転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

ジェーン

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九話 光属性 sideフェル

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 僕の魔法を見て、興奮したルナは疲れたのか、ベッドに入ると直ぐに眠ってしまった。 
 そんなルナの寝顔をベッドに座ながら見つめ、僕はルナの頬を撫でる。

 ……けど、驚いなぁ、まさかルナの属性が光属性なんて知らなかった。

 実はフェアリー・スクイズのゲームの中にはルナの魔法属性は出てこない。
 というのも、ゲーム内のルナは邪視の力を使って妨害してくるキャラであり、魔法というものを使わないのだ。

 その為、隠しルートで、ルナの過去が明かされても、彼の魔法属性は分からないままである。

 ただ伏線というものはある。それは隠しルートでルナと一騎討ちした際、死の間際にルナは光の玉をフェルに渡す。その玉の色は黄色で、淡く光っている為、あれがルナの魔法属性を表しているとなれば、確かにルナは光属性だと読み取ることが可能である。

 けど、僕はルナの魔法属性は闇属性かと思ってたからこれはかなり嬉しい誤算でもあった。

 光属性は珍しい魔法属性の為、国でも大切にされるし、王族の血筋の持ち主だとも言われているぐらいだ。

 だからこの先、ルナが貴族になっても誰も彼を迫害しないということになる。

 しかも、もう一つ嬉しい誤算はルナが僕に依存してるということだ。

 まさかルナが、アクアに会いたくないという言葉を口にするなんて思ってもなかった。なんというかそれはあまりにも可愛すぎて、お風呂場では実はかなり悶えていた。

 だから僕は心に決めた。ルナが会わないでというのなら、僕はアクアに会わない。

 確かにゲームではヒロインのアクアだけど、今の僕はルナを愛している。

 それに僕は前世でフェアリー・スクイズを始めて好きになったキャラがルナだった。

 最初はなに、この偉っそうなキャラ。だったけど隠しルートして、沼に落ちた。

 それぐらい本当の姿のルナは儚くて……境遇があまりにもかわいそうだった。
 あんな状態だったら、誰だって闇堕ちしてしまう。そんな恵まれない境遇の子だったのだ。

 だから転生できてルナを救い出せるルートを選べるのが、素直に嬉しかったりする。

 その時、ふと、前世で同じクラスだった男の子顔が過ぎった。

 その子は滅多に学校には来ない子だった。
 病気だって聞いていた。高校一年生から亡くなる二年生まで、僕はその子とは話した事はなかった。

 だが、覚えてる。その男の子はルナみたいに儚い子であった。

 白い肌に、少し長い色素の薄い茶色の髪。目も茶色で、日本人離れした容姿をしていた。
 その姿に見惚れてしまった。
 たまたま席替えで隣の席になったというだけだったけど、とても可愛くて、綺麗でいつの間にか目で追いかけてた。

 時々目が合うことがあって、すると彼の白い頬が赤く染まって、恥ずかしそうに目を逸らす。
 その仕草すら可愛いかった。

 前世で未練があるとすればあの子と話が出来なかったことぐらいだ。
 他には未練はない。

 中学生の頃から女子とは付き合ったし、高校生になっても恋人はいた。モテるかと言われたまぁモテた方だと思う。自分で言うのも何だけどそれなりの人数とは付き合った。

 とはいえ今みたいに強くその人の事が好きという感情はなくて、ただ告白されて付き合ってた。という感じだった気がする。

 彼女になった子とは性的なこともした。最初にしたのは高一ぐらいだったと思う。

 まぁ男子高校生なんて性欲の塊だからその辺りは仕方ないのかもしれない。とはいえ、セックスという行為は確かに気持ちは良いけど、心はあまり満たされるものではない気がした。

 きっとあの頃は、付き合った子のことを本気で好きじゃなかったのだろう。

 ただ、もしあの、可愛らしい隣の席の男の子と話せていたら、好きになってたかもしれない。 
 だって反応が可愛くて、夏休み前から休んでたから、次学校に来たら絶対声をかけようって思ってた。それぐらい気になってた。

 あと、僕はどちらかと言えば男性が好きなのかもしれないと、ゲームをプレイしてルナを好きになった時に思った。

 だからあの子には今、幸せになっていて貰いたい。それが前世の僕があの世界に望む唯一の願いだったりする。

「んぅ……フェル……?」

 色々なことを考えていたら、ルナが目を覚ました。

「僕……眠っちゃったんだね……」

 ルナは眠そうに目を擦りながら僕を見つめる。だから僕はルナの頭を撫でる。

「発作で寝れてないのもあったし、魔法見てテンション上がったのもあっただろうか、気にしなくていいよ?休める時に休んで」
「ありがとう………」

 頭を撫でて上げると、ルナはまたゆっくりと眠りについてしまう。
 不治の病の発作はとても辛い。だから眠れる時にゆっくりと眠ってほしい。
 そう願いながら、ルナの小さな手を握ろうとした時だった。

 窓がコツコツと鳴った。

 見れば真っ白な鳩が窓の外に止まっており、僕は窓を開ける。
 すると鳩は僕の手の上に乗り、足元を嘴で突く。

「届けてくれてありがとう」

 白鳩の頭を撫でて、足についた紙を取ると、鳩は部屋にある椅子に止まり、羽を突き始める。
 その姿を見つめてから、僕は鳩が届けてくれた手紙を開いた。

 手紙の差出人は父上からで、明後日にルナの王都行きが決まったこと。そしてその夜に社交界デビューが決まった事が美しい字で書かれていた。

「ありがとうございます。父上。これでルナを救う事ができます」

 僕は父上に感謝しながら、ルナが起きたらこの事を報告しようと決め、そして、体を休めるためにルナの隣に寝転がったのだ。








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