転生したら大嫌いなキャラだったけど何故か主人公に愛されそうです

引越し② sideフェル

眠ったルナを抱き上げ、父上は床を魔法で綺麗にしてくれた。

そして馬車に乗る。

「本当に可愛らしい子だね。昔から思って居たけど」

「はい。本当に可愛くて…それでルナの親は…」

「大丈夫だよ。ちゃんと罰は与えた。もうルナの前には現れないさ」

ルナの親は病気のルナを療養としてあの小屋に捨てた。ルナは療養の為だと信じているが本当はルナの母のお腹には新しい命までいる。

そんな事ルナに教えられない。だから表向きは貴族にした事にしたが、本当は国外追放にしてもらった。
ルナには大切な任務で外国にいると言えばいい。

「ルナくんには病のこと話してなかったのかな？」

「はい。不治の病なんて言えなくて……」

「まぁ不治の病とはいえ、死ぬことは無いのだけどね」

「はい」

実はこの世界に転生してルナの家で本を読んで知ったのだが、このフェアリースクイズの世界は病で人が死ねないのだ。

死ぬ方法は致命傷を与えること。

だからルナはどんなに苦しくても病で死ぬことは無い。

あと不治の病は魔法に体が耐えれない人の事を言う。ただ症状も軽いものから重いものまである。ルナの場合かなり重い。

この不治の病のことは隠しルートで明かされるがまさか死ねないとは思わなかった。

ゲームの裏設定だったのかもしれない。攻略本とかで
明かされる内容なのかもしれないとはその時思った。

アクアの場合、不治の病でも症状が軽いから発作等はなかったのだろう。

どこまでもルナに厳しい世界。けどだからこそフェルとルナの物語なのだろうけど……

僕はルナの胸元に回復魔法を当てる。

すると少し早かった呼吸が落ち着く。

「フェル。私は君たちの中を邪魔しないからね。母さんも応援してる。ちなみに部屋は母さんが可愛くコーディネートしたからね」

「あ、ありがとうございます」

「きっと気に入るよ。しかし本当に可愛いね」

父上はルナをみて微笑む。

するとルナが目を覚ました。

「フェル…」

「おはようルナ。まだ王都にはつかないよ。寝てていいよ」

「だっこ……」

ああもう…可愛すぎる。

僕はルナを膝に乗せる。

「これでいい？」

「んー」

ルナはまた眠る。

「幼なじみって最高だねフェル」

父上は僕達を見ながらそんなことを言う。

この人こんなキャラだったけ？

そう思いながらもルナを抱きしめ、僕は父上と他愛ない親子の会話をするのだった。