物置小屋

１人向け・イベント系

散り桜(プチ花見)

こんばんは。突然だけど、君の寿命はあと1時間で尽きます。
もしやり残したことがあるなら手伝うけど、何かある？
…ごめん。突然こんなことを言われても受け入れられないのは分かっているつもりだ。
だけど、時間がない。早く決めないと本当に後悔することになる。
…桜？そんなことでいいの？分かった。
随分疲れているみたいだけど、歩けそう？
ふらふらだね。…仕方ない。掴まって。
謝らなくていい。別に怒っていないから。

着いたよ。たしか、この飲み物が好きなんだよね？
なんでそんなに驚いてるの？…情報は読んだよ、君のこと。
恋人に裏切られて、世界の闇に呑まれて…自分の手で命を終わらせようとしたでしょ。
その願いが叶う形になってしまったわけだけど、怖くない？
生きている方が怖い、か。…たしかに君の世界は腐っている。
君を毒すものばかりでちっとも気が休まらない。
体調が良くないのも誰にも話せなかったんでしょ？
…こんなに必死で生きているのにね。
僕は、どんな終わり方であれ足掻いてもがいた人を笑ったりしない。
今日までよく頑張りました。…撫でてほしい？いいよ。
そろそろ時間だ。行こうか。


自分に生きた意味があったのか、か。
むごいな、沢山頑張っても報われない命というのは。…願わくば、彼女に実りある世界を。
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優しい死神の話にしました。