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春人ルート
第83話
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どういうことか分からず首を傾げていると、夏彦さんはふっと笑って説明してくれた。
「ハルは月見ちゃんのことがすごく心配なんだよ。この前も、自分の事情に巻きこんだって目に見えて落ちこんでたんだ」
「え?そうなんですか?」
全然知らなかった。
私がどうなっても誰にも関係ない…ずっとそう思って生きてきた私には、やっぱりここにいる人たちの反応全てが温かい。
黒柿色の髪をくしゃくしゃと触りながら、春人は俯き呟いた。
「…素人が危ない場所に行くんだから、心配にもなる」
「またまた、それだけじゃないのに…」
「夏彦、それ以上話したら黙らせる」
春人の手にはホッチキスが握られていて、かちゃかちゃと可愛らしい音が鳴っている。
「待って、本気じゃないよね?」
「…さあ?」
もし本当に止めてしまったらどうしようと一瞬慌てたけれど、春人の近くに沢山の紙がまとめられているのを見つけてほっとした。
ただ、気づいていない夏彦さんは苦笑いで後退っていく。
そのとき、ゆっくりと扉が開かれた。
「…潜入前日とは思えない和みようだね」
「緊張してがちがちになるよりいいじゃん!それに、まー君はもっと肩の力を抜いておかないと明日持たないよ」
「…潜入は明後日ではなかったんですか?」
私もそう聞いていたので、少し混乱しながら冬真さんの方を向く。
「…こっちの情報、何故か漏れてるみたいなんだ。罠かもしれないけど、明後日21時46分のアメリカ行きチケットを買ったのを見た。
秋久さんに相談したら、今回逃げられたら逮捕が難しくなるから明日にしようって…」
「そうでしたか。それなら僕も少し急いだ方がよさそうですね」
「春人さん、何するつもりなの?」
「特に特別なことはしませんよ。…というより、できませんから」
その声には悔しさが滲んでいて、もっと頑張らないといけないと思った。
もし捕まえられなかったら、春人はまたひとりで苦しみを抱えてしまうだろう。
私はどうしてもそれが嫌だった。
「あの、今日中にやっておいた方がいいことってありますか?」
「君は問題ない。僕はその人を引っ張り出しに来ただけだから」
「え、俺?」
夏彦さんは瞬きした後、ふっと笑ってそのまま冬真さんと出ていってしまう。
春人とふたりきりになった部屋には沈黙が流れていたけれど、彼が優しい言葉をかけてくれた。
「君なら大丈夫。…だけど、本音を言えばやっぱり危ない場所に行ってほしくない」
「私は、」
「今更止められないことは分かってる。それに、君の意思は尊重したい」
そこまで話したところで可愛らしいくまのストラップとすっかり直った懐中時計を渡してくれる。
「…絶対に帰ってくること」
「あ、ありがとうございます…」
「その子は俺が預かっておく」
私が連れてきていたチェリーをラビと一緒に抱きしめる春人の腕は震えていた。
そこに触れると冷たくて、しばらくそのまま握ってみる。
「…ありがとう、もう大丈夫。俺から言えるのは、相手のことをちゃんと見ること。
それが敵でも味方でも、今の君なら動きを見ていれば相手がどう動くかなんとなく分かるはずだから」
「あ、ありがとうございます…」
そんな話をして、明日の為に教えてもらったことを自分の部屋に戻って復習する。
明日までに完璧に近い状態にしないと、きっと周りに迷惑をかけてしまう。
私にはひたすら頑張ってみることしかできない。
だったら、それをせいいっぱいやるだけだ。
「ハルは月見ちゃんのことがすごく心配なんだよ。この前も、自分の事情に巻きこんだって目に見えて落ちこんでたんだ」
「え?そうなんですか?」
全然知らなかった。
私がどうなっても誰にも関係ない…ずっとそう思って生きてきた私には、やっぱりここにいる人たちの反応全てが温かい。
黒柿色の髪をくしゃくしゃと触りながら、春人は俯き呟いた。
「…素人が危ない場所に行くんだから、心配にもなる」
「またまた、それだけじゃないのに…」
「夏彦、それ以上話したら黙らせる」
春人の手にはホッチキスが握られていて、かちゃかちゃと可愛らしい音が鳴っている。
「待って、本気じゃないよね?」
「…さあ?」
もし本当に止めてしまったらどうしようと一瞬慌てたけれど、春人の近くに沢山の紙がまとめられているのを見つけてほっとした。
ただ、気づいていない夏彦さんは苦笑いで後退っていく。
そのとき、ゆっくりと扉が開かれた。
「…潜入前日とは思えない和みようだね」
「緊張してがちがちになるよりいいじゃん!それに、まー君はもっと肩の力を抜いておかないと明日持たないよ」
「…潜入は明後日ではなかったんですか?」
私もそう聞いていたので、少し混乱しながら冬真さんの方を向く。
「…こっちの情報、何故か漏れてるみたいなんだ。罠かもしれないけど、明後日21時46分のアメリカ行きチケットを買ったのを見た。
秋久さんに相談したら、今回逃げられたら逮捕が難しくなるから明日にしようって…」
「そうでしたか。それなら僕も少し急いだ方がよさそうですね」
「春人さん、何するつもりなの?」
「特に特別なことはしませんよ。…というより、できませんから」
その声には悔しさが滲んでいて、もっと頑張らないといけないと思った。
もし捕まえられなかったら、春人はまたひとりで苦しみを抱えてしまうだろう。
私はどうしてもそれが嫌だった。
「あの、今日中にやっておいた方がいいことってありますか?」
「君は問題ない。僕はその人を引っ張り出しに来ただけだから」
「え、俺?」
夏彦さんは瞬きした後、ふっと笑ってそのまま冬真さんと出ていってしまう。
春人とふたりきりになった部屋には沈黙が流れていたけれど、彼が優しい言葉をかけてくれた。
「君なら大丈夫。…だけど、本音を言えばやっぱり危ない場所に行ってほしくない」
「私は、」
「今更止められないことは分かってる。それに、君の意思は尊重したい」
そこまで話したところで可愛らしいくまのストラップとすっかり直った懐中時計を渡してくれる。
「…絶対に帰ってくること」
「あ、ありがとうございます…」
「その子は俺が預かっておく」
私が連れてきていたチェリーをラビと一緒に抱きしめる春人の腕は震えていた。
そこに触れると冷たくて、しばらくそのまま握ってみる。
「…ありがとう、もう大丈夫。俺から言えるのは、相手のことをちゃんと見ること。
それが敵でも味方でも、今の君なら動きを見ていれば相手がどう動くかなんとなく分かるはずだから」
「あ、ありがとうございます…」
そんな話をして、明日の為に教えてもらったことを自分の部屋に戻って復習する。
明日までに完璧に近い状態にしないと、きっと周りに迷惑をかけてしまう。
私にはひたすら頑張ってみることしかできない。
だったら、それをせいいっぱいやるだけだ。
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