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絆の話
願いの力
しおりを挟む「ヘムトのことを知りたい?」
「はい。なんでもいいんです。父上が知ってることを教えてください」
フェルと一緒にお父様の部屋に来て、フェルがお父様に掛け合う。
「私も詳しいことは実はあまり知らないんだ。ただ彼は昔は純粋な騎士だったよ」
「騎士だったのですか?」
「そうだよ。とりあえず座りなさい」
お父様に言われた通りにソファーに腰かけ向かい合わせになる。
「彼は私と同じ騎士であり、そして優秀な魔法使いだった。けどある時だ。いきなり騎士を辞めたんだ。そして行方が分からなくなったんだ」
まさかヘムトが騎士だったなんて驚きだ。
「あのお父様、魔法は願いが形になったものなんですよね?」
「そうだよ。それがどうしたのかな?」
僕はお父様を見つめる。
「ヘムト様には、全てを弾く魔法があると言います。そんな魔法はどんな願いを込めたらいいんですか?」
「ルナ...」
フェルは僕の手を握ってくれる。
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「多分、誰かを守りたいではなくて、 自分の為に願ったのだろう」
「自分の為?」
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「歳を取らない...」
まさかと思ってしまう。まさかヘムトの思惑って...
「ルナ...気づいたんだね...ルナは天使だからその辺の可能性はあるからね」
「ルナ?」
フェルが僕を見つめる。
「ヘムトは...ノルンくんや僕の力を使って不老不死になろうとしているのですか?」
「不老不死...そうか...憑依型の子って...」
「そうだよ。憑依型の子は成長が止まる。そしてそれは憑依型の子の力を借りるものにも左右すると言われてる」
「じゃあ、ヘムトはノルンの力を調べて...不老不死になろうとしてるのか。だから肉体は壊してない」
「私達の憶測が正しければそうなるね」
人の道を外れてる。そんなことしたらいけない。
「ルナの力に興味があるのは、天使の力に興味があるんだと思う」
「待ってください。ルナが天使だと知ってるのは極一部ですよ?」
「そうだね。けどヘムトは悪魔の血筋だ。悪魔と天使は対立しあう存在。感が良ければ気付くんだよ」
「っ...」
じゃあヘムトには僕が天使だとバレていることになる。
そんなの怖い...
「とはいえ、まだ確信ではないと思う。だから確信になる前にノルンくんを救い出すよ」
「わかりました」
僕は頷く。
そして気になってることをお父様に聞くことにした。
「お父様...僕も不老不死なんですか?」
「ん?似たようなものだけど、違うよ。世の中に不老不死は存在しない。それに元々魔法使いってとんでもなく長生きなんだよ」
「そうなの?」
するとフェルが頷く
「そうだよ。人の時間より遥かに長く生きる。そして天使はもう少しだけ生きる時間が長いんだ」
「じゃあ...フェルは先に死ぬの?僕より先に?」
そんなの嫌だ。一人になるなんて嫌。
「契約をしたらいいんだよ」
「契約?」
「そう。相手の血液を飲むと契約は成立する。そしたら同じ時を生きれるし、フェルの魔力も上がる」
その言葉に僕とフェルは顔を見合わせる。
「ルナ...ここで契約させて?」
「う、ん...」
「私が見届けよう。契約には証人が必要だからね」
そう言ってお父様は微笑んだのだった。
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