皓皓、天翔ける

黒蝶

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第23章『凍えそうな季節から』

第131話

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《聞き上手だから話していて楽しい、なんて言ってもらえることもあったけど…保身なんです。
それに、人と関わるのはあんまり好きじゃないので、ひとりでいることの方が多いです》
少年の声がだんだん小さくなっていく。
お客様の考えにすごく共感した。
周囲を不快にさせないようにふるまって、何があっても平気なふりをして息をするように相槌を打つ。
…そうしていれば、誰も傷つけずにすむ気がして。
《でも俺、あんまり自分の気持ちを伝えるのが得意じゃなくて…。多分、傷つけたこともあったと思います。
それに、何を考えているかすごく分かりづらい、怖いって感じる人もいたから…。すみません、こんなことを話してしまって》
「いえ。私も人と話すのは得意な方ではないので…その気持ち、すごく分かります」
《あ…そう、なんですね》
少年は戸惑っているように見える。
それもそうだ。こうやって人と話す仕事をしているのに、あんなことを言っても信じられないと思う。
…そういえば、どうしてお仕事の間はあんまり緊張しないんだろう。
《あ、あの…》
「申し訳ありません。少しぼんやりしてしまって…」
《いえ!俺の方こそすみません。チョコレートってありますか?》
「板チョコでよろしければこちらにあります」
《それをください。カフェオレを飲むとき、一緒に食べるとほっとするんです。
昔、近所に住んでいた幼馴染が教えてくれて…》
「幼馴染さんがいらっしゃったんですね」
《はい。彼女には昔から何もかもお見通しだったな…》
少年が少しほっとした顔をしたのを見て、なんだか私も和んだ。
人に恨まれているわけではなさそうな彼が、どうして凍死してしまったんだろう。
…それより今は、もう少し話を聞きたい。
《幼馴染は、俺と違って明るい子なんです。だけど、いつも誰かの心に寄り添っていて…そんな彼女が羨ましかった。
中学の途中で転校することになって、それ以来直接会えてないんです。でも、手紙がよくきます》
「手紙を書くの、楽しいですよね」
私もよくおばさんに書いているから分かる。
急ぎの連絡のときはスマホを使うけど、母の日や暑中寒中見舞いは葉書や手紙を書く。
《通話で話すことも多いんですけど、手書きの方が沢山話せる気がして…。
小さい頃からずっと手紙の交換はしていたし、彼女の負担にならない程度にやりとりしていました》
少年は幼馴染さんの話をしているとき、声が弾んでいる。
やっぱりそれどけ安らぐ相手だったということだろうか。
《…あんまり学校好きじゃないから、それが支えだったんです。でも、最近話す機会が減りました》
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