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第23章『凍えそうな季節から』
第129話
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「寒…」
屋上は凍えるような寒さで、もうお昼を楽しめる場所ではなくなってしまったと悟る。
教室は人が多いしどうしようと悩んでいると、氷雨君が手をひいてくれた。
「あの、氷雨君?」
「こっち。ここの空き教室なら人が来ない」
氷雨君ははじめからこの場所で過ごすつもりだったみたいで、ブランケットや小説が置かれていた。
「私もここにいていいの?」
「君だから別にいい」
その言葉に、なんだか心がぽかぽかする。
「えっと、お弁当…どうぞ」
「相変わらず律儀だね」
受け取ってもらえただけで充分だ。
いつか見たあの小さな角みたいなものは、今日は出ていない。
人間じゃないという言葉がずっと気になっているけど、やっぱり細かいことは聞けずじまいでいる。
「そういえば、新聞見た?芸術殺人の犯人が捕まったって…」
「そうらしいね」
「あのお客様の手紙が関係してるの?」
「…まあ、そんなところかな」
あの女性は、自分が最後の被害者になると話していた。
それなら警察に証拠が送られていても不思議じゃない。
「今夜は少し早めに来て」
「…?うん、分かった」
どうしてそんなことを言われたのか分からなかったけど、特に用事もなかったから夕方すぐに向かった。
「本日のお客様の死因は凍死だから、先にエアコンや毛布を用意しておきたいんだ。手伝ってほしい」
「分かった」
この前の女性も寒そうだったけど、凍え死ぬという感覚はどんなものだったんだろう。
苦しいことは分かるけど、個室を用意してこれだけ前から温める必要があるくらい心まで冷えきってしまった人がやってくる。
「他は何を用意すればいい?」
「…ほっかいろ。あと、のど飴や飲み物を大量に持っててほしい。
あくまで俺の偏見だけど、喉がからからだと思うからお客様に選んでもらおう」
「分かった。ワゴンに入れておくね」
準備をしながら氷雨君をちらっと見ると、頭に小さな角みたいなものが生えている。
この表現でいいのかいまいち分からないけど、ただついている感じじゃない。
「…気になる?」
「え?…あ、ごめんなさい」
じろじろ見られたら誰だって気になる。
「謝らなくていい。いつかちゃんと話さないといけないことは分かってるから。…触る?」
「えっと、それじゃあ少しだけ…」
そっと触ってみると、少し温かい気がする。
「どうして左側だけにあるの?」
「それは…」
そこまで話したところで、氷雨君は素早く帽子をかぶる。
「随分早いですね、矢田、長田さん」
「俺たちの担当、ちょっと大変なので…」
「氷空ちゃん、今日も可愛い!」
「えっと…え?え?」
「雪、氷空ちゃんを困らせない。すみません、俺たちもう行きますね」
ふたりが車両を離れてそんなに経たないうちに、発車ベルが鳴り響く。
慌てて身なりを整えて、お客様を出迎えた。
屋上は凍えるような寒さで、もうお昼を楽しめる場所ではなくなってしまったと悟る。
教室は人が多いしどうしようと悩んでいると、氷雨君が手をひいてくれた。
「あの、氷雨君?」
「こっち。ここの空き教室なら人が来ない」
氷雨君ははじめからこの場所で過ごすつもりだったみたいで、ブランケットや小説が置かれていた。
「私もここにいていいの?」
「君だから別にいい」
その言葉に、なんだか心がぽかぽかする。
「えっと、お弁当…どうぞ」
「相変わらず律儀だね」
受け取ってもらえただけで充分だ。
いつか見たあの小さな角みたいなものは、今日は出ていない。
人間じゃないという言葉がずっと気になっているけど、やっぱり細かいことは聞けずじまいでいる。
「そういえば、新聞見た?芸術殺人の犯人が捕まったって…」
「そうらしいね」
「あのお客様の手紙が関係してるの?」
「…まあ、そんなところかな」
あの女性は、自分が最後の被害者になると話していた。
それなら警察に証拠が送られていても不思議じゃない。
「今夜は少し早めに来て」
「…?うん、分かった」
どうしてそんなことを言われたのか分からなかったけど、特に用事もなかったから夕方すぐに向かった。
「本日のお客様の死因は凍死だから、先にエアコンや毛布を用意しておきたいんだ。手伝ってほしい」
「分かった」
この前の女性も寒そうだったけど、凍え死ぬという感覚はどんなものだったんだろう。
苦しいことは分かるけど、個室を用意してこれだけ前から温める必要があるくらい心まで冷えきってしまった人がやってくる。
「他は何を用意すればいい?」
「…ほっかいろ。あと、のど飴や飲み物を大量に持っててほしい。
あくまで俺の偏見だけど、喉がからからだと思うからお客様に選んでもらおう」
「分かった。ワゴンに入れておくね」
準備をしながら氷雨君をちらっと見ると、頭に小さな角みたいなものが生えている。
この表現でいいのかいまいち分からないけど、ただついている感じじゃない。
「…気になる?」
「え?…あ、ごめんなさい」
じろじろ見られたら誰だって気になる。
「謝らなくていい。いつかちゃんと話さないといけないことは分かってるから。…触る?」
「えっと、それじゃあ少しだけ…」
そっと触ってみると、少し温かい気がする。
「どうして左側だけにあるの?」
「それは…」
そこまで話したところで、氷雨君は素早く帽子をかぶる。
「随分早いですね、矢田、長田さん」
「俺たちの担当、ちょっと大変なので…」
「氷空ちゃん、今日も可愛い!」
「えっと…え?え?」
「雪、氷空ちゃんを困らせない。すみません、俺たちもう行きますね」
ふたりが車両を離れてそんなに経たないうちに、発車ベルが鳴り響く。
慌てて身なりを整えて、お客様を出迎えた。
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