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春人ルート
第76話
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それからも指先まで力が入らないまま、なんとか色々な作業をこなしている。
「…入るよ」
「お、おはようございます」
「そんなに緊張しなくても、血圧と体温を測りに来ただけだから」
「ごめんなさい」
「別に謝らなくてもいいから。怒ってるわけじゃないし…」
冬真さんは悪い人じゃない。
そう分かっていても、どうしても緊張してしまう。
「あの…」
「春人さんなら、朝から何か調べものをしてた。多分秋久さんから頼まれたものを作ってるんだと思うけど、僕には細かいことまでは分からない」
きっとキャンディーボックスを作っているんだろう。
このままじゃまずい、もっとちゃんと休んでほしい…そう思うのに、なんだか邪魔をしてはいけないような気もして、結局動けなかった。
「…僕はこれからどうしても出掛けなくちゃいけないけど、絶対にいなくならないように」
「わ、分かりました」
「キッチンは好きに使ってくれればいいから」
「はい。…ありがとうございます」
後ろ姿を見送ると、近くの部屋から音がする。
なんだか嫌な予感がして、部屋から出ていこうとする彼の前に立った。
「おはようございます。どこに行くんですか?」
「…少し飲み物を飲みに行くだけだよ」
「本当は、具合が悪いんじゃないですか?」
外に出ていってしまうんじゃないか、もしそうなったら…不安はことは沢山ある。
ただ、どうしても話をしないといけないような気がした。
「…そんなに心配しなくても、勝手に出ていくつもりはない。単純に休憩をいれたくなったんだ」
「あの、ご飯は食べましたか?」
「…忘れてた」
「すぐ作って持っていきます」
「片手で?」
そういえばそうだった。
サンドイッチくらいならなんとかなるだろうか。
「が、頑張ります」
「分かった。でももし困ったらすぐ呼んで」
「はい」
春人は水が入ったコップだけ持って、すぐ部屋に戻っていった。
「で、できた…」
チェリーの頭を撫でながら、なんとか完成したサンドイッチを運んでいく。
「あ…」
運ぼうとした瞬間、大きくバランスを崩す。
「月見!」
いつから近くにいたのかなんて分からないけれど、春人が慌てた様子でこっちに手を伸ばす。
その手にトレイを預けて、なんとか受け身をとった。
「すみません。大丈夫でしたか?」
「……」
「あ、あの…」
目の前にいる春人は肩を震わせ笑っている。
どうしてなのか分からず首を傾げると、彼は静かに呟いた。
「…こういうとき、サンドイッチが無事かより自分が転ばないように手を掴むものだと思う。君は本当に面白いね」
「ごめんなさい。ありがとう、ございます…」
まさかそういう意味だったとは思わず、無事にサンドイッチが渡せたことに安心しながら立ち上がる。
「あの…そういえば、冬真さんはどこに行ったんですか?」
「大学だよ。彼はすごく頭がいいから…普段はそれを隠して生活してるけどね。
…頭がいいということは、時として辛い目に遭うことに直結するから」
最後の方がよく聞き取れなかったけれど、なんとなく聞き返してはいけないような気がした。
春人の目が、なんだか哀しそうだったから。
「…入るよ」
「お、おはようございます」
「そんなに緊張しなくても、血圧と体温を測りに来ただけだから」
「ごめんなさい」
「別に謝らなくてもいいから。怒ってるわけじゃないし…」
冬真さんは悪い人じゃない。
そう分かっていても、どうしても緊張してしまう。
「あの…」
「春人さんなら、朝から何か調べものをしてた。多分秋久さんから頼まれたものを作ってるんだと思うけど、僕には細かいことまでは分からない」
きっとキャンディーボックスを作っているんだろう。
このままじゃまずい、もっとちゃんと休んでほしい…そう思うのに、なんだか邪魔をしてはいけないような気もして、結局動けなかった。
「…僕はこれからどうしても出掛けなくちゃいけないけど、絶対にいなくならないように」
「わ、分かりました」
「キッチンは好きに使ってくれればいいから」
「はい。…ありがとうございます」
後ろ姿を見送ると、近くの部屋から音がする。
なんだか嫌な予感がして、部屋から出ていこうとする彼の前に立った。
「おはようございます。どこに行くんですか?」
「…少し飲み物を飲みに行くだけだよ」
「本当は、具合が悪いんじゃないですか?」
外に出ていってしまうんじゃないか、もしそうなったら…不安はことは沢山ある。
ただ、どうしても話をしないといけないような気がした。
「…そんなに心配しなくても、勝手に出ていくつもりはない。単純に休憩をいれたくなったんだ」
「あの、ご飯は食べましたか?」
「…忘れてた」
「すぐ作って持っていきます」
「片手で?」
そういえばそうだった。
サンドイッチくらいならなんとかなるだろうか。
「が、頑張ります」
「分かった。でももし困ったらすぐ呼んで」
「はい」
春人は水が入ったコップだけ持って、すぐ部屋に戻っていった。
「で、できた…」
チェリーの頭を撫でながら、なんとか完成したサンドイッチを運んでいく。
「あ…」
運ぼうとした瞬間、大きくバランスを崩す。
「月見!」
いつから近くにいたのかなんて分からないけれど、春人が慌てた様子でこっちに手を伸ばす。
その手にトレイを預けて、なんとか受け身をとった。
「すみません。大丈夫でしたか?」
「……」
「あ、あの…」
目の前にいる春人は肩を震わせ笑っている。
どうしてなのか分からず首を傾げると、彼は静かに呟いた。
「…こういうとき、サンドイッチが無事かより自分が転ばないように手を掴むものだと思う。君は本当に面白いね」
「ごめんなさい。ありがとう、ございます…」
まさかそういう意味だったとは思わず、無事にサンドイッチが渡せたことに安心しながら立ち上がる。
「あの…そういえば、冬真さんはどこに行ったんですか?」
「大学だよ。彼はすごく頭がいいから…普段はそれを隠して生活してるけどね。
…頭がいいということは、時として辛い目に遭うことに直結するから」
最後の方がよく聞き取れなかったけれど、なんとなく聞き返してはいけないような気がした。
春人の目が、なんだか哀しそうだったから。
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