは料理に使わないでおこうと思いながら、とても意外で微笑ましく感じた。
「…子どもっぽいって思った?」
「いいえ。ただ、いつも完璧に見えるので苦手なものがあるんだなって思ったんです」
「俺は鉄人じゃないから、流石に苦手なものはある。できるだけ克服してきたつもりだけど、いつまで経っても変えられないものもある」
「…それは、なんとなく理解できるような気がします」
私も怖いものは怖い。
いつまで経っても変えられないような気がして、いつもどこかで不安になる。
ただ、今は春人がいてくれるからあんまり考えなくなったかもしれない。
「あの…そのまま、座っててください」
「急にどうしたの?」
「なんとなく、無理をしそうな気がしたので」
「…まさか君に言われるなんてね」
彼は苦笑しながら椅子に座り直す。
ほっとしていると、キッチンの方からぷすぷすと音がした。
「…何か作りかけだった?」
「もう1枚トーストを焼いていたのを忘れていました」
「君の分?」
首を縦にふると、春人は自分のトーストを半分に割って差し出してくれた。
「流石に食べかけのところを食べろなんて言えないけど、これで足りる?」
「大丈夫です、焦げているものでも、」
「…君も苦いのは好きじゃないでしょ?焼き直していたら時間がかかる」
どうして春人にはいつも分かってしまうんだろう。
「俺はこれで充分だし、作ってもらえるだけありがたいから」
「ありがとうございます。それではお言葉に甘えて…」
両手をあわせて目の前に座る。
今のところは痛がっている様子もなさそうなので少し安心した。
「お、おはようございます」
なんとなくぎこちない挨拶になってしまったものの、無事ご飯を作り終えることができた。
「あの、今日は蜂蜜トーストにしたんですけど、食べられますか…?」
「基本的に好き嫌いはないから大丈夫。ただ…どうして俺が好きなものが分かったの?」
「え?」
確かに、今日の朝食は夏彦さんに質問して作ったものだ。
食べてはいけないものがあると思って訊いただけだったけれど、まさか好きなものについて返ってきているとは思わなかった。
「甘いもの、好きなんですか?」
「基本的にはあんまり食べたりしない。ただ、嫌いな訳じゃないし…チョコレートとか蜂蜜は好き。
寧ろ、苦いものの方が食べられないかもしれない」
そんな言葉にちょっと可愛いなんて思ってしまう。
「知りませんでした。それならゴーヤは、」
「あれは食べ物じゃなくて薬だと思うことにしてる。…普通に食べられる人を尊敬するよ」
ゴーヤは料理に使わないでおこうと思いながら、とても意外で微笑ましく感じた。
「…子どもっぽいって思った?」
「いいえ。ただ、いつも完璧に見えるので苦手なものがあるんだなって思ったんです」
「俺は鉄人じゃないから、流石に苦手なものはある。できるだけ克服してきたつもりだけど、いつまで経っても変えられないものもある」
「…それは、なんとなく理解できるような気がします」
私も怖いものは怖い。
いつまで経っても変えられないような気がして、いつもどこかで不安になる。
ただ、今は春人がいてくれるからあんまり考えなくなったかもしれない。
「あの…そのまま、座っててください」
「急にどうしたの?」
「なんとなく、無理をしそうな気がしたので」
「…まさか君に言われるなんてね」
彼は苦笑しながら椅子に座り直す。
ほっとしていると、キッチンの方からぷすぷすと音がした。
「…何か作りかけだった?」
「もう1枚トーストを焼いていたのを忘れていました」
「君の分?」
首を縦にふると、春人は自分のトーストを半分に割って差し出してくれた。
「流石に食べかけのところを食べろなんて言えないけど、これで足りる?」
「大丈夫です、焦げているものでも、」
「…君も苦いのは好きじゃないでしょ?焼き直していたら時間がかかる」
どうして春人にはいつも分かってしまうんだろう。
「俺はこれで充分だし、作ってもらえるだけありがたいから」
「ありがとうございます。それではお言葉に甘えて…」
両手をあわせて目の前に座る。
今のところは痛がっている様子もなさそうなので少し安心した。
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