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夏彦ルート
第90話
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「あ、出たななっちゃん」
「ちょっと、何そのよく分からない不審者扱い!?」
夏彦の手には色々なものを測る機械があって、もうそんな時間なのかとはっとした。
「すみません、これからちょっと検査があるんです」
「長々と居座っちゃってごめんね!それから…ありがとう」
「私は、お礼を言われるようなことは何も、」
「それじゃあまたね!」
花菜は風のように去っていき、部屋の中は夏彦とふたりきりになる。
「花菜に何か言われなかった?」
「いえ、特に何も」
「それならいいんだけど…。そうだ、今日もまー君が忙しいから俺ができることはやろうと思ったんだ」
「ありがとうございます」
花菜が悩んでいたことは黙っておくことにした。
なんだか勝手に話したらいけないような気がして誤魔化したけれど、夏彦はそれ以上何も聞かないでいてくれる。
「…夏彦の怪我は、どれくらいでよくなるんですか?」
「もう車椅子がいらないくらいにはなったよ。全部月見ちゃんのおかげだね」
「そんな…私は何もしてないです」
「月見ちゃんは歩行練習からだっけ?」
「はい、一応…」
立ちあがろうとしたとき、ふらついて小さめのテーブルに置いてあったものを床にぶちまけてしまう。
「ご、ごめんなさい…!」
「俺は全然いいんだけど…何作ってるの?」
実はこっそり裁縫していたのだが、できれば最後まで知られたくなかった。
ただ、ここで話さないと夏彦に余計な心配をかけてしまう。
「ポケットティッシュケース、です。あんまり上手には作れていないんですけど…」
春人さんに必要なものがないか訊かれたとき、咄嗟に思いついたのがこれだった。
紫陽花の刺繍を入れれば完成するところまできたけれど、全て手縫いでやったので夏彦が作るものよりずっと劣っている。
「もし完成させられたら、使ってもらえますか?」
「え、俺がもらっちゃっていいの?」
「できればもらってほしいのですが…」
夏彦に抱きしめられた瞬間、電子音が鳴る。
「ありがとう。大事に使わせてもらうね」
顔をあげると彼はいつもどおり笑っていて、また心の中で沢山の感情が咲いていくのを感じる。
「…それじゃあ、俺もいいものをあげる」
「つい最近グローブをもらったばかりなのに、そんな…」
「俺が渡したいんだ」
それは向日葵の花が散りばめられたブレスレットで、見ているだけで楽しくなる。
「これをここに引っ掛けると、ちゃんと目立つんだよ」
先日もらったばかりのグローブには、いつもと少しだけ違ったデザインが施されていた。
それがまさか、ブレスレットをとおす為の穴だったなんて…やっぱり彼が考えることはすごい。
「ありがとうございます」
「どういたしまして!…それじゃあ、まずは歩行訓練からはじめようか」
「はい」
杖を使わなくても歩けるようになりたい。
…そうすればきっと、もう少し役に立てることが増えるだろうから。
「ちょっと、何そのよく分からない不審者扱い!?」
夏彦の手には色々なものを測る機械があって、もうそんな時間なのかとはっとした。
「すみません、これからちょっと検査があるんです」
「長々と居座っちゃってごめんね!それから…ありがとう」
「私は、お礼を言われるようなことは何も、」
「それじゃあまたね!」
花菜は風のように去っていき、部屋の中は夏彦とふたりきりになる。
「花菜に何か言われなかった?」
「いえ、特に何も」
「それならいいんだけど…。そうだ、今日もまー君が忙しいから俺ができることはやろうと思ったんだ」
「ありがとうございます」
花菜が悩んでいたことは黙っておくことにした。
なんだか勝手に話したらいけないような気がして誤魔化したけれど、夏彦はそれ以上何も聞かないでいてくれる。
「…夏彦の怪我は、どれくらいでよくなるんですか?」
「もう車椅子がいらないくらいにはなったよ。全部月見ちゃんのおかげだね」
「そんな…私は何もしてないです」
「月見ちゃんは歩行練習からだっけ?」
「はい、一応…」
立ちあがろうとしたとき、ふらついて小さめのテーブルに置いてあったものを床にぶちまけてしまう。
「ご、ごめんなさい…!」
「俺は全然いいんだけど…何作ってるの?」
実はこっそり裁縫していたのだが、できれば最後まで知られたくなかった。
ただ、ここで話さないと夏彦に余計な心配をかけてしまう。
「ポケットティッシュケース、です。あんまり上手には作れていないんですけど…」
春人さんに必要なものがないか訊かれたとき、咄嗟に思いついたのがこれだった。
紫陽花の刺繍を入れれば完成するところまできたけれど、全て手縫いでやったので夏彦が作るものよりずっと劣っている。
「もし完成させられたら、使ってもらえますか?」
「え、俺がもらっちゃっていいの?」
「できればもらってほしいのですが…」
夏彦に抱きしめられた瞬間、電子音が鳴る。
「ありがとう。大事に使わせてもらうね」
顔をあげると彼はいつもどおり笑っていて、また心の中で沢山の感情が咲いていくのを感じる。
「…それじゃあ、俺もいいものをあげる」
「つい最近グローブをもらったばかりなのに、そんな…」
「俺が渡したいんだ」
それは向日葵の花が散りばめられたブレスレットで、見ているだけで楽しくなる。
「これをここに引っ掛けると、ちゃんと目立つんだよ」
先日もらったばかりのグローブには、いつもと少しだけ違ったデザインが施されていた。
それがまさか、ブレスレットをとおす為の穴だったなんて…やっぱり彼が考えることはすごい。
「ありがとうございます」
「どういたしまして!…それじゃあ、まずは歩行訓練からはじめようか」
「はい」
杖を使わなくても歩けるようになりたい。
…そうすればきっと、もう少し役に立てることが増えるだろうから。
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