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第20章『聖夜の願い』
第115話
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重い体を動かしながら、総合病院の病棟にこっそり侵入する。
まさかこんなに雪が降っているとは思わなかった。
「歌穂ちゃん…」
そうぽつりと呟いて、窓の外を眺めている女の子がひとり佇んでいる。
《友ちゃん!》
私の体から離れた女の子が必死に話しかけているけど、やっぱりその声は届いていない。
横にいる氷雨君をちらっと見ると、いつもの営業スマイルで友だちの子に近づいていった。
「こんばんは。歌穂さんがあなたのことを呼んでいます」
「あなたたち、誰…え、歌穂ちゃんのこと知ってるんですか?」
「信じていただけるか分かりませんが、今この場に板倉歌穂さんがいます」
信じてもらえなかったらどうなるんだろうと思ったけど、友だちの子は信じてくれているみたいだった。
「嘘でもいいです。…私との約束、覚えていてくれたんだ」
友だちの子は、目に涙を浮かべて必死で笑顔を作っている。
「歌穂ちゃんと一緒に雪を見ようって、いつも話してて…。私もあんまり長くないから、桜を見るまでは生きられないだろうって思っていたんです。
だから、クリスマスに雪が降ったら雪だるまを作ろうって話てて…」
《友ちゃん、死んじゃうの?》
「あなたが長くないことを、歌穂さんはご存じなかったんですか?」
「はい。歌穂ちゃんがあんまり長くないことも知ってたけど、あんなに頑張って治療しているところを見たら、もうすぐ天国に行くなんて言えなかった…。
私も、せめてあの世へ行く前に小学校の卒業式に出たかったな」
彼女が少し大人びて見えるのは、お客様より少し年上だからなのかもしれない。
《大丈夫。友ちゃんは死なないよ》
その言葉を氷雨君が伝えようとしたところで、体が勝手に動き出す。
「友ちゃん、は、まだ、死なない」
「え…」
そんなことを言うつもりなんてなかったのに、口からぽろっと言葉が零れ落ちる。
「私が、友ちゃん、を…護るから」
「歌穂ちゃん、なの?」
自分の口からどんどん言葉が漏れていくのを止められない。
「歌穂さんが彼女に取り憑いています」
「え…?」
「歌穂さんの願いは──で、このままだと彼女は──」
だんだん意識が薄れていって、そこから先の記憶はない。
ただ、女の子の記憶がうっすら流れこんできた。
「友ちゃん、雪が降ったら雪だるま作ろう。私、それまで治療頑張るから!」
「分かった。私もそれまで薬も他の治療も頑張るよ」
「プレゼントも用意しておくね」
「私、歌穂ちゃんに歌ってほしいな」
「分かった!歌の練習しておくね」
女の子はそう言って、自分の部屋に戻って寝はじめた。
……自分の枕の裏に小さな包みを隠して。
まさかこんなに雪が降っているとは思わなかった。
「歌穂ちゃん…」
そうぽつりと呟いて、窓の外を眺めている女の子がひとり佇んでいる。
《友ちゃん!》
私の体から離れた女の子が必死に話しかけているけど、やっぱりその声は届いていない。
横にいる氷雨君をちらっと見ると、いつもの営業スマイルで友だちの子に近づいていった。
「こんばんは。歌穂さんがあなたのことを呼んでいます」
「あなたたち、誰…え、歌穂ちゃんのこと知ってるんですか?」
「信じていただけるか分かりませんが、今この場に板倉歌穂さんがいます」
信じてもらえなかったらどうなるんだろうと思ったけど、友だちの子は信じてくれているみたいだった。
「嘘でもいいです。…私との約束、覚えていてくれたんだ」
友だちの子は、目に涙を浮かべて必死で笑顔を作っている。
「歌穂ちゃんと一緒に雪を見ようって、いつも話してて…。私もあんまり長くないから、桜を見るまでは生きられないだろうって思っていたんです。
だから、クリスマスに雪が降ったら雪だるまを作ろうって話てて…」
《友ちゃん、死んじゃうの?》
「あなたが長くないことを、歌穂さんはご存じなかったんですか?」
「はい。歌穂ちゃんがあんまり長くないことも知ってたけど、あんなに頑張って治療しているところを見たら、もうすぐ天国に行くなんて言えなかった…。
私も、せめてあの世へ行く前に小学校の卒業式に出たかったな」
彼女が少し大人びて見えるのは、お客様より少し年上だからなのかもしれない。
《大丈夫。友ちゃんは死なないよ》
その言葉を氷雨君が伝えようとしたところで、体が勝手に動き出す。
「友ちゃん、は、まだ、死なない」
「え…」
そんなことを言うつもりなんてなかったのに、口からぽろっと言葉が零れ落ちる。
「私が、友ちゃん、を…護るから」
「歌穂ちゃん、なの?」
自分の口からどんどん言葉が漏れていくのを止められない。
「歌穂さんが彼女に取り憑いています」
「え…?」
「歌穂さんの願いは──で、このままだと彼女は──」
だんだん意識が薄れていって、そこから先の記憶はない。
ただ、女の子の記憶がうっすら流れこんできた。
「友ちゃん、雪が降ったら雪だるま作ろう。私、それまで治療頑張るから!」
「分かった。私もそれまで薬も他の治療も頑張るよ」
「プレゼントも用意しておくね」
「私、歌穂ちゃんに歌ってほしいな」
「分かった!歌の練習しておくね」
女の子はそう言って、自分の部屋に戻って寝はじめた。
……自分の枕の裏に小さな包みを隠して。
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