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呼び出し

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「⋯はぁ…はぁ…」
急いで走って来たために
頬が火照って息が少し荒いがもう
一度呼び出されたら本当に困るので入るしかない

軽く身だしなみと息を整えノックをする
「⋯お呼び出し頂いた⋯ニーナ・コーリーです」
ガチャリと重厚感のある扉が開く
「あっ」
現れたのはリアム・ギルベルトだ
今日も深緑の長い髪をポニーテールにしている
「どうぞ…こちらに」
中に入るよう勧められたので
応接間のような部屋に緊張しながら入る

中には王太子、ルーク・ソレイユがソファーに婚約者であるケイラと座っている
プラチナブロンドカップルだ

座っているだけで絵になるなぁと内心感心していた所に声をかけられた
「やぁ、コーリー嬢。すまないね。休日に呼び出したりして」

「いえ⋯」

「ほら、座って」
微笑みながらケイラが勧めてくる

おずおずと向かいのソファーに腰掛けるが
なぜ呼び出されたのか未だにノーヒントだ

「いきなり本題に入るがコーリー嬢⋯」

何を言われるんだろう
「は⋯はい」
ゴクリと唾を飲み込む

「これを、付けて欲しいんだ」

スッと出されたのはチョーカーだ真ん中にオレンジ色の魔石がついている

「⋯⋯」

これは、何?どういうこと⋯?

状況の理解が全然追い付いていない

⋯これは何か…試されてるのか?試練とか、そういうやつ?
流石に婚約者の前で、別の女性に物与えるってやばくないか

二人の顔とチョーカーを無言で見比べていると
見かねたリアムが横から声を上げる
「殿下…その説明では混乱してしまいますよ…」

助かる⋯!ありがとうございます!

「それもそうだな⋯」
人をこれだけ困らせておいているが
さっきからずっと笑顔だ

良いことでもがあったのか異様に上機嫌だな⋯

「⋯私達、お友達でしょ?だから記念になにかお揃いにしたいのよ」
ケイラが代わりに口を開く
「⋯はぁ」
友達になった記念にアクセサリー渡すなら
教室でも渡せただろうに
まぁ普通アクセサリーとか友達に渡さないけど
誕生日でも何でもないし

そう言うケイラの首にはルークの瞳のような綺麗な若草色の魔石がついていた
なるほど、これで喜んでたのか⋯

「今日届いたばかりなのだけど。その…明日まで待ちきれなくて…」
恥ずかしそうに頬を染めるケイラ
そんな婚約者を愛おしそうに見つめるルーク

どうして私は呼び出されてまで
バカップルに付き合わされてるんだろう

リアムからは彼の銀縁の眼鏡越しに同情するような⋯それでいて不憫な人を見るような目で見られている

私は逆にリアムのほうが不憫だと思うんだけどな⋯
なんだろうこの空間…とりあえず早く出たい

「…これを付ければいいんですか?」

「えぇ!どこかに出かけるときは必ず!付けていて欲しいの!」
圧がすごい

「わかり、ました⋯」

チョーカーを付けたらあっさりと帰された

なんだったんだろう
「あ⋯前世のことについて聞くの忘れた」

まぁいいか
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