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ひび割れた関係
捜索と本音
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街に着いた僕達はこの間みたいに、三箇所に別れてルナを探す。
ルナ…何処?
発作は出てないだろうか?もし苦しんでいたら…
そう思うと胸が痛くなる。
街を走り回って探している時だった。
「騎士様!!」
声がして振り向くと、一人の男性が僕の所に走ってきた。
僕より、歳は上の方だ。黒髪の男性。
「騎士様、お願いがあります。私の恋人を探してくれませんか?」
「え?恋人?」
「はい。私の名前はナハール。ナハール・アーベントと言います」
アーベントというのは貴族だ。確かかなり地位が高い。
「アーベント家のご嫡男様ですか。しかし恋人とは?貴族の方なら近衛が居ませんか?」
貴族のデートには必ずどちらかの家の近衛がいる。
だから探して欲しいなんて変な話だ。
「それが、私の恋人は平民でして、お忍びのデートなのです。しかし喧嘩をしてしまい恋人が走り去ってしまって…」
まるで今の僕みたいだ。きっと見失って探し回って居たのだろう。
「それは失礼致しました。一緒にお探ししますね」
「ありがとうございます。恋人の名前はノイと言います。歳は十四歳で赤茶色の髪をした子です」
「わかりました。とりあえず行きそうな場所等は分かりますか?」
「いやそれが、思い当たらなくて…」
「では街の中を一緒に…」
「ナハール!!」
街の中を一緒に見て周りましょうと言いかけた時だった。
声がして振り向くと、僕の後ろにルナとナハールが探している男の子がいた。
「ノイ!!良かった…ずっと探して…」
「来ないで!!」
ノイという男の子はナハールを見て強い口調で拒絶する。
「ノイ?どうしたんだい?さっきの事は悪かったよ。けどノイが何も話さないから…」
「違うんですよ。ノイくんの恋人さん。貴方はノイくんを分かってない」
「ん?貴方は?」
「僕はルナと言います。ノイくんは街で泣いていました。何故泣いて居たか分かりますか?」
ルナは優しくもしっかりした口調で話す。
「それは喧嘩をしたから…だからだろ?」
「違います。喧嘩じゃなくて貴方が突き放した。何も話せないノイくんに困らすなと言った。」
「そ、それはそうだが、ノイが話さないから…だから私もイライラして…」
なんだろう。このナハールとかいう奴はちょっと殴りたくなってきた。けど僕もルナに同じ事をしたから言えないけど…
「話さないのではなくて、話せないことだってあるんですよ?それを話せば嫌われてしまうかもしれないと…身分が違えばどうしても出てきます」
ルナは辛そうに話す。
「ノイくんは、話せない悩みで苦しんでいて…」
「ルナ様…」
ノイという男の子はルナに抱きつく。
「ノイ…話せないこととはなに?私の事だよね」
「っ…」
ノイはルナに抱きついたまま僕達を見る。
「話してみたらどうかな?君の気持ち…」
「ルナ様…」
「ノイ…話して欲しい。何が悩みなんだ?」
「ナハールの家は貴族でも位が高いよね?結婚相手もそろそろ決まるよね?だから僕…」
するとナハールがノイの手を引き自分の腕の中に抱き寄せる。
「ナハール…」
「そんな事気にしなくていい。私はノイが好きだ。家族にだって紹介する気でいる」
「え?」
「私はな長男だが、家の事は弟に任せるつもりだ。彼の方が向いているからな」
二人はそうしてお互いの事を話し合う。
僕はルナを見る。
「ルナ…あの…」
どうしよう。なんて話したらいいか分からない。
「フェルは僕の事、ナハール様にみたいに抱きしめてくれないんだね。探してくれないんだね」
「そんな事ないよ!探して…」
けどルナは首を横に振る。
「探してないよ。僕の事なんか…探してなかったよ。騎士の仕事は大切なのわかる。わかるけど…」
ルナは涙を流す。
「探して…抱きしめて…欲しかっただけ…なのに…」
その瞬間、ルナの足元に魔法陣が広がる。
ルナの背中からは天使の羽が現れ、風に光を纏った魔法が発動した。
「ルナ!!」
「ルナ様!?」
「なんだこれは!?」
ナハールとノイはルナをみて驚く。
魔法の暴走だ。このままだと市民に怪我をさせてしまう。
僕は二人を守る為にシールドを貼る。
「騎士様!?」
「そこから出ないでね!!」
ルナは泣きながら、魔法を発動させている。
自分の体を抱きしめて、震えてる。
「フェル!お前何やってんだ!!」
「副団長!これはなん…ルナ様!?」
するとリアとアルトがやって来てくれた。魔法で気がついたらしい。
「二人とも、その二人と市民をお願い。僕はルナを止めるから!!」
「おい待て!魔法の暴走に丸腰で…フェル!!」
リアの声がするが僕はルナに向かって走り出す。
バリアから出た瞬間、風の刃が体を傷つける。
けどこんな痛み、ルナの痛みから比べたら軽いんだ。
僕はルナの傍まで傷つきながら行き、ルナを抱きしめる。
「ルナ…ごめんね。傷つけて苦しめてごめん…」
「フェル…」
ルナはぼんやりと僕を見る。
「守るなんて言って傷つけてごめん。だから魔法止めて?じゃないとルナが死ぬから…」
「死んだっていい。フェルが見てくれないなら死んだ方がいいよ…フェルに迷惑かけるなら…居なくなりたいよ」
そんな事言わないで欲しい。
けどゲーム内のルナもそうだ。きっと転生者でも、キャラの生活に似た子なのだ。僕の好きだったあの男の子は…
「ルナ…僕の迷惑になんてならないよ。あの時は本当にごめんね」
イライラしてルナに八つ当たりして…最低だ。
風の刃が体を傷つけていく。
致命傷ではないけど、かなり痛い。
「ルナは何をして欲しかったの?教えて…ルナの気持ちを…」
額を合わせるとルナは僕を見る。
「フェル?あ、フェル…ご、ごめんなさい!僕…」
「大丈夫。だから魔法止めて?ルナが死んじゃうから…」
「う、うん…」
ルナは目を閉じる。すると魔法が解除された。
良かった…そう思い僕は膝を着いたのだった。
ルナ…何処?
発作は出てないだろうか?もし苦しんでいたら…
そう思うと胸が痛くなる。
街を走り回って探している時だった。
「騎士様!!」
声がして振り向くと、一人の男性が僕の所に走ってきた。
僕より、歳は上の方だ。黒髪の男性。
「騎士様、お願いがあります。私の恋人を探してくれませんか?」
「え?恋人?」
「はい。私の名前はナハール。ナハール・アーベントと言います」
アーベントというのは貴族だ。確かかなり地位が高い。
「アーベント家のご嫡男様ですか。しかし恋人とは?貴族の方なら近衛が居ませんか?」
貴族のデートには必ずどちらかの家の近衛がいる。
だから探して欲しいなんて変な話だ。
「それが、私の恋人は平民でして、お忍びのデートなのです。しかし喧嘩をしてしまい恋人が走り去ってしまって…」
まるで今の僕みたいだ。きっと見失って探し回って居たのだろう。
「それは失礼致しました。一緒にお探ししますね」
「ありがとうございます。恋人の名前はノイと言います。歳は十四歳で赤茶色の髪をした子です」
「わかりました。とりあえず行きそうな場所等は分かりますか?」
「いやそれが、思い当たらなくて…」
「では街の中を一緒に…」
「ナハール!!」
街の中を一緒に見て周りましょうと言いかけた時だった。
声がして振り向くと、僕の後ろにルナとナハールが探している男の子がいた。
「ノイ!!良かった…ずっと探して…」
「来ないで!!」
ノイという男の子はナハールを見て強い口調で拒絶する。
「ノイ?どうしたんだい?さっきの事は悪かったよ。けどノイが何も話さないから…」
「違うんですよ。ノイくんの恋人さん。貴方はノイくんを分かってない」
「ん?貴方は?」
「僕はルナと言います。ノイくんは街で泣いていました。何故泣いて居たか分かりますか?」
ルナは優しくもしっかりした口調で話す。
「それは喧嘩をしたから…だからだろ?」
「違います。喧嘩じゃなくて貴方が突き放した。何も話せないノイくんに困らすなと言った。」
「そ、それはそうだが、ノイが話さないから…だから私もイライラして…」
なんだろう。このナハールとかいう奴はちょっと殴りたくなってきた。けど僕もルナに同じ事をしたから言えないけど…
「話さないのではなくて、話せないことだってあるんですよ?それを話せば嫌われてしまうかもしれないと…身分が違えばどうしても出てきます」
ルナは辛そうに話す。
「ノイくんは、話せない悩みで苦しんでいて…」
「ルナ様…」
ノイという男の子はルナに抱きつく。
「ノイ…話せないこととはなに?私の事だよね」
「っ…」
ノイはルナに抱きついたまま僕達を見る。
「話してみたらどうかな?君の気持ち…」
「ルナ様…」
「ノイ…話して欲しい。何が悩みなんだ?」
「ナハールの家は貴族でも位が高いよね?結婚相手もそろそろ決まるよね?だから僕…」
するとナハールがノイの手を引き自分の腕の中に抱き寄せる。
「ナハール…」
「そんな事気にしなくていい。私はノイが好きだ。家族にだって紹介する気でいる」
「え?」
「私はな長男だが、家の事は弟に任せるつもりだ。彼の方が向いているからな」
二人はそうしてお互いの事を話し合う。
僕はルナを見る。
「ルナ…あの…」
どうしよう。なんて話したらいいか分からない。
「フェルは僕の事、ナハール様にみたいに抱きしめてくれないんだね。探してくれないんだね」
「そんな事ないよ!探して…」
けどルナは首を横に振る。
「探してないよ。僕の事なんか…探してなかったよ。騎士の仕事は大切なのわかる。わかるけど…」
ルナは涙を流す。
「探して…抱きしめて…欲しかっただけ…なのに…」
その瞬間、ルナの足元に魔法陣が広がる。
ルナの背中からは天使の羽が現れ、風に光を纏った魔法が発動した。
「ルナ!!」
「ルナ様!?」
「なんだこれは!?」
ナハールとノイはルナをみて驚く。
魔法の暴走だ。このままだと市民に怪我をさせてしまう。
僕は二人を守る為にシールドを貼る。
「騎士様!?」
「そこから出ないでね!!」
ルナは泣きながら、魔法を発動させている。
自分の体を抱きしめて、震えてる。
「フェル!お前何やってんだ!!」
「副団長!これはなん…ルナ様!?」
するとリアとアルトがやって来てくれた。魔法で気がついたらしい。
「二人とも、その二人と市民をお願い。僕はルナを止めるから!!」
「おい待て!魔法の暴走に丸腰で…フェル!!」
リアの声がするが僕はルナに向かって走り出す。
バリアから出た瞬間、風の刃が体を傷つける。
けどこんな痛み、ルナの痛みから比べたら軽いんだ。
僕はルナの傍まで傷つきながら行き、ルナを抱きしめる。
「ルナ…ごめんね。傷つけて苦しめてごめん…」
「フェル…」
ルナはぼんやりと僕を見る。
「守るなんて言って傷つけてごめん。だから魔法止めて?じゃないとルナが死ぬから…」
「死んだっていい。フェルが見てくれないなら死んだ方がいいよ…フェルに迷惑かけるなら…居なくなりたいよ」
そんな事言わないで欲しい。
けどゲーム内のルナもそうだ。きっと転生者でも、キャラの生活に似た子なのだ。僕の好きだったあの男の子は…
「ルナ…僕の迷惑になんてならないよ。あの時は本当にごめんね」
イライラしてルナに八つ当たりして…最低だ。
風の刃が体を傷つけていく。
致命傷ではないけど、かなり痛い。
「ルナは何をして欲しかったの?教えて…ルナの気持ちを…」
額を合わせるとルナは僕を見る。
「フェル?あ、フェル…ご、ごめんなさい!僕…」
「大丈夫。だから魔法止めて?ルナが死んじゃうから…」
「う、うん…」
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