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21 仕事の一環
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暗くうつむいているシャルリンテに向かって、スーリは静かに話し出した。
「私は、読心の術は使えないのですが…。表情から察するに…何で、こんな男女と逃げているんだろう…オルグ騎士隊長と逃げたかった…ってとこでしょうか?」
そう言われ、あんなに恋していたオルグ騎士隊長を見ても、全く心が揺れなかった自分にシャルリンテは驚いた。
「前向きに…考えてみては?私は今はこんな格好ですが、男の服を着たら…それなりに見えませんか?夜のお相手も…できますし、いつもあなたのおそばにいて、お守りもできる。…そして、裏切らない」
その言葉を聞いて、シャルリンテは胸がギュッと苦しくなった。
──裏切らない?どの口がそんな事を言うのだろう。
「ふっ…ふふふっ…ははっ…笑っちゃうわよ、この嘘つきが…!あんたなんか…殺してやりたい…!!」
数年前までは、極悪王女だったシャルリンテが、当時毎日のように言っていた口癖が、つい出てしまった。
スーリにこの言葉を使ったのは、池に突き落として以来だった。
スーリは、その言葉を浴びせられ、無言になった。
「あんたなんか、大嫌い。どう?ここで別れてもいいのよ?落ちぶれた王女なんか相手せずに、美人の聖女様と逃げればいいじゃない!色んな女と、キスの研究までして、落としたお相手なんでしょ?!」
その言葉を聞いたスーリの顔は、ふっと陰る。
「やはり……聞いて…たんですか?…あれは…王子としての仕事の一環だ…」
「じゃ、私といるのも侍女としての仕事の一環なの?!私はもう王女じゃないんだから、そもそも侍女なんか必要ないわ!どうして、つきまとうのよ?!」
──それは、売り飛ばして大金を手にして親の敵を討つ為…。
こういう時だけ、頭の回転が速くなり、自分の中ですらすらと答えが出てしまう自分が嫌になる…。
スーリは怒った青い瞳で、シャルリンテを睨むと、狭い路地裏に引っ張って行った。
「…仕事の一環のはず…ないでしょう?」
そう言うと、壁に押さえつけ、シャルリンテに無理やりキスをする…。
シャルリンテは何とかスーリから逃れようとジタバタしたが、スーリの力は強かった。
クースリューも同じように、今朝、キスされていたな…とシャルリンテは虚しく思った。
そして、クースリューが大人しくさせられたように、自分もどんどんと力が抜けていくのが分かった。
自分を押さえつけている手とは反対に、スーリのキスは優しかった…。
何度も唇を離し、自分の唇にそっと触れる。
シャルリンテが気持ちよくなるにつれ、それを察したかのように舌が入ってきた。
目を開けると、自分を見ている綺麗な青い瞳と目が合う。
スーリとキスをしていると、心が穏やかになってくる。
なぜなんだろう…。
でも、もしかしたら、他の人とのキスも気持ちがよくて、同じように感じるのかもしれない。
シャルリンテが抵抗をやめ落ち着くと、スーリはすっと唇を離した。
シャルリンテは、精一杯嫌そうな顔で、言ってやった。
「私は、あなたのキスの研究相手になんか、なってやんないわよ?」
「──こちらから願い下げです。あなたのキスは、今までした誰よりも下手だ。私がそこから学ぶ事なんか、一つもない…」
シャルリンテはそう言われ、ぶわっと涙が溢れる…。
惨めで、恥ずかしかったからだ。
それを見たスーリは、シャルリンテから体を離し、背中を向けた。
その背中からは自分に対する拒絶と怒りしか、伝わってこない。
「私は、読心の術は使えないのですが…。表情から察するに…何で、こんな男女と逃げているんだろう…オルグ騎士隊長と逃げたかった…ってとこでしょうか?」
そう言われ、あんなに恋していたオルグ騎士隊長を見ても、全く心が揺れなかった自分にシャルリンテは驚いた。
「前向きに…考えてみては?私は今はこんな格好ですが、男の服を着たら…それなりに見えませんか?夜のお相手も…できますし、いつもあなたのおそばにいて、お守りもできる。…そして、裏切らない」
その言葉を聞いて、シャルリンテは胸がギュッと苦しくなった。
──裏切らない?どの口がそんな事を言うのだろう。
「ふっ…ふふふっ…ははっ…笑っちゃうわよ、この嘘つきが…!あんたなんか…殺してやりたい…!!」
数年前までは、極悪王女だったシャルリンテが、当時毎日のように言っていた口癖が、つい出てしまった。
スーリにこの言葉を使ったのは、池に突き落として以来だった。
スーリは、その言葉を浴びせられ、無言になった。
「あんたなんか、大嫌い。どう?ここで別れてもいいのよ?落ちぶれた王女なんか相手せずに、美人の聖女様と逃げればいいじゃない!色んな女と、キスの研究までして、落としたお相手なんでしょ?!」
その言葉を聞いたスーリの顔は、ふっと陰る。
「やはり……聞いて…たんですか?…あれは…王子としての仕事の一環だ…」
「じゃ、私といるのも侍女としての仕事の一環なの?!私はもう王女じゃないんだから、そもそも侍女なんか必要ないわ!どうして、つきまとうのよ?!」
──それは、売り飛ばして大金を手にして親の敵を討つ為…。
こういう時だけ、頭の回転が速くなり、自分の中ですらすらと答えが出てしまう自分が嫌になる…。
スーリは怒った青い瞳で、シャルリンテを睨むと、狭い路地裏に引っ張って行った。
「…仕事の一環のはず…ないでしょう?」
そう言うと、壁に押さえつけ、シャルリンテに無理やりキスをする…。
シャルリンテは何とかスーリから逃れようとジタバタしたが、スーリの力は強かった。
クースリューも同じように、今朝、キスされていたな…とシャルリンテは虚しく思った。
そして、クースリューが大人しくさせられたように、自分もどんどんと力が抜けていくのが分かった。
自分を押さえつけている手とは反対に、スーリのキスは優しかった…。
何度も唇を離し、自分の唇にそっと触れる。
シャルリンテが気持ちよくなるにつれ、それを察したかのように舌が入ってきた。
目を開けると、自分を見ている綺麗な青い瞳と目が合う。
スーリとキスをしていると、心が穏やかになってくる。
なぜなんだろう…。
でも、もしかしたら、他の人とのキスも気持ちがよくて、同じように感じるのかもしれない。
シャルリンテが抵抗をやめ落ち着くと、スーリはすっと唇を離した。
シャルリンテは、精一杯嫌そうな顔で、言ってやった。
「私は、あなたのキスの研究相手になんか、なってやんないわよ?」
「──こちらから願い下げです。あなたのキスは、今までした誰よりも下手だ。私がそこから学ぶ事なんか、一つもない…」
シャルリンテはそう言われ、ぶわっと涙が溢れる…。
惨めで、恥ずかしかったからだ。
それを見たスーリは、シャルリンテから体を離し、背中を向けた。
その背中からは自分に対する拒絶と怒りしか、伝わってこない。
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