美男子が恋をした【R18】

ちよこ

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お家においでよ。

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あの公共の場である図書館にて公開告白してから2週間が過ぎた。
その間で会えたのは週末の2回だ。それも図書館でのみ。
会社ではフロアも違うし、まず第一に付き合っている事を言うつもりはない。
いや、全世界に向けて俺の彼女は可愛い~と叫びたいのは山々なのだが。
そもそも平日は俺の仕事が激務過ぎて会う時間が作れないのだ。
だが、それにしてもいい年した大人が数時間の図書館デートで満足出来るか?
答えは「可」だ。当たり前だろ、絵莉たんが相手なら隣にいるだけで天国だからな。

違う違い違う。天国だし、幸せいっぱいだが、やはり他人の目があるのは…な、ほら、ねぇ?分かるだろ?

そう。イチャイチャしたいのだ。
他人の視線を気にせずにキャッキャウフフしたいのだ。
まだ手も握ってないんだぞ?
触れたい、触れたい、触れたい、舐めたい、触れたい。



というわけで。今日俺は絵莉たんを家に呼んだ…。



ーー
ーーーー

木造二階建ての1DKの部屋を見て、絵莉たんが意外そうに、そしてどこかほっとした表情をみせる。

「どうかした?古いアパートで引いちゃった?」

「ううん。違うの。想像していたのと違って驚いたけど…」

「想像って?」

「何か、ヒルズ辺りのタワーマンションに住んでると思ってた。そんな感じの噂も聞いてたから。」

「実際は築28年のボロアパートなんだけどね。」

「うん、噂ってあてにならないね。私も勝手にイメージ作って…。同じようなアパートで、ほっとしちゃった。何か瑛一さんが近くに感じられて嬉しい。」

瑛一さん。聞いたか?瑛一さんだぞ!
付き合った日から絵莉たんは俺の事を名前で呼んでくれる。
何度聞いてもたまらん。

「絵莉ちゃんもアパート?築何年?」

「築25年だよ。」

「3年も新しいじゃん!ここの家賃は5万3千円だよ。」

「わぁ、安いね。うちは5万5千円。」

「やったね、2千円も安い!古いけど…」

2人顔を合わせて笑い合う。


まぁ、実際ヒルズに部屋があるから噂は事実なのたが。
けど、あのマンションに連れて行っても絵莉たんが怖気付くのが想像出来たからこの部屋を用意した。
莉絵たんの住むアパートに似たレベルで電車一本で行けるアパートを8部屋ある1荘まるごと買った。もちろん絵莉たんの住んでるアパートの築年数と家賃も確認した上でだ。
今はこのアパートのオーナーで、俺以外誰も住んでいない。他は空き部屋だ。
この部屋の壁は薄いからな。他の奴に可愛い絵莉たんの声を聞かすわけにはいかない。
何の声かって?やだなぁ、普通の話し声ですよー。

「座って、テレビでも見てて。」

コーヒーを用意するためにキッチンへ立つ。
その際にちらっと寝室の扉をみた俺に他意はない。ないったら無い。




ーーーー
ーーーーー

二人掛けのソファーに絵莉たんと座り、コーヒーを飲んでいる俺の頭はある四字熟語が埋め尽かされていた。


意馬心猿いばしんえん

アハンな事やウフンの事を考えて、ハァハァ
しちゃって我慢できないのを、馬が走り回ったり猿が騒ぐのを抑えるのが難しい事で例えたらしい。

まさしく今の俺の心境ー。

抑えろ、抑えろ、抑えろ。
瑛一、お前は馬でも猿でもない。人間だ。
我慢、我慢、我慢、我慢だ。
自制心、自制心、自制心。
心の中で繰り返す。



だけど、だけどさ。
キスくらいはいいよね?
キスだけ!ほんの軽く!それだけ!本当の本当だから!
それ以外は致しません!!


だめだ、邪な考えをしてるからか、さっきから大した話題も浮かばず沈黙が続く。何て俺はつまらない奴なんだ。
だが俺は絵莉たんが退屈な思いをしてるかもしれないというのに、少し伏し目がちな瞳に見惚れていた。すると、絵莉たんが、ふいに顔を上げて俺と目線を合わせると少し恥ずかしそうに笑う。可愛い。いちいち可愛い。可愛すぎる。

「はぁ、プルプル唇…キスしたい。」

「えっ」

「えっ?」

待て待て待て、バカー!俺のバカー!落ち着け!本当にお前は懲りないな!
何ですぐ思った事を口にするんだ。
チャックは付いてないのか?
何?壊れてる?じゃあ仕方ないな…じゃない!



「ごめん。突然、変な事言われて困るよね。忘れて。」

「えっ、あのっ」

「うん、本当ごめん。」

ああぁー、俺の馬鹿やろう!
これで絵莉たんが引いて別れたいとか言い出したらどうするんだ!
それに絵莉たんに嫌われでもしたら?そんなの、困る!嫌だぁぁぁ。

「あの…私も……です。」

「えっ?」

「私も、キ、キスしたいです!」

私  も  キ  ス  し  た   い  で   す  ?
真っ赤になった絵莉たんを、気が付いた時には抱きしめていた。

「好きな子にそんなこと言われたら止められないんだけど!」

本当に、切実に。いいの?本当に?
本当にするよ?しちゃうよ?


「私も瑛一さんが好…きだから…」

「俺も好きだ」


その言葉に嬉しそうにする表情も可愛くて、さらに強く抱きしめて、俺は唇をそっと合わせる。


絵莉たんの唇は想像以上に柔らかくて、コーヒーの味がした。






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