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前世と無口な彼
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いつの間にかカフェに来ていた
これは前世の記憶
目の前には前世の親友、奈々瀬 日鞠がいる
いつもゲームの話をしていた彼女は
今日も推しの話をしていた
「葵ちゃんにもラルフ様ルート早くハッピーエンドでクリアして欲しいなぁ」
ニコニコと無茶な要望をしてくる親友
「そう言うなら少しくらいヒントくれても良いでしょうよ⋯
分岐が全然わからないのよ、選択肢が多すぎて⋯」
「確かに!でもこの壁を超えたあと見たほうが絶対いいから!攻略も見ちゃだめだからね!」
「ちぇー⋯じゃあ頑張るよ、でも元暗殺者かぁよく愛せるねぇ」
「私にとってラルフ様はアイドルだから!冷たそうな見た目で無口なのになんだかんだ優しいのが良いのよ!!
でも、うーん⋯リアルに付き合えるならルーク王子みたいな人がいいかな?」
「あら、ラルフ様じゃないの?」
意外だなって思ってたな
「生涯隣に立たれるなら物腰が柔らかくて笑顔が素敵な人がいいわ」
「なるほどぉ」
その後も他愛もない話をしている
ふと思い出したように日鞠が話し出す
「あっ聞いてよ!!この前買い物帰りにね 高谷君に会ってさ また連絡先交換したんだよ
それでね?告白されてから付きまとわれてるみたいでって話たら家まで送ってくれたんだよ!
あれからストーカーも消えてくれたし彼氏でも出来たと思って諦めたのかな?」
「え!良かったじゃん!高谷君って、高校のとき仲良かった⋯あの高谷 誠司君?確か卒業してからは地元出て県外行ったよね」
「そうそう!かっこよくなってて驚いたー!」
「へぇ…皆高校卒業してから、忙しくて全然遊ばなくなったもんね…元気かなぁ」
いつも同じ部活がきっかけで仲良くなって
高谷君は日鞠に片思いしてたからな
当時は日鞠にも彼氏がいたし
彼も関係崩れるの怖くてたしか結局告白せずそのまま卒業しちゃったんだよね、懐かしいなぁ
もの思いにふけっていたら噂の高谷君が話しかけてきた
「えっ…奈々瀬さんに矢凪さん?すごい!奇遇だねぇ、二人は高校でも今でも相変わらず仲良いんだね」
「あっ⋯高谷君?久しぶり⋯」
背の高い男性だ 他のお客さんの視線まで掻っ攫っている
「高谷君!1週間ぶりだね 私達よく会うね 今葵ちゃんと話しててさ良かったら横座りなよ」
「いいの?なんか⋯悪いね」
そう言いながら日鞠の横に座る高谷君
高谷くんが出てきてから何故かどくどくと妙に心臓が高鳴る…
何故か高谷くんの顔だけに霧が掛かったようにぼやけている
どうして?⋯日鞠の顔ははっきりと見えるのに
記憶の中の矢凪 葵…私は相変わらず三人で楽しげに思い出話に花を咲かせている
今の私は何故か、すごく気分が悪い
船酔いしたときみたい⋯なんでこんなに気持ち悪いんだろう
「⋯⋯い⋯⋯⋯おい⋯大丈夫か?」
誰だろう 誰かに揺すられてる?
「⋯ん⋯?あれ⋯?」
いつの間にか寝ていたらしい
はっと目が覚めたら
綺麗な水色の瞳と目が合う
「⋯⋯えっ」
「⋯⋯⋯⋯うなされてた⋯」
銀髪にこの目の色、ラルフだ
「えっと⋯すみません?」
どういう状況だ…
あっ少し休もうと思ってここに来てたんだっけ
「⋯⋯あぁ⋯」
そう言うと静かに向かいのソファーに座った
ゲーム通り口数少ないなこの人
2回も助けられてしまった⋯
この人ほんとに元暗殺者か?
いい人すぎるだろう、向いてないよ⋯
もしかして向いてないからやめたとか?
そんな簡単に抜けられるもんじゃないよね
まぁ知らないけど
起こしたってことは
うなされてる声でも出てたんだろうか⋯
相当煩かったのかな?怖くて聞けないわ
「先輩も⋯ここに休憩しに来たんですか?」
「⋯あぁ」
「「⋯⋯」」
気まずいな⋯
でも今なら直接お礼が言えるチャンスだ
「⋯あの、入学式の時も保健室まで運んでいただいたと聞きまして⋯ご迷惑おかけして申し訳ありません。それから、起こしていただいてありがとうございます」
ペコリと頭を下げる
「⋯⋯気にしなくていい」
やっと…ちゃんと区切りがついてホッとした
夢で見た気持ち悪さもいつの間にか消えている
未だにゲーム以外の前世の記憶はあまりはっきりとしない
まぁそのうち思い出すだろう
少し早いがそろそろミラを迎えに行こう
これは前世の記憶
目の前には前世の親友、奈々瀬 日鞠がいる
いつもゲームの話をしていた彼女は
今日も推しの話をしていた
「葵ちゃんにもラルフ様ルート早くハッピーエンドでクリアして欲しいなぁ」
ニコニコと無茶な要望をしてくる親友
「そう言うなら少しくらいヒントくれても良いでしょうよ⋯
分岐が全然わからないのよ、選択肢が多すぎて⋯」
「確かに!でもこの壁を超えたあと見たほうが絶対いいから!攻略も見ちゃだめだからね!」
「ちぇー⋯じゃあ頑張るよ、でも元暗殺者かぁよく愛せるねぇ」
「私にとってラルフ様はアイドルだから!冷たそうな見た目で無口なのになんだかんだ優しいのが良いのよ!!
でも、うーん⋯リアルに付き合えるならルーク王子みたいな人がいいかな?」
「あら、ラルフ様じゃないの?」
意外だなって思ってたな
「生涯隣に立たれるなら物腰が柔らかくて笑顔が素敵な人がいいわ」
「なるほどぉ」
その後も他愛もない話をしている
ふと思い出したように日鞠が話し出す
「あっ聞いてよ!!この前買い物帰りにね 高谷君に会ってさ また連絡先交換したんだよ
それでね?告白されてから付きまとわれてるみたいでって話たら家まで送ってくれたんだよ!
あれからストーカーも消えてくれたし彼氏でも出来たと思って諦めたのかな?」
「え!良かったじゃん!高谷君って、高校のとき仲良かった⋯あの高谷 誠司君?確か卒業してからは地元出て県外行ったよね」
「そうそう!かっこよくなってて驚いたー!」
「へぇ…皆高校卒業してから、忙しくて全然遊ばなくなったもんね…元気かなぁ」
いつも同じ部活がきっかけで仲良くなって
高谷君は日鞠に片思いしてたからな
当時は日鞠にも彼氏がいたし
彼も関係崩れるの怖くてたしか結局告白せずそのまま卒業しちゃったんだよね、懐かしいなぁ
もの思いにふけっていたら噂の高谷君が話しかけてきた
「えっ…奈々瀬さんに矢凪さん?すごい!奇遇だねぇ、二人は高校でも今でも相変わらず仲良いんだね」
「あっ⋯高谷君?久しぶり⋯」
背の高い男性だ 他のお客さんの視線まで掻っ攫っている
「高谷君!1週間ぶりだね 私達よく会うね 今葵ちゃんと話しててさ良かったら横座りなよ」
「いいの?なんか⋯悪いね」
そう言いながら日鞠の横に座る高谷君
高谷くんが出てきてから何故かどくどくと妙に心臓が高鳴る…
何故か高谷くんの顔だけに霧が掛かったようにぼやけている
どうして?⋯日鞠の顔ははっきりと見えるのに
記憶の中の矢凪 葵…私は相変わらず三人で楽しげに思い出話に花を咲かせている
今の私は何故か、すごく気分が悪い
船酔いしたときみたい⋯なんでこんなに気持ち悪いんだろう
「⋯⋯い⋯⋯⋯おい⋯大丈夫か?」
誰だろう 誰かに揺すられてる?
「⋯ん⋯?あれ⋯?」
いつの間にか寝ていたらしい
はっと目が覚めたら
綺麗な水色の瞳と目が合う
「⋯⋯えっ」
「⋯⋯⋯⋯うなされてた⋯」
銀髪にこの目の色、ラルフだ
「えっと⋯すみません?」
どういう状況だ…
あっ少し休もうと思ってここに来てたんだっけ
「⋯⋯あぁ⋯」
そう言うと静かに向かいのソファーに座った
ゲーム通り口数少ないなこの人
2回も助けられてしまった⋯
この人ほんとに元暗殺者か?
いい人すぎるだろう、向いてないよ⋯
もしかして向いてないからやめたとか?
そんな簡単に抜けられるもんじゃないよね
まぁ知らないけど
起こしたってことは
うなされてる声でも出てたんだろうか⋯
相当煩かったのかな?怖くて聞けないわ
「先輩も⋯ここに休憩しに来たんですか?」
「⋯あぁ」
「「⋯⋯」」
気まずいな⋯
でも今なら直接お礼が言えるチャンスだ
「⋯あの、入学式の時も保健室まで運んでいただいたと聞きまして⋯ご迷惑おかけして申し訳ありません。それから、起こしていただいてありがとうございます」
ペコリと頭を下げる
「⋯⋯気にしなくていい」
やっと…ちゃんと区切りがついてホッとした
夢で見た気持ち悪さもいつの間にか消えている
未だにゲーム以外の前世の記憶はあまりはっきりとしない
まぁそのうち思い出すだろう
少し早いがそろそろミラを迎えに行こう
応援ありがとうございます!
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