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第25章『届けたい想い』
第149話
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……ここはどこだろう。
「綾子…」
「潤、私はもう覚悟を決めてるよ」
先程の男性が立っているということは、私はまた意識を失ったんだ。
目の前に流れているのは恋物語。
「僕たちを、その子の親にしてください」
「分かりました。これより手続きにうつらせていただきます」
身分証明や人となり…他にもみたことがない資料が沢山並んでいる。
ふたりはそれだけ必死で娘さんを迎え入れたんだろう。
けれど、その幸せは長く続かない。
「綾子、ごめん。僕がもっと早く帰ってきていれば…」
「ママ、どうしたの?」
「ママは、お星さまになったんだ。ずっと空で見守ってるって」
「お星さま…夜になったら会えるね!」
無邪気な子どもの声と、必死に涙を堪えている男性。
見ているだけで胸が締めつけられる光景だった。
──それから3年後。
「お父さん、おはよう!」
「おはよう。…あれ、朝ご飯ができてる?まさかこれ、千佳が作ってくれたの?」
「えへへ…。お父さんやお姉さんみたいに上手にはできなかったけと、食べてくれる?」
「ありがとう!すごく嬉しいよ!」
親子は支えあって生きている。
そこにくわわっていたのが家政婦さんだ。
夜遅くに男性が家に帰ると、家政婦さんが何やら用意している様子だった。
「曽根さん、いつもすみません」
「いえ。今日の千佳ちゃんからのお手紙、テーブルに置いてあります。
それから、近々授業参観があるようです。お父さんに迷惑はかけられないから、おたよりを見せたくないと私にくれました」
「そうですか…」
「あ、でもさっき学校に確認をとったところ、1年生の教室は1階だしなんとかする、来校お待ちしておりますと返答をいただきました」
「ありがとうございます。…楽しみだな」
家政婦さんは微笑んで、静かに帰っていった。
渡された手紙と娘さんの手紙を交互に読んで、男性は娘さんの手提げかばんに学校への手紙を書いた。
本当はこっそり見に行くつもりだったんだろう。
…それが崩れたのは、あまりに突然だった。
「今日も曽根さんが来てくれるから、ちゃんとご飯食べてね」
「分かった…。いってらっしゃい」
「戸締まりはしっかりしておくんだよ」
「うん」
「…帰ったらちゃんとおはなし聞くから」
男性が家を出てしばらく歩いたところで、娘さんの顔がちらつく。
「鎌田です。申し訳ないんですが、残りの作業は持ち帰りで構いませんか?」
「ああ、かまわないよ。娘さんとの時間も大切だ」
「ありがとうございます」
電話が終わったところで、誰かが車椅子にぶつかる。
「すみません」
声をかけたものの、相手は無反応だった。
その顔は、最近出ると話を聞いた不審者の顔。
嫌な予感がして急いで車椅子で来た道を戻ると、自分の家が燃えていた。
「千佳!」
周りの人たちが見ている場所とは真逆の方向へ車椅子を走らせる。
そして、迷うことなく炎へ飛びこんだ。
「千佳!」
「お父さ、ごめ…」
「ひとりにしないって言っただろう?」
そう話した直後、鈍い痛みが体中に走る。
「誰かいませんか!?」
「近所の人の話では父娘が暮らしているはずだ。探せ!」
そんな声が、少し離れた場所から聞こえる。
「千佳…」
抱きかかえたまま、倒れた柱の下敷きになった男性はホイッスルを吹く。
「おい、誰かいるぞ!」
「大丈夫ですか!?すぐ病院へ──」
そこからどんどん意識が遠くなり、男性の体から力が抜けていく。
…そのまま意識が戻ることはなく、男性は生を終えた。
「綾子…」
「潤、私はもう覚悟を決めてるよ」
先程の男性が立っているということは、私はまた意識を失ったんだ。
目の前に流れているのは恋物語。
「僕たちを、その子の親にしてください」
「分かりました。これより手続きにうつらせていただきます」
身分証明や人となり…他にもみたことがない資料が沢山並んでいる。
ふたりはそれだけ必死で娘さんを迎え入れたんだろう。
けれど、その幸せは長く続かない。
「綾子、ごめん。僕がもっと早く帰ってきていれば…」
「ママ、どうしたの?」
「ママは、お星さまになったんだ。ずっと空で見守ってるって」
「お星さま…夜になったら会えるね!」
無邪気な子どもの声と、必死に涙を堪えている男性。
見ているだけで胸が締めつけられる光景だった。
──それから3年後。
「お父さん、おはよう!」
「おはよう。…あれ、朝ご飯ができてる?まさかこれ、千佳が作ってくれたの?」
「えへへ…。お父さんやお姉さんみたいに上手にはできなかったけと、食べてくれる?」
「ありがとう!すごく嬉しいよ!」
親子は支えあって生きている。
そこにくわわっていたのが家政婦さんだ。
夜遅くに男性が家に帰ると、家政婦さんが何やら用意している様子だった。
「曽根さん、いつもすみません」
「いえ。今日の千佳ちゃんからのお手紙、テーブルに置いてあります。
それから、近々授業参観があるようです。お父さんに迷惑はかけられないから、おたよりを見せたくないと私にくれました」
「そうですか…」
「あ、でもさっき学校に確認をとったところ、1年生の教室は1階だしなんとかする、来校お待ちしておりますと返答をいただきました」
「ありがとうございます。…楽しみだな」
家政婦さんは微笑んで、静かに帰っていった。
渡された手紙と娘さんの手紙を交互に読んで、男性は娘さんの手提げかばんに学校への手紙を書いた。
本当はこっそり見に行くつもりだったんだろう。
…それが崩れたのは、あまりに突然だった。
「今日も曽根さんが来てくれるから、ちゃんとご飯食べてね」
「分かった…。いってらっしゃい」
「戸締まりはしっかりしておくんだよ」
「うん」
「…帰ったらちゃんとおはなし聞くから」
男性が家を出てしばらく歩いたところで、娘さんの顔がちらつく。
「鎌田です。申し訳ないんですが、残りの作業は持ち帰りで構いませんか?」
「ああ、かまわないよ。娘さんとの時間も大切だ」
「ありがとうございます」
電話が終わったところで、誰かが車椅子にぶつかる。
「すみません」
声をかけたものの、相手は無反応だった。
その顔は、最近出ると話を聞いた不審者の顔。
嫌な予感がして急いで車椅子で来た道を戻ると、自分の家が燃えていた。
「千佳!」
周りの人たちが見ている場所とは真逆の方向へ車椅子を走らせる。
そして、迷うことなく炎へ飛びこんだ。
「千佳!」
「お父さ、ごめ…」
「ひとりにしないって言っただろう?」
そう話した直後、鈍い痛みが体中に走る。
「誰かいませんか!?」
「近所の人の話では父娘が暮らしているはずだ。探せ!」
そんな声が、少し離れた場所から聞こえる。
「千佳…」
抱きかかえたまま、倒れた柱の下敷きになった男性はホイッスルを吹く。
「おい、誰かいるぞ!」
「大丈夫ですか!?すぐ病院へ──」
そこからどんどん意識が遠くなり、男性の体から力が抜けていく。
…そのまま意識が戻ることはなく、男性は生を終えた。
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