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六話 取られたくない sideルナ
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次の日、朝目が覚めると、体が重かった。
「うっ…」
口を押えて僕は洗面所に向かい、そして嘔吐する。
「けほっ…げほっ…ごほっ」
胸が苦しい。痛い……気持ち悪いの止まらない。
「ルナ!?」
「ふぇ…る…」
吐いているとフェルがやって来て、僕の背中を摩ってくれる。
何度か吐いて、やっと楽になったけど、視界が回って辛くて目を開けてられなくて、僕はフェルの手を握る。
「お願い……フェル……傍にいて……居なくならないで…」
「居なくならないよ。安心して」
フェルは僕を抱き上げてくれて、優しく背中を撫でてくれる。
しかし、ルナのこの病何なんだろ?
確かゲーム内の設定の中に不治の病というものがあった
ヒロインのアクアが患っているのだが、どんな病なのかは触れられなくよくわからないままのもの。
ただその病を治せるのはフェルだけという設定はあったけど、何かの理由があって、フェルはまだ病を治すことができなかった。
その理由は知らない。きっともっとゲームが進めばわかったと思う。
けど、今、わかることもある。もしフェルが居なくなったらこの辛い発作に一人で耐えないといけない。
考えるだけで怖くて体が震える。
この世界に来る前も僕は今のルナと同じ発作を良く起こしてた。
あの世界には魔法もないからただベッドで蹲るだけだったけど……それでもなんでか今みたいに心細くはなかった。
きっと病院にいたというのが大きいのだろう。だって必ず看護師さんが飛んできてたから……
けどこの世界だと、フェルがいないと僕はひとりぼっちになってしまう。考えてたら怖くなって、フェルの胸に顔を埋めると、フェルが頭を撫でてくれた。
「ルナ、熱があるね。お粥作ったからそれ食べたら休もうか」
「うん」
フェルは僕の頭を撫でてくれる。
フェルは本当に優しい。すごく頼りになって、とてもかっこよくて、僕はそんなフェルが大好きだ。
部屋まで運ばれて、優しくベッドに下ろされる。
「少し待っててね。ご飯持ってくる」
「うん」
部屋から出ていくフェルを見送って、僕は自分の胸元に手を当てる。
「フェルの魔法ってすごく暖かいんだよね」
フェルは光の魔法使いで、その力はとても優しい力だゲーム内には書かれていた。
フェアリー・スクイズの世界は魔法がある世界。
そして魔法は生まれついた属性がある。
フェルは光。ならルナはなんだろう?
実はルナの本来の魔法属性はゲームでは明かされてない。
ルナは邪神の力を使ってフェルを妨害する為、本来の魔法がでてこないのだ。
……ちょっと気になるな
そう思い魔法を使おうと、意識を手に集中させる。
その瞬間、バチバチという音がしてボンッと小さな音がし、目の前に煙が現れた。
「な、なにこれ?」
魔法を使おうとしたのに使えない?なんで?
そう思って手を見つめていると、胸がズキリと痛む。
「いたっ……ぅぅ……いたい……」
胸が激しく痛み、僕はシーツを強く握る。
「はぁ……はぁ……なに……これ……」
なんとか呼吸を落ち着けて、手を見る。
魔法属性を調べようとしただけなのに、なんでこんなことになるの?
ルナって一体何者?
そう思っていると、部屋の扉が開いた。
「ルナ!!」
フェルが血相を変えて来てくれて、僕を抱きしめてくれる。
「何したの!?すごい音が部屋からしたけど……」
「魔法……使おうとしたら……爆発したんだ。そしたら胸痛くなって……」
するとフェルは、僕の頭を撫でてくれる。
「もう。無理しないでよ。魔法なら王都行った時に属性調べてもらおう?ルナ調べたことないでしょ?」
「そうだね」
そしてフェルは魔法の事を教えてくれた。
フェル曰くこの世界に火、水、風、土とフェルが使う光、そして邪神が使う闇
あともう一つ、二つの属性を宿す人がいる。ちなみに複属性はとても珍しい
魔法属性は王都で調べられるけど、僕は森にずっと居るから調べたことはないらしく、王都に行ったらまず魔法の属性を調べることになっているという。
「魔法ってね、強すぎると毒になるんだよ。体がついて行かなくなるんだ」
「そ、そうなんだ……」
フェルの言葉を聞いて、魔法って怖いものだと思う。
「けど、毒になるかもしれない魔法だけど、フェルの魔法は綺麗だよね。光属性ってやつ?」
「そうだね。ルナは僕の魔法好き?」
「好きだよ。温かいし、すごく綺麗。僕も光属性がいいな……」
「ふふ、僕はルナがどの属性でもいいよ。他の属性だって綺麗だからさ」
「そう?」
「うん。あ、けど魔法属性分かったからって無闇に使うのは禁止だからね。魔法は体力使うし、体弱いルナにはあまり使わせたくないんだ」
そう言ってフェルは笑う。綺麗な笑顔だ。こんなの見せられたら惚れてしまう。
というか僕はゲームキャラでは一番フェルが好きだったりする。
優しいしかっこいいし……綺麗だから……
あ、けど僕……アクアのことはあまり好きじゃなかったかも?
フェルは好きだけどヒロインのアクアのことはあまり好きじゃなかった気がする。
わがままなとこが嫌だった。
まだアクアには会ってないけど、王都に行けば会うのだろうか?
嫌だな……フェル取られちゃうよ。アクア可愛いし女の子だから……
アクアはフェルが好きだから、きっとフェルの所に来る。
ふたりが話してる姿なんて見たくないな。
「ルナ?どうしたの?」
「え?」
「ご飯食べない?」
「食べる」
アクアのこと考えて、ぼんやりしてたから、フェルに心配されてしまい、僕は笑顔で誤魔化す。
きっと本来のルナはこんなに弱々しくもないと思う。
それにルナってフェルのこと嫌いだから……
けど僕はフェルを取られたくないって思うんだよ。
そんな事口が裂けても言えないけどね…
「うっ…」
口を押えて僕は洗面所に向かい、そして嘔吐する。
「けほっ…げほっ…ごほっ」
胸が苦しい。痛い……気持ち悪いの止まらない。
「ルナ!?」
「ふぇ…る…」
吐いているとフェルがやって来て、僕の背中を摩ってくれる。
何度か吐いて、やっと楽になったけど、視界が回って辛くて目を開けてられなくて、僕はフェルの手を握る。
「お願い……フェル……傍にいて……居なくならないで…」
「居なくならないよ。安心して」
フェルは僕を抱き上げてくれて、優しく背中を撫でてくれる。
しかし、ルナのこの病何なんだろ?
確かゲーム内の設定の中に不治の病というものがあった
ヒロインのアクアが患っているのだが、どんな病なのかは触れられなくよくわからないままのもの。
ただその病を治せるのはフェルだけという設定はあったけど、何かの理由があって、フェルはまだ病を治すことができなかった。
その理由は知らない。きっともっとゲームが進めばわかったと思う。
けど、今、わかることもある。もしフェルが居なくなったらこの辛い発作に一人で耐えないといけない。
考えるだけで怖くて体が震える。
この世界に来る前も僕は今のルナと同じ発作を良く起こしてた。
あの世界には魔法もないからただベッドで蹲るだけだったけど……それでもなんでか今みたいに心細くはなかった。
きっと病院にいたというのが大きいのだろう。だって必ず看護師さんが飛んできてたから……
けどこの世界だと、フェルがいないと僕はひとりぼっちになってしまう。考えてたら怖くなって、フェルの胸に顔を埋めると、フェルが頭を撫でてくれた。
「ルナ、熱があるね。お粥作ったからそれ食べたら休もうか」
「うん」
フェルは僕の頭を撫でてくれる。
フェルは本当に優しい。すごく頼りになって、とてもかっこよくて、僕はそんなフェルが大好きだ。
部屋まで運ばれて、優しくベッドに下ろされる。
「少し待っててね。ご飯持ってくる」
「うん」
部屋から出ていくフェルを見送って、僕は自分の胸元に手を当てる。
「フェルの魔法ってすごく暖かいんだよね」
フェルは光の魔法使いで、その力はとても優しい力だゲーム内には書かれていた。
フェアリー・スクイズの世界は魔法がある世界。
そして魔法は生まれついた属性がある。
フェルは光。ならルナはなんだろう?
実はルナの本来の魔法属性はゲームでは明かされてない。
ルナは邪神の力を使ってフェルを妨害する為、本来の魔法がでてこないのだ。
……ちょっと気になるな
そう思い魔法を使おうと、意識を手に集中させる。
その瞬間、バチバチという音がしてボンッと小さな音がし、目の前に煙が現れた。
「な、なにこれ?」
魔法を使おうとしたのに使えない?なんで?
そう思って手を見つめていると、胸がズキリと痛む。
「いたっ……ぅぅ……いたい……」
胸が激しく痛み、僕はシーツを強く握る。
「はぁ……はぁ……なに……これ……」
なんとか呼吸を落ち着けて、手を見る。
魔法属性を調べようとしただけなのに、なんでこんなことになるの?
ルナって一体何者?
そう思っていると、部屋の扉が開いた。
「ルナ!!」
フェルが血相を変えて来てくれて、僕を抱きしめてくれる。
「何したの!?すごい音が部屋からしたけど……」
「魔法……使おうとしたら……爆発したんだ。そしたら胸痛くなって……」
するとフェルは、僕の頭を撫でてくれる。
「もう。無理しないでよ。魔法なら王都行った時に属性調べてもらおう?ルナ調べたことないでしょ?」
「そうだね」
そしてフェルは魔法の事を教えてくれた。
フェル曰くこの世界に火、水、風、土とフェルが使う光、そして邪神が使う闇
あともう一つ、二つの属性を宿す人がいる。ちなみに複属性はとても珍しい
魔法属性は王都で調べられるけど、僕は森にずっと居るから調べたことはないらしく、王都に行ったらまず魔法の属性を調べることになっているという。
「魔法ってね、強すぎると毒になるんだよ。体がついて行かなくなるんだ」
「そ、そうなんだ……」
フェルの言葉を聞いて、魔法って怖いものだと思う。
「けど、毒になるかもしれない魔法だけど、フェルの魔法は綺麗だよね。光属性ってやつ?」
「そうだね。ルナは僕の魔法好き?」
「好きだよ。温かいし、すごく綺麗。僕も光属性がいいな……」
「ふふ、僕はルナがどの属性でもいいよ。他の属性だって綺麗だからさ」
「そう?」
「うん。あ、けど魔法属性分かったからって無闇に使うのは禁止だからね。魔法は体力使うし、体弱いルナにはあまり使わせたくないんだ」
そう言ってフェルは笑う。綺麗な笑顔だ。こんなの見せられたら惚れてしまう。
というか僕はゲームキャラでは一番フェルが好きだったりする。
優しいしかっこいいし……綺麗だから……
あ、けど僕……アクアのことはあまり好きじゃなかったかも?
フェルは好きだけどヒロインのアクアのことはあまり好きじゃなかった気がする。
わがままなとこが嫌だった。
まだアクアには会ってないけど、王都に行けば会うのだろうか?
嫌だな……フェル取られちゃうよ。アクア可愛いし女の子だから……
アクアはフェルが好きだから、きっとフェルの所に来る。
ふたりが話してる姿なんて見たくないな。
「ルナ?どうしたの?」
「え?」
「ご飯食べない?」
「食べる」
アクアのこと考えて、ぼんやりしてたから、フェルに心配されてしまい、僕は笑顔で誤魔化す。
きっと本来のルナはこんなに弱々しくもないと思う。
それにルナってフェルのこと嫌いだから……
けど僕はフェルを取られたくないって思うんだよ。
そんな事口が裂けても言えないけどね…
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