公開処女喪失させられた王女は魔力を奪われました

空田かや

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23 逃亡

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シャルリンテは突然、婚姻石こんいんせきを入れられた事に呆然ぼうぜんとした。

そして、これでスーリから逃げる事ができなくなったのではと、青い顔になる。

しかし、頭の中で会話するのがメインの石なのであろうから、精度の高い探知機の役目までは、はたしていないのでは…と前向きに考える事にした。

スーリからの言葉を無視して、自分から問いかけなければきっと、ただの石なのだろう…。

──今しか逃げるチャンスはない!

シャルリンテはそう判断して、咄嗟に走り出した。

スーリが消えた方角の反対側に…。

サシュナまでは目と鼻の先だ…。

ここまで来て獲物に逃げられたら、スーリの怒りは頂点に達するだろう。

そう思うと、恐怖で足がすくんだ。

スーリの美しい顔は、もはや殺人鬼にしか見えない。

シャルリンテは涙の滲んだ目で、闇雲に走った。

そんなシャルリンテの足は簡単にもつれ、往来おうらいで派手に転んだ。

人通りがそれなりにあり、馬車も数台通りすぎる場所だった。

シャルリンテは打ちつけた顔面の痛さと、恥ずかしさの両方で顔をあげる事ができず、しばらくそのままでいた。

すると背後から、馬車の車輪の音と馬の蹄の音が聞こえてきた。

そして、その馬車はシャルリンテの真後ろで、停車した。

馬車の扉が開く音と共に、低い男の声が響く。

「お嬢さん、大丈夫か?急いでいるんなら乗せてってやろうか?」

シャルリンテは頭を起こし、声のする方に恐る恐る顔を向けた。

馬車に乗っていたのは、20代半ばぐらいのサラリとした黒髪の男だった。

浅黒い肌に、特徴的な切れ長の金色の瞳。

狡猾そうな薄い唇。

整った美しい顔立ちだったが、明らかにカリスト人でもシーセント人でもない。

一見して怪しい男だった。

どうせ、ろくな男ではない。

ただ、着ている服や、豪華な馬車から見て、金回りは良さそうだった。

「王都で革命があっただろう?貴族の娘も多くが逃げ出し、サシュナに向かっていると聞く…。どう見ても、あんた身分が高そうだし、この先にある国境は警備が手薄だから、このルートを皆使う…」

最初から信じていないこの男に売り飛ばされた方が、信じていたスーリに売り飛ばされるよりも、自分はきっと傷つかない…。

「どうする?乗っていくか?」

「…ありがとう。助かるわ…。私、シャル…リ…と言うの」

そう言って笑うと、差し出された男の手を取った。

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