262 / 385
秋久ルート
第26話
しおりを挟む
秋久さんが声をかけてくれて、一緒に夜食をいただくことになった。
「最近振り回してばかりで悪い」
「いえ。私は、楽しいので…」
「楽しい、か。それはよかった」
何か言葉をかけようとすると、夏彦さんたちが声をかけてくれた。
「月見ちゃんもこっちにおいでよ。甘栗が寝てるならってことになるのかもしれないけど」
「えっと、お邪魔します…?」
「いらっしゃい。準備しておくね」
あんまり上手く話せなかったけれど、それでも夏彦さんは笑って別の部屋へ行ってしまった。
扉を開けると、春人さんと冬真さんがにらめっこしている。
「相変わらず手強いですね」
「それ、春人さんが言うの?」
「ふたりとも、チェスは程々にして夜食にするぞ」
秋久さんの声を合図にふたりも立ちあがる。
チェスというものを見るのは初めてで、白と黒の駒がきらきらしている気がした。
「気になるか?」
「初めて見たので、少し気になって…綺麗だなって思ったんです」
「後でやってみるか?」
「え?」
秋久さんは別のボードをどこかから取り出して、いつもみたいに大人な笑みを浮かべた。
「チェスはルールが難しいから、まずはオセロでもやってみよう。どっちも頭を使わないといけないから、夜食を食べてからな」
「分かりました」
オセロというものも見たことはあってもやったことはない。
どんなふうにやるのか想像しながら、ゆっくり夜食を食べ進めた。
「ごちそうさまでした」
「どうだった?」
「美味しかったです」
「そうか。じゃ、片づけたら始めようか」
「お、お願いします」
どんなルールがあるのかまだ分からないけれど、なんとかやってみようと決意する。
簡単に説明してもらってから白い駒を握って、少しずつ盤を自分の色に染めていく。
「お嬢ちゃん、なかなかやるな」
「そ、そうでしょうか?」
「ああ。上手く戦略が組めていると思う」
「ありがとうございます」
褒めてもらえたのが嬉しくて、1枚、また1枚とひっくり返していく。
「え、月見ちゃん本当に初めて?」
「…?はい、そうです」
「すごいね。まさかアッキーがここまで負けるとは思ってなかった」
自分では分からないけれど、そんなに強いのだろうか。
たしかに秋久さんの黒はあまり見当たらない。
ただ、なんとなく手加減してくれているような気がする。
「隙あり」
「あ…」
四角のうちのひとつを取られて、一気に黒く染まっていく。
追いこまれたことに気づいたときには遅かった。
「負けました」
「アッキー大人気ない…」
「全力でやらないと相手に失礼だろ?…お嬢ちゃん、楽しめたか?」
「はい。負けてしまったけど、楽しかったです」
「それはよかった」
次までにもっと強くなれるだろうか。
ふとキッチンに目を向けると、砂時計からさらさらと砂が半分くらい落ちていた。
「最近振り回してばかりで悪い」
「いえ。私は、楽しいので…」
「楽しい、か。それはよかった」
何か言葉をかけようとすると、夏彦さんたちが声をかけてくれた。
「月見ちゃんもこっちにおいでよ。甘栗が寝てるならってことになるのかもしれないけど」
「えっと、お邪魔します…?」
「いらっしゃい。準備しておくね」
あんまり上手く話せなかったけれど、それでも夏彦さんは笑って別の部屋へ行ってしまった。
扉を開けると、春人さんと冬真さんがにらめっこしている。
「相変わらず手強いですね」
「それ、春人さんが言うの?」
「ふたりとも、チェスは程々にして夜食にするぞ」
秋久さんの声を合図にふたりも立ちあがる。
チェスというものを見るのは初めてで、白と黒の駒がきらきらしている気がした。
「気になるか?」
「初めて見たので、少し気になって…綺麗だなって思ったんです」
「後でやってみるか?」
「え?」
秋久さんは別のボードをどこかから取り出して、いつもみたいに大人な笑みを浮かべた。
「チェスはルールが難しいから、まずはオセロでもやってみよう。どっちも頭を使わないといけないから、夜食を食べてからな」
「分かりました」
オセロというものも見たことはあってもやったことはない。
どんなふうにやるのか想像しながら、ゆっくり夜食を食べ進めた。
「ごちそうさまでした」
「どうだった?」
「美味しかったです」
「そうか。じゃ、片づけたら始めようか」
「お、お願いします」
どんなルールがあるのかまだ分からないけれど、なんとかやってみようと決意する。
簡単に説明してもらってから白い駒を握って、少しずつ盤を自分の色に染めていく。
「お嬢ちゃん、なかなかやるな」
「そ、そうでしょうか?」
「ああ。上手く戦略が組めていると思う」
「ありがとうございます」
褒めてもらえたのが嬉しくて、1枚、また1枚とひっくり返していく。
「え、月見ちゃん本当に初めて?」
「…?はい、そうです」
「すごいね。まさかアッキーがここまで負けるとは思ってなかった」
自分では分からないけれど、そんなに強いのだろうか。
たしかに秋久さんの黒はあまり見当たらない。
ただ、なんとなく手加減してくれているような気がする。
「隙あり」
「あ…」
四角のうちのひとつを取られて、一気に黒く染まっていく。
追いこまれたことに気づいたときには遅かった。
「負けました」
「アッキー大人気ない…」
「全力でやらないと相手に失礼だろ?…お嬢ちゃん、楽しめたか?」
「はい。負けてしまったけど、楽しかったです」
「それはよかった」
次までにもっと強くなれるだろうか。
ふとキッチンに目を向けると、砂時計からさらさらと砂が半分くらい落ちていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる