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絆の話
リアとノルン
しおりを挟むリア様はゆっくりと落ち着いた声で話をしてくれる。
「俺の家は代々、火の魔法を使います。そして必ず奴隷を家に使わせ、奴隷と婚約するという貴族でありながらも少し変わった家庭です」
「けど奴隷との婚約は迫害とかもないし、気にしなくてもいいんじゃないの?」
「そうですね。特に気にはしてません。幼い頃から奴隷の子が使いとして側にいるんです。ノルンもそうです。俺は幼い頃からノルンと一緒に育ちました」
それなら恋をしても当たり前だ。僕だってフェルとは幼なじみという設定だから。
ゲームだとルナのこと嫌いだったけど、きっとルナはずっとフェルが好きだったのだと今ならわかる。
だから幼なじみは恋しやすいって分かるんだ。
「ただノルンが俺のそばに居たのにはもう1つ理由があります。ノルンの魔法属性は火。そしてサポート型なんです」
「じゃあリアの力を高めれるからそばに居たってこと?」
「そうなります。あと、サポート型の子には時より武器に憑依する事ができる子がいます。
これはほとんど知られていないです。ただ俺の血筋はそのタイプを見分けれる眼を持っています。ノルンは憑依型です」
聞いた事もない魔法に僕は驚く。
「文献では見たことあったけど本当に居たんだね。憑依型」
「はい。俺の家は代々、憑依型の魔法使いと一緒に強くなる家庭でした。騎士の誓いをノルンにしたのは俺が十五歳の時。ノルンはその身を俺に捧げてくれるといい、俺はノルンを守り抜き、この国を守る騎士になると誓った。けどその夜に事件が起こったんだ」
「そんな……」
「騎士の誓いをした日に…ノルンくんは拐われたの?」
リア様は頷く。
「はい。最初はその日の夕方に父の甥が我が家に来ました。ノルンが欲しいと。甥の家、俺にとっては叔父さんですが、彼は憑依型の魔法使いの研究をしていて、良い噂はなかった。俺も家族もノルンは渡せないと言った。なんせその昼に俺とノルンは体を繋げ、婚約をしたから」
婚約までしたのに拐われたなんて……
「叔父は引き下がりました。あっさりと。しかしその夜、ノルンは拐われた。転移魔法でノルンだけを転移させ、そして次の日に、ノルンを探しに行くと、ノルンの体は容器の中にあった。そして言われた。取り出せば俺の家を潰すと……だから手を出すなと」
「酷い……」
「あんまりだ。罪には問えなかったのか?」
「副団長もご存知の筈です。貴族は罪すらもみ消す。罪に問うとしましたが、転移魔法の証拠もなく、しかも叔父は奴隷のあり方を知っていた」
「奴隷のあり方?」
「奴隷は居なくなっても探されないのです。彼らには市民権がない為……」
「けどノルンは貴族じゃ……」
リア様は首を振る。
「騎士の誓いをした次の日に貴族にするパーティーをする予定だったんです。だから…俺はノルンを守れなかった。こんな姿にしてしまった。だから一人で叔父と戦おうと……」
「リア。悪いのはリアじゃない。リアの叔父だ」
「副団長」
フェルは僕の手を握る。
「フェル…」
「大丈夫。必ずノルンくんを救い出そう。父上と僕が叔父の家を探ぐるから、少し時間が欲しい」
「わかりました」
「あと、これからは副団長じゃなくてフェルでいいよ。敬語も要らない。仲間だからね」
「ああ。ありがとうなフェル」
そして僕達はリアとノルンくんを助けるために動くことになった。
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