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冬真ルート
第27話
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口を挟んでいいことじゃないのは分かっているつもりだ。
それでも、こんなふうにいきなり来られたら誰だって困る。
「あ、あの…嫌がっている人に強引に迫るのはよくないと思います」
「なんだね、君は。雪城君の関係者か?」
「私は、ただの居候です。あなたが誰かは知らないです」
目の前で固まっている人に視線を合わせると、だんだん顔が赤くなっているのが分かる。
…怒らせてしまったかもしれない。
「君には彼がどれだけすごいか分かるか?とても頭がいいんだ。他の人間なんかよりもずっと優れている」
「…教授さんが知っているのは、それだけですか?」
「どういう意味だ?」
威圧的な話し方をする相手は怖いけれど、ここで黙って逃げるなんて嫌だ。
「私が知っている彼は、とてもがんばり屋さんです。周りのことをよく見ていて、誰かの助けになろうといつも必死で…時々無理をしています。
そんな優しい人に、嫌がることを頼もうとしているんですか…?」
相手に殴られるならそれでもいい。
その覚悟でなんとか掠れる声を絞りだすと、相手が何かを言う前に冬真が私と相手の間に立った。
「…もういいでしょう。彼女に手を出すつもりなら絶対に許さない。
少なくとも、僕はあなたの話を受けるつもりはありません。分かったら帰ってください」
「雪城君、」
「二度とここには来ないでください。次は警察を呼びます」
教授さんは悔しそうな顔をしながら、ドアを乱暴に開けて出ていってしまった。
これでよかったのか分からないけれど、なんだかほっとして体から力が抜ける。
「大丈夫?」
「ごめんなさい。人に伝えるのは難しいんですね…」
「…なんで僕なんかの為にあそこまでしてくれたの?」
まさかそんなことを訊かれるとは思っていなくて、ぽかんとしてしまう。
たしかにあんなふうにはっきり言葉にしたのは初めてだったけれど、どうしてと言われても何か答えがあるわけじゃない。
「気づいたら、体が動いていました」
「…君のそういうところ、ちょっと危ないと思う」
「そうでしょうか?」
「喧嘩をふっかける相手を間違えたら本当に危ないんだよ。だけど、今回は、その…ありがとう」
「い、いえ。お役に立ててよかったです」
自分にどんなことができたのかなんて全然分からないけれど、冬真が笑ってくれてよかった。
「秋久さんたちには、話さないんですか?」
「今回は僕個人のことだし、実はあの人の弱みならよく知ってるんだ。
だから、今はまだ話さなくても大丈夫。できるだけ自力でどうにかしたいしね」
「分かりました」
少し不安になりながらも、すっかり冷めてしまった料理を温めなおす。
平気だと思ったのに、やっぱり足が震えてしまった。
それでも、こんなふうにいきなり来られたら誰だって困る。
「あ、あの…嫌がっている人に強引に迫るのはよくないと思います」
「なんだね、君は。雪城君の関係者か?」
「私は、ただの居候です。あなたが誰かは知らないです」
目の前で固まっている人に視線を合わせると、だんだん顔が赤くなっているのが分かる。
…怒らせてしまったかもしれない。
「君には彼がどれだけすごいか分かるか?とても頭がいいんだ。他の人間なんかよりもずっと優れている」
「…教授さんが知っているのは、それだけですか?」
「どういう意味だ?」
威圧的な話し方をする相手は怖いけれど、ここで黙って逃げるなんて嫌だ。
「私が知っている彼は、とてもがんばり屋さんです。周りのことをよく見ていて、誰かの助けになろうといつも必死で…時々無理をしています。
そんな優しい人に、嫌がることを頼もうとしているんですか…?」
相手に殴られるならそれでもいい。
その覚悟でなんとか掠れる声を絞りだすと、相手が何かを言う前に冬真が私と相手の間に立った。
「…もういいでしょう。彼女に手を出すつもりなら絶対に許さない。
少なくとも、僕はあなたの話を受けるつもりはありません。分かったら帰ってください」
「雪城君、」
「二度とここには来ないでください。次は警察を呼びます」
教授さんは悔しそうな顔をしながら、ドアを乱暴に開けて出ていってしまった。
これでよかったのか分からないけれど、なんだかほっとして体から力が抜ける。
「大丈夫?」
「ごめんなさい。人に伝えるのは難しいんですね…」
「…なんで僕なんかの為にあそこまでしてくれたの?」
まさかそんなことを訊かれるとは思っていなくて、ぽかんとしてしまう。
たしかにあんなふうにはっきり言葉にしたのは初めてだったけれど、どうしてと言われても何か答えがあるわけじゃない。
「気づいたら、体が動いていました」
「…君のそういうところ、ちょっと危ないと思う」
「そうでしょうか?」
「喧嘩をふっかける相手を間違えたら本当に危ないんだよ。だけど、今回は、その…ありがとう」
「い、いえ。お役に立ててよかったです」
自分にどんなことができたのかなんて全然分からないけれど、冬真が笑ってくれてよかった。
「秋久さんたちには、話さないんですか?」
「今回は僕個人のことだし、実はあの人の弱みならよく知ってるんだ。
だから、今はまだ話さなくても大丈夫。できるだけ自力でどうにかしたいしね」
「分かりました」
少し不安になりながらも、すっかり冷めてしまった料理を温めなおす。
平気だと思ったのに、やっぱり足が震えてしまった。
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