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ひび割れた関係
居ない時間 sideフェル
しおりを挟むどうやってルナに接したらいいか分からない。
触れようとしたら前世のあの子が過ぎってしまう。
だからスキンシップも上手く出来ない。
しかも騎士の仕事が忙しくて、そんな時にルナが泣いたからイライラして八つ当たりして、夜も八つ当たりしてしまった。
いや朝もだ。あんな酷い書き置きなんてするんじゃなかった。
そう思い、今日は昼に仕事は終わらし、ルナとゆっくり話そうと思った。
朝、近衛に頼んで有名なお店のケーキを買ってきて貰った。
謝って、一緒にお茶をして、いつも通りに戻ろうと思い、部屋のドアを開けると、ルナは居なかった。
「ルナ?」
何処か行ったのだろうか?
いや、ルナは一人では屋敷の中を歩かない。
机の上を見れば僕が上げた、指輪が置いてあった。
「ルナ?」
嫌な汗が流れ、僕は指輪を握って走り出す。
とりあえず騎士団に行けば誰かルナを見たかもしれない
「フェル、どうした?」
「リア!ルナを見なかった!?」
「ルナ?いや見てないぞ。ノルン見たか?」
「見てないよ」
隣にいたノルンも首を振る。
「副団長どうしたんですか?」
「アルト、ミルラ!ルナを知らない?」
「見てないですね。今日は会があって僕達も御屋敷には行ってませんし……」
「そうなんですよ。ルナ様居ないんですか?」
僕は頷く。
「部屋に居なくて、一人で歩き回ったりはあまりしないから……」
「そうだな。ルナが一人で居るとこは見たことないな。」
「一人でいる時は副団長を探してる時ですね」
「ルナ様…どうしたんだろ?」
みんなで考えるがルナの居場所は分からない。
「ミルラ。ノルンくんと遊んでおいで?」
「え?けど…僕もルナ様を…」
「大丈夫だ。それにミルラもノルンも今日は早上がりだろ?二人で遊んで来いよ」
「リア。必ず教えてね。ルナ様のこと…」
「わかってるよ。行ってこい」
「アルトも教えてね」
「もちろんだよ」
ノルンとミルラはリアとアルトからキスを貰い、二人で手を繋いで広場に向かう。ノルンがお兄ちゃんって感じだ。
「で、フェル。お前ルナに何をした?」
「え?」
「そうですよ。ルナ様が居なくなる理由なんてフェル様以外有り得ませんよ?昨日あの後何か言ったのでは?騎士団に戻って来てましたよね?」
「は?」
リアは僕を睨む。
「昨日、ルナ泣いたんだろ?アルトから聞いた。お前それ放置したのか?」
「っ…」
「そこに酷い言葉を投げたとかですか?」
アルトの言葉に僕は頷く。
「僕を困らさないでって…」
「はぁ?お前何言ってんだよ!バカか!!」
「ごめん…」
リアの反応はご最もだ。
僕が悪い……悪すぎる。
「で、なんと言ったんですか?それだけじゃないですよね?」
「は?お前…それでも騎士かよ!てか何があった!!ルナの事大切じゃなくなったのか?」
「そ、そんな事ない。今だって凄く心配だよ…触媒も置いていってるし、発作だって起こしたらって…」
「触媒置いていってるって…ルナ相当参ってたんだろそれ……」
本当に馬鹿だ。守るなんて言って守れてない。
「で、本当に何があった?」
「実はアクアと会った時、ルナが転生者だって教えられたんだ」
「転生者って前世の記憶がある奴だろ?そんなのこの世界には普通にいるだろ?」
「え!?」
リアの言葉に驚く。
「副団長、知らないのですか?この世界は転生者、前世の記憶がある人は少なからず居ますよ?」
「魔法使いなんだからその辺りのことは出来ちまう奴も居るんだよ。で?なんでルナが転生者だと困るんだ?」
まさか転生者が当たり前に居るとは思わなかった。やっぱりゲームの世界だけど設定は変わってるらしい。
「リア、アルト。僕も転生者なんだ。そして僕はルナの前世を知ってる。僕は前世でも彼が好きだった」
「あー、前世のお前は実らない恋をしたわけか」
「うん……だから訳分からなくなって…」
ルナの事好きなのに、大好きなのに触れるのが躊躇われる。昔のルナが思い出されてどうしたらいいか分からない。
「はぁ。あのな前世とかそんなもん、どうだっていいだろ?前世で実らない恋をしたって、この世界で幸せにしたらいい」
「そうですよ。前世は前世です。ルナ様にも話して、そしてこの世界で幸せにすると言えば良いんですよ」
二人の言葉に光が見えた。
そうだ。前世では実らない恋だったけどこの世界なら幸せに出来る。
「ありがとう…二人とも」
「それじゃあルナを探そうぜ。屋敷に居ないなら街に居るだろう。」
「そうですね。副団長行きましょう」
「うん!」
二人の後を追って走り出す。
待ってて、ルナ。必ず見つけるからね
そして君にもう一度誓うから……
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