檻から抜け出せない

かえねこ

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番外編1 相川の親っさん

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正輝の元相棒、相川の親っさんside。
なのでエロなし。
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「親っさん、久しぶり」
「霧島、元気そうだな」

 相川宗雄は元同僚、霧島正輝の姿を見てほっとした。


 二人は特に薬物の取り締まりに特に力を入れていたのだが、ある取引現場の捕り物が終わった後、霧島が姿を消した。
 携帯も繋がらないし、アパートに戻っている気配もなかった。

 その時の取引に関わっていた沢渡組が怪しい動きをしていたのでもしやと探っていたのだが、沢渡組も霧島を探しているようだった。

 結局、彼が見つかったのは消息不明になってから半月後、沢渡組がアジトの一つにしていた港の倉庫の中だった。
 それも匿名のタレコミがあってやっと分ったのだ。

 見つけた彼は明らかに性的暴行を受けており、局部からは血も流れていた。

 すぐさま警察病院に搬送した。
 検査の結果、ヤクを打たれた上に輪姦されており、肛門は裂けていた。
 かなり衰弱していて、二日は昏睡状態だった。
 意識が戻ってからも長時間起きていられない程で、事情聴取も出なかったのだ。

 その事情聴取は課長自ら行ったらしいが、霧島を煙たがっていた狭量な上司だったため、霧島にかなり酷いことを言ったらしいと聴取に同行していた四課の課長に訊いた。
 結局、課長は霧島を依願退職させることにしたらしい。
 なんとか思い留まらせようとしたが、定年退職間近の老いぼれの言葉など耳を貸しもしなかった。


 霧島が退院出来るまでに回復したのは約一月後だった。
 退院した翌日には霧島は課長に辞職届を叩きつけていた。

 その日を最後にまた霧島と連絡が取れなくなっていたのだ。


「だいぶ身体つきも戻ったか?
 あの後、お前の携帯も繋がらないし、アパートにも行ってみたが既に引っ越した後でな・・・
 随分心配したんだぞ」
 公園のベンチに落ち着いてから、俺はそう切り出した。

「あ~、悪い。前の携帯無くしちまって・・・」
 霧島はバツが悪そうに視線を泳がせた。

「で、今どうしてるんだ? 何処かに勤めているのか」
「いや、それが・・・」
 霧島が言いよどむ。

 辞職した折に何処かの警備会社にでも雇って貰うと言っていたが。


「黄龍会の会長のところか?」
「・・・・」
 図星を指されて霧島が絶句する。

 相川は霧島の様子を見て、溜息を一つ吐いた。

「あの時、俺たちが現場に着いた時には沢渡組の連中はみんな気絶してた。
 倉庫の中の小部屋に倒れているお前を見つけた時は焦ったよ。何があったか一目瞭然だったからな」

 それを聞いて霧島の顔色が変わった。
 当然だろう。彼にとっては忌まわしい記憶だ。

 霧島は隠していたようだが病院では何度も吐いていたらしい。
 退院する際にも以前ほどの体重はなかったろう。

 だが、今はそれほど体調は悪くなさそうだ。


「しかしな、現場検証の際に不自然なことに気が付いた。
 小部屋の中にはお前しか倒れていなかったんだ。
 その理由が解ったのは、現場で押収した記録媒体だ」

 記録媒体を鑑識で見せてもらったが、正視に耐えるもんじゃなかった。
 病院での検査結果から想像はついていたが、それ以上にひどい内容だった。

 そして判ったことが二つあった。
 一つは沢渡組が霧島を捕える前に、黄龍会の会長が囲っていたということだ。
 これは霧島と沢渡組との会話から判断できた。

 もう一つは・・・
 記録媒体の中で霧島を特に酷く扱った者の姿が現場になかったのだ。
 特に最後に彼を犯したであろう組員達の姿が小部屋の中にも外にもなかった。
 その後の捜索でも見つからない。

 それから事前のタレコミ・・・

 あれはきっと黄龍会の会長、海棠の指示だろう。
 あの現場に先に乗り込んだ彼らが件の組員を処分したとしか思えない。


 あの一件があって沢渡組への家宅捜索がはいり、組員は片っ端から捕まって事実上沢渡組が壊滅した。
 だが、組長と幹部の消息だけが掴めなかった。
 おそらくは黄龍会に消されたのだろう。


 このことから推察出来るのは、海棠が霧島をどういうわけか気に入っているということだ。


「あー、アレ・・・」
 羞恥で顔を赤らめながら、霧島は視線をそらした。
 そして、何かを思い切るようにこちらを見てきた。

「親っさん、コレ」
 そう言って紙を押し付けてきた。

 書かれている内容に驚く。
「お前、これ・・・」
 薬物取引の情報だ。

「もう、俺には必要ないけどさ。
 親っさんには世話になったからさ、役立ててくれよ」

「まさか、このために海棠のところにいるのか?  それに、俺に情報を洩らして大丈夫なのか」
 気色ばんで霧島を問い詰める。

「・・・親っさんもアレ見たならさ、予想ついてるだろうけど、俺もう海棠のオンナにされてるワケ。
 もう、女じゃ勃たなくなってんだよ。
 海棠との取引である程度の情報は流して貰えるから、また親っさんに知らせるよ」

 自嘲めいた笑みを漏らすと、霧島は立ち上がった。

「・・・霧島っ」
「じゃあな、親っさん」
 彼は振り返りもせずに走っていった。

 公園の入り口に車が止まっており、それに乗り込んでいった。

 俺は呆然とそれを見送った。



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正輝を唯一心配していた人なので、正輝を探していると思って救済?

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