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第22章『水底にて』
閑話『オフィーリアの慈悲』
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星影氷空から預かった手紙を届けに山奥へ向かう。
そこには小さなアトリエがそびえ立っていた。
扉をノックして部屋に入る。
「こんにちは。山口健太さんでしょうか?」
「そうですが」
苛ついている男に手紙を差し出す。
「あなたのオフィーリアから手紙です」
「……はあ?」
「彼女はそう名乗っていました」
破り捨てようとしている男の手首を握り、思いきり封を切った。
「読んでください」
低い声で半ば脅すように話すと、男はようやく目を通しはじめた。
【山口さん
自首してください。あなたが私たちに対してやったことは、ただの人殺しです。
あなたを怪しいと思った時点で知らせておけばよかった。1日だけ待ちます。それで自首しないなら……
自首しないならしないならしないならしないならしないならしないなら
覚悟しろ】
「ひっ…」
「それでは、失礼します」
西口真理は少しだけ脅し文句を書くと話していた。
血に見えるように書かれた覚悟しろの文字は、ただの赤いインクを使って書かれている。
だが、目の前の殺人鬼からすれば気が気ではではないだろう。
「ま、待て」
「どうかなさいまし──」
「おら!」
振り上げられたペティナイフをへし折り、殺人鬼もろとも床に転がす。
「手紙に何が書かれていたか知りませんが、いきなり殺そうと襲いかかるのはいかがなものかと思います」
「なんだと、この、」
「この…なんだ?」
西口真理は自分が最後の犠牲者になるはずだと話していた。
それなら死んだ甲斐があったものだと、笑って話していたのだ。
彼女の善意を踏みにじるどころか、ぼろぼろになるまで踏み荒らしていることに何故気づかないんだろう。
「本気で殺す覚悟もない奴が、他者に武器を向けるな」
「ば、化け物!」
「…それでも失礼いたします」
そそくさとその場を離れ、もうひとつの封筒をある人物の家のポストに直接投函する。
今はばたはたしているたろうから、直接渡さない方がいい…西口真理の判断だ。
山上美沙の遺族たちにも、これで真実が伝わるはずだ。
あとは翌日まで自首しないのを見届けてから、警察署宛の手紙を送ればそれで終わる。
幾度となく繰り返してきた作業だが、犯人に対する憎悪の手紙以外をこれだけ用意する人間は初めてかもしれない。
「氷雨君?」
「なんでここにいるの?」
「住所を調べたんだ。もう少し山奥だったけど…」
「アトリエには近づかない方がいい」
「どういうこと?」
恐らく作業台に広げられていたのは、新たな作品の材料だ。
彼女が捕らえられてしまっては困る。
…何故今困ると思ったんだろう。
「あ、その…頭、隠さなくていいの?」
「頭?」
…そういうことか。
「これからデザートを食べに行くから、ちょっとつきあって」
「分かった」
アトリエを見に行く時間があるなら、スイーツを堪能する程度の時間はあるだろう。
持っていた帽子でなんとか頭を隠し、そのまま喫茶店へ足を運ぶ。
なんだか少し元気がないように見えるのは、きっと気の所為なんかじゃない。
そこには小さなアトリエがそびえ立っていた。
扉をノックして部屋に入る。
「こんにちは。山口健太さんでしょうか?」
「そうですが」
苛ついている男に手紙を差し出す。
「あなたのオフィーリアから手紙です」
「……はあ?」
「彼女はそう名乗っていました」
破り捨てようとしている男の手首を握り、思いきり封を切った。
「読んでください」
低い声で半ば脅すように話すと、男はようやく目を通しはじめた。
【山口さん
自首してください。あなたが私たちに対してやったことは、ただの人殺しです。
あなたを怪しいと思った時点で知らせておけばよかった。1日だけ待ちます。それで自首しないなら……
自首しないならしないならしないならしないならしないならしないなら
覚悟しろ】
「ひっ…」
「それでは、失礼します」
西口真理は少しだけ脅し文句を書くと話していた。
血に見えるように書かれた覚悟しろの文字は、ただの赤いインクを使って書かれている。
だが、目の前の殺人鬼からすれば気が気ではではないだろう。
「ま、待て」
「どうかなさいまし──」
「おら!」
振り上げられたペティナイフをへし折り、殺人鬼もろとも床に転がす。
「手紙に何が書かれていたか知りませんが、いきなり殺そうと襲いかかるのはいかがなものかと思います」
「なんだと、この、」
「この…なんだ?」
西口真理は自分が最後の犠牲者になるはずだと話していた。
それなら死んだ甲斐があったものだと、笑って話していたのだ。
彼女の善意を踏みにじるどころか、ぼろぼろになるまで踏み荒らしていることに何故気づかないんだろう。
「本気で殺す覚悟もない奴が、他者に武器を向けるな」
「ば、化け物!」
「…それでも失礼いたします」
そそくさとその場を離れ、もうひとつの封筒をある人物の家のポストに直接投函する。
今はばたはたしているたろうから、直接渡さない方がいい…西口真理の判断だ。
山上美沙の遺族たちにも、これで真実が伝わるはずだ。
あとは翌日まで自首しないのを見届けてから、警察署宛の手紙を送ればそれで終わる。
幾度となく繰り返してきた作業だが、犯人に対する憎悪の手紙以外をこれだけ用意する人間は初めてかもしれない。
「氷雨君?」
「なんでここにいるの?」
「住所を調べたんだ。もう少し山奥だったけど…」
「アトリエには近づかない方がいい」
「どういうこと?」
恐らく作業台に広げられていたのは、新たな作品の材料だ。
彼女が捕らえられてしまっては困る。
…何故今困ると思ったんだろう。
「あ、その…頭、隠さなくていいの?」
「頭?」
…そういうことか。
「これからデザートを食べに行くから、ちょっとつきあって」
「分かった」
アトリエを見に行く時間があるなら、スイーツを堪能する程度の時間はあるだろう。
持っていた帽子でなんとか頭を隠し、そのまま喫茶店へ足を運ぶ。
なんだか少し元気がないように見えるのは、きっと気の所為なんかじゃない。
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