192 / 385
夏彦ルート
第64話
しおりを挟む
夏彦に、好かれている?私が?
その一言に、ただ呆然とすることしかできない。
「秋久、彼女が困っていますよ」
「そうだな。悪い、急に驚かせた」
首を横にふりながら、心臓が壊れそうなくらい音を立てているのを止められない。
これは喜び?それとも、また別の感情が花開きそうになっているのだろうか。
「それ、は……」
ごほごほと咳こんでしまっていると、突然背中に手がまわされる。
「大丈夫?」
その声は間違いなく夏彦のもので、また心臓がどくどくと脈打つ。
ゆっくり頷くと、彼からどうしてか苛立ちと不安を感じた。
「何を話してたのか知らないけど、お見舞いはもういいでしょ。…今日はもう帰って」
「…これ飲んだら治る。駄目そうだったら呼んで」
「お大事になさってください」
「またな、お嬢ちゃん。元気になったらまた話をしよう」
ばたばたと帰っていく3人に一礼すると、夏彦はふっと息を吐いた。
「大丈夫?嫌なことされてない?」
話そうとすると喉に変な感覚を感じたので、ただ頷いておくだけにする。
夏彦は安心したような表情をして、ただ私の手を握ってくれた。
「無理に話そうとしなくていいから、取り敢えずご飯食べようか。…月見ちゃん、ちょっと喉が腫れてるから話しづらいと思うってまー君が言ってたんだ。
刺激物は避けたつもりだけど、もし食べづらいものがあったら教えてね」
まだここに来たばかりの頃、試供品だから受け取ってほしいと言われて持っていたノートがあるのを思い出す。
【ありがとうございます】
「そんなお礼を言われるようなことなんて何もしてないよ。俺もここで食べていい?」
その言葉が嬉しくて頷くと、夏彦はただ微笑んだ。
いつの間にか彼から怒りと不安が消えていて、少しだけ安心する。
食べやすいようにと考えてくれたのか、器の中にはうどんが入っていた。
両手を合わせて一口食べてみると、それは今まで食べてきたうどんの中で1番美味しく感じた。
「どうかな?美味しい?」
その言葉に頷いてみせると、夏彦はまた笑った。
「やっぱり最近、ちょっと笑う回数増えてきたような気がする。そういうの、すごく嬉しいな」
「…?」
「そんなに不思議なこと?俺は君が笑ってくれるの、すごく嬉しいんだけど…」
どう答えたらいいのか分からない。
思っていることを言葉にすれば、彼に伝わるだろうか。
【私はもっと夏彦に笑ってほしいです】
「嬉しいこと言ってくれるね。だけど、俺はちゃんと笑ってるよ。今だって、月見ちゃんと一緒にいるのが楽しいから笑えるわけだしね!」
いつもどおりの明るい様子に安心しながら、ゆっくりと食べ進めていく。
久しぶりの平穏な時間を楽しんでいたけれど、秋久さんたちの言葉が胸に残っていた。
その一言に、ただ呆然とすることしかできない。
「秋久、彼女が困っていますよ」
「そうだな。悪い、急に驚かせた」
首を横にふりながら、心臓が壊れそうなくらい音を立てているのを止められない。
これは喜び?それとも、また別の感情が花開きそうになっているのだろうか。
「それ、は……」
ごほごほと咳こんでしまっていると、突然背中に手がまわされる。
「大丈夫?」
その声は間違いなく夏彦のもので、また心臓がどくどくと脈打つ。
ゆっくり頷くと、彼からどうしてか苛立ちと不安を感じた。
「何を話してたのか知らないけど、お見舞いはもういいでしょ。…今日はもう帰って」
「…これ飲んだら治る。駄目そうだったら呼んで」
「お大事になさってください」
「またな、お嬢ちゃん。元気になったらまた話をしよう」
ばたばたと帰っていく3人に一礼すると、夏彦はふっと息を吐いた。
「大丈夫?嫌なことされてない?」
話そうとすると喉に変な感覚を感じたので、ただ頷いておくだけにする。
夏彦は安心したような表情をして、ただ私の手を握ってくれた。
「無理に話そうとしなくていいから、取り敢えずご飯食べようか。…月見ちゃん、ちょっと喉が腫れてるから話しづらいと思うってまー君が言ってたんだ。
刺激物は避けたつもりだけど、もし食べづらいものがあったら教えてね」
まだここに来たばかりの頃、試供品だから受け取ってほしいと言われて持っていたノートがあるのを思い出す。
【ありがとうございます】
「そんなお礼を言われるようなことなんて何もしてないよ。俺もここで食べていい?」
その言葉が嬉しくて頷くと、夏彦はただ微笑んだ。
いつの間にか彼から怒りと不安が消えていて、少しだけ安心する。
食べやすいようにと考えてくれたのか、器の中にはうどんが入っていた。
両手を合わせて一口食べてみると、それは今まで食べてきたうどんの中で1番美味しく感じた。
「どうかな?美味しい?」
その言葉に頷いてみせると、夏彦はまた笑った。
「やっぱり最近、ちょっと笑う回数増えてきたような気がする。そういうの、すごく嬉しいな」
「…?」
「そんなに不思議なこと?俺は君が笑ってくれるの、すごく嬉しいんだけど…」
どう答えたらいいのか分からない。
思っていることを言葉にすれば、彼に伝わるだろうか。
【私はもっと夏彦に笑ってほしいです】
「嬉しいこと言ってくれるね。だけど、俺はちゃんと笑ってるよ。今だって、月見ちゃんと一緒にいるのが楽しいから笑えるわけだしね!」
いつもどおりの明るい様子に安心しながら、ゆっくりと食べ進めていく。
久しぶりの平穏な時間を楽しんでいたけれど、秋久さんたちの言葉が胸に残っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる