皓皓、天翔ける

黒蝶

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第11章『迷人』

閑話『通じた想い』

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「…やっぱりここにいたんだ」
「どうしても気になってしまって…」
何故病院を知っていたのか不明だが、そんなことより今は目の前のふたりを見守ることが重要だ。
「米田、先生……?」
「曽根さん!よかった、目が覚めたんだね」
「なんで…」
「3日間意識が戻らなかったんだ。道の途中で倒れているのを見たときは驚いたよ。
ご家族に連絡してみたんだけど繋がらなくて…。目が覚めたって連絡しておくね」
「待って。しなくて、いいです。どうせ僕のことなんか、気にしてないから」
心に負った傷を隠すように、少女はただにっこり微笑む。
その表情を見た男性は、何かを察したように持っていた携帯電話を仕舞う。
「米田先生は、」
「もうすぐ夏も終わりだし、先生って呼ばなくていいよ」
「じゃあ…エンペラーさんは、いつから僕の正体に気づいてたの?」
「逆になんで俺の正体を知ってるの!?ばれてないと思ってたのに…」
少女ははっとした表情をしていたが、照れくさそうにしながら話す。
「…僕と、と、友だちに……」
「俺でいいなら喜んで」
「退院したら、オフ会しましょう」
「分かった。それじゃあそのときは、ぽかぽかオンラインのメッセージにでも送って。
…まあ、毎日ここに来るからそのときでもいいんだけど」
「え、ええ…?」
戸惑った様子にも見えるが、少し嬉しそうだ。決して嫌がっているわけではない。
ここまで見届けられれば充分だ。
「もう行くの?」
「君は行かないの?」
少し慌てた様子で歩きはじめる彼女の後ろをついていく。
病院を出てから、ぼうっとしていた理由を知らされた。
「…ただ、ひとつ確認したかっただけ」
「確認?」
星影氷空がスマホの画面を見せてくる。
そこに映し出されたのは何かのランキング表で、上位30人の名前が載っていた。
「それに何かあるの?」
「1位と5位のところ、多分あのふたりなんだろうなって…」
1位のところにはエンペラーと書かれていて、5位のところにはゆりの文字がある。
「…ゲーム王者の教師なんているんだね」
「氷雨君はゲームしたりしないの?」
「ゲームセンターには時々行くけど、パソコンのゲームはやったことがない」
「そうなんだ…」
いつもならここまでで会話は終わるが、たまには訊いておくのも悪くないだろう。
「ぽかぽかオンラインとやらは、そんなに面白いの?」
「えっと…私は楽しくやってる。自分のキャラクターのレベルを上げて、可愛いモンスターのお願いを叶えるゲームなんだ。
さっきのランキングは戦闘モードのランキングだけど、私は主にやっているのは推理モードで…」
こんなに話す彼女も珍しい。
居心地が悪いわけでもなく、ただ頷いて話を聞く。
少し興味がわいたところでゲームセンターが見えた。
「…俺はこれで。話、分かりやすかった」
「そっか。よかった。…それじゃあまた今夜」
結局彼女の核心に迫れていないがそれでいい。
ある程度距離を保てなければ、きっと苦しくなるから。
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