裏世界の蕀姫

黒蝶

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冬真ルート

第47話

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「おはようございます」
「…おはよう」
スノウの足にくくりつけられていた手紙を読んだ冬真は、ただため息を吐いた。
「どうかしたんですか?」
「…あいつが、包帯を換えてほしいって。行かないわけにはいかない」
そう話す彼の表情は曇っていて、行きたくないと思っているのはすぐ分かった。
どうやって話したらいいのか分からないからなのか、私が知らない理由があるのか…ただ、困っている顔を見たくない。
「あ、あの…」
「どうかしたの?」
「私も、ついていっていいですか?」
「ここに君をひとりで置いておくわけにはいかないし、僕は別にいいよ。だけど、昨日の今日で疲れない?」
「平気です。ありがとうございます」
「それならいいけど…」
まとめていた荷物を机に置いて、冬真はふっと息を吐いた。
「…大学に行けないってこと、すっかり忘れてた」
やっぱり冬香さんのことが完全に嫌いというわけではないみたいだ。
そう考えると、なんだか微笑ましくなってしまう。
「それじゃあ行こうか」
「は、はい」
廃れた教会のような場所に足を踏み入れると、冬香さんが横たわっていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「ああ…ふたりとも、もう来てくれたんだ」
「あんたが呼んだからでしょ?一応治療はしないといけないから…。早く帰らないといけないし」
「カルテットのメンバーに会わなくてもいいようにっていう配慮か…冬真優しい」
冬香さんの言葉を全然聞いていないのか、冬真はそのまま手当てをはじめた。
恐らく痛みで顔を歪める冬香さんと、それでもできるだけ無表情で手当てを続ける冬真。
ふたりを見ているとやっぱり微笑ましい。
「できた。もう帰る」
「あ…」
冬香さんの側に風呂敷に包まれた何かがあるのは分かったけれど、それを調べる前にそそくさと歩いていく冬真を追いかける。
慌てていると、後ろから胸ポケットに何かを入れられた。
「後で見て」
冬香さんの声にただ頷く。
もしかすると証拠かもしれないし、冬真の役に立てる何かかもしれない。
少し離れた場所で止まってくれていた冬真の少し後ろを歩きながら、ふたりの雰囲気を察知した。
「冬真、」
「大丈夫。ふたりくらい追いかけてきてるのは分かってるから」
「どうして冬真は、冬香さんの手当てをしようって決めたんですか?」
「…やっぱり、もう誰かが死ぬのを見たくないから。スラムで見てきた光景を繰り返さない為に、周りの人だけは…」
そこで会話が止まったのは、前方にラムネ屋さんの車のようなものが見えたからだ。
「ごめん、ちょっと走る」
ついていくだけでせいいっぱいだったけれど、ラムネ屋さんたちが追いかけてくる気配はない。
ここでは蕀さんたちの力を借りるのは難しいし、どうやって切り抜けよう。
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