公開処女喪失させられた王女は魔力を奪われました

空田かや

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17 赤いショールと赤い口紅

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「…サシュナ国の売春婦は赤いショールをするのが目印なんです。その地味なお顔ではお客が付かないだろうから…この口紅で化粧でもして…」

そう言うと、形のいい眉を大げさにひそめた。

「あなたは魔力もないし…体を使うしか…ね?悔しいけれどジャナル様に、もう抱かれて生娘でもないようだから、他の男と寝るのは簡単でしょう?」

クースリューは、シャルリンテの金のメッシュの入っていない髪を、鋭い瞳でちらっと見て言った。

「入国してすぐの波止場に、家出娘の売春婦がたむろしているらしいから、そこで働いて身をお立てなさいな…」

「……」

「サシュナも、カリストの元王女が売春婦をしているなどとは夢にも思わないだろうし、気づかれないわ。売春婦になる方が、拷問されたり、カリストに送り返されるよりずっと、幸せに暮らせるはずよ…」

シャルリンテは、何と答えるのが正解か分からなかった。

ただ、自分でも身を立てられる方法がある事を初めて知って、心の奥底で少しだけ安心する…。

拷問されるのも嫌だったが、サシュナに売り渡す時のスーリの満足げな顔を見る事の方が、もっと嫌だった。

スーリと過ごした日々が嘘であったとしても、幸せな瞬間は沢山あった。

思い出まで、穢したくはない…。

張り詰めた顔で、渡されたショールと口紅を握りしめているシャルリンテに向かって、クースリューは両手をパンッと叩いた。

その瞬間、ショールも口紅も消える。

「これは、目立つから今は消しておくわ…。波止場に着いたら、手を叩いてくださいね。すぐにショールと口紅が現れますから」

シャルリンテは、おずおずと顔を上げ、小さい声でお礼を言った。

「…あなた初めてお会いするのに…親切な方ね……。感謝するわ…」

クースリューは、一瞬ひるんだような表情を見せたが、すぐにいつもの顔になる。

すると、横で寝ていたスーリの口から「……うっ」と、小さな声が漏れ、二人はハッとそちらに顔を向けた。

「あら、いけない!もうじき、眠れる王子様の目が覚める…。わたくし、もう行くわね?」

クースリューは、自分のマントを胸元に引き寄せながら、瞬間移動の体勢に入った。

そして、言い忘れていた事を追加するように、シャルリンテに言った。

「そうそう…あなたが売られるという事に感づいた…という事を、ジャナル様に知られないようにね…?ジャナル様はその事に気がついたら、瞬時にあなたを魔術で固定して、口も動かせないようにしてしまうわよ。だから、一刻も早く、ジャナル様からお逃げになって…」

そう言うと、クースリューは一瞬で消えた。
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