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15■ゆらめく月夜☆白樺祭 SIDE:希(了)
3.再会
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「でも、まだ足りない」
くすくす笑ってた珠希が急に大人っぽい表情でそう言って、僕は息が止まりそうになった。
珠希の手のひらがそっと僕の髪に触れたかと思うと、少し力を込められて促される。
促された、っていうよりも、僕はその珠希の引力に引き寄せられて行った。
唇が触れる。柔らかな珠希の唇が何度かそっと触れると、舌が割って入ってくる。
一緒に食べていたチョコレートジェラートの味がした。
デザート……その珠希の声がぼんやりと思い浮かんだ。
頭の芯がしびれるような気持ちよさで、それもすぐに霞んでいく。
珠希の手のひらに導かれて、キスはより深くなって行く。
「ん…」
唇から、ため息と声が漏れる。
きもちいい……
「よっ!!」
ガチャッと扉が開いた音と勢いよく掛けられた声で、僕はびくっと体を震わせた。珠希も驚いて腕を緩める。
「うあー、まじで? 見たくなかったー、すげえショック」
その声に、聞き覚えがあった。
「ま、マコ兄ぃ!?」
「ノン、久しぶりの再会でまさかこんなとこ見せられるとは、お兄ちゃんショックだよ」
「あ、えと、その」
僕はなんて答えたらいいのかわかんなくって、もじもじする。
だって、見られた! おもいっきりキスしてるとこ! 恥ずかしすぎる!
マコ兄はおもしろそうに笑ってるけど。
珠希が腕を緩めていたから、僕はその膝から降りて自分の椅子に戻った。
「どうしたんですか? こんなとこまで、学園長」
珠希がため息混じりに答える。
「うあーかわいくねー、なにその態度、珠希ちゃん」
「べつに」
べつに、って答える珠希がなんだかふて腐れてるみたいで、状況を忘れて思わず僕は笑いそうになった。
「かわいい従兄弟ちゃんたちと食事しようと思って来ただけだよ、いいだろ? 別に」
「まあ、いいですけど」
「なんだよ、なー? いいよな? 希、俺が一緒に飯食ったって」
「あ、うんうん、でももう僕ら食べ終わるとこ」
「まあまあ、もっとデザート食べなよ」
デザート。その言葉に反応して、僕はまた赤くなりそうになる。
その僕に気がついたのか、珠希をちらっと見ると、珠希も僕を見ていて、思わずふたりで笑った。
「へえー、幸せなんだ? ふたりとも」
そんな僕らにマコ兄が言う。
見ると、すごく優しい顔でマコ兄が微笑んでいて、からかわれているようでもなかった。
「うん、幸せだよ? ね? 珠希」
珠希は僕ににっこり笑ってうなずく。
「ええ、幸せです」
「そっか。よかったな、珠希」
マコ兄は珠希の顔を見ると、さっきまでの冗談めかした顔じゃなくって真剣な顔でそう言った。
「なんだ、空也とあゆはいないのか」
「空也先輩はもう食べ終わって、あゆは今日友達と食べてる」
「そっか。じゃあまた今度一緒に食べような」
そう言うとマコ兄は椅子から立ち上がった。
「今日は一緒に食べないの?」
「ああ、またなノン」
不思議に思って聞いたけど、マコ兄はにっこり笑って僕の方へ来ると、頭をくしゃくしゃっと撫でて出て行った。
僕は不思議に思ってその後ろ姿を見送った。
「のぞみ」
そっと暖かい手に手を包み込まれた。テーブルに頬杖をついた珠希が隣から僕をのぞき込むように見ている。
「前に、つらいことがあった時。空也にもずいぶん励ましてもらったけど、学園長にもいろいろ相談に乗ってもらったんだ」
珠希がなんだか恥ずかしそうにそう言った。
きっと、水沢さんのことを言ってるんだって分かったけど、前みたいな複雑な気持ちにはならない。僕は、ほんの少しだけ強くなれたから。
そっか。だからさっきマコ兄は珠希によかったな、って言ったのか。
きっとマコ兄は僕らのことが心配で、見に来てくれたんだね。
それに……
「珠希、幸せなんだね」
さっきは聞き流したけど。
声に出して、噛み締めた。
「そうだよ、希のおかげだよ」
珠希が握った手にきゅっきゅっと力を入れる。
「へへっ」
嬉しくってくすぐったくって、僕はくすっと笑った。
「でも……」
顔を上げると、真剣な声で珠希が続けた。珠希がテーブルから体を起こして、僕に近づいて来る。
「デザートがまだ途中だったから、ちょっと不満だった」
その瞬間思わず笑いがこみ上げたけど、すぐに最高のデザートに夢中になって、僕のくすくす笑いはどこかへ消えてしまった。
くすくす笑ってた珠希が急に大人っぽい表情でそう言って、僕は息が止まりそうになった。
珠希の手のひらがそっと僕の髪に触れたかと思うと、少し力を込められて促される。
促された、っていうよりも、僕はその珠希の引力に引き寄せられて行った。
唇が触れる。柔らかな珠希の唇が何度かそっと触れると、舌が割って入ってくる。
一緒に食べていたチョコレートジェラートの味がした。
デザート……その珠希の声がぼんやりと思い浮かんだ。
頭の芯がしびれるような気持ちよさで、それもすぐに霞んでいく。
珠希の手のひらに導かれて、キスはより深くなって行く。
「ん…」
唇から、ため息と声が漏れる。
きもちいい……
「よっ!!」
ガチャッと扉が開いた音と勢いよく掛けられた声で、僕はびくっと体を震わせた。珠希も驚いて腕を緩める。
「うあー、まじで? 見たくなかったー、すげえショック」
その声に、聞き覚えがあった。
「ま、マコ兄ぃ!?」
「ノン、久しぶりの再会でまさかこんなとこ見せられるとは、お兄ちゃんショックだよ」
「あ、えと、その」
僕はなんて答えたらいいのかわかんなくって、もじもじする。
だって、見られた! おもいっきりキスしてるとこ! 恥ずかしすぎる!
マコ兄はおもしろそうに笑ってるけど。
珠希が腕を緩めていたから、僕はその膝から降りて自分の椅子に戻った。
「どうしたんですか? こんなとこまで、学園長」
珠希がため息混じりに答える。
「うあーかわいくねー、なにその態度、珠希ちゃん」
「べつに」
べつに、って答える珠希がなんだかふて腐れてるみたいで、状況を忘れて思わず僕は笑いそうになった。
「かわいい従兄弟ちゃんたちと食事しようと思って来ただけだよ、いいだろ? 別に」
「まあ、いいですけど」
「なんだよ、なー? いいよな? 希、俺が一緒に飯食ったって」
「あ、うんうん、でももう僕ら食べ終わるとこ」
「まあまあ、もっとデザート食べなよ」
デザート。その言葉に反応して、僕はまた赤くなりそうになる。
その僕に気がついたのか、珠希をちらっと見ると、珠希も僕を見ていて、思わずふたりで笑った。
「へえー、幸せなんだ? ふたりとも」
そんな僕らにマコ兄が言う。
見ると、すごく優しい顔でマコ兄が微笑んでいて、からかわれているようでもなかった。
「うん、幸せだよ? ね? 珠希」
珠希は僕ににっこり笑ってうなずく。
「ええ、幸せです」
「そっか。よかったな、珠希」
マコ兄は珠希の顔を見ると、さっきまでの冗談めかした顔じゃなくって真剣な顔でそう言った。
「なんだ、空也とあゆはいないのか」
「空也先輩はもう食べ終わって、あゆは今日友達と食べてる」
「そっか。じゃあまた今度一緒に食べような」
そう言うとマコ兄は椅子から立ち上がった。
「今日は一緒に食べないの?」
「ああ、またなノン」
不思議に思って聞いたけど、マコ兄はにっこり笑って僕の方へ来ると、頭をくしゃくしゃっと撫でて出て行った。
僕は不思議に思ってその後ろ姿を見送った。
「のぞみ」
そっと暖かい手に手を包み込まれた。テーブルに頬杖をついた珠希が隣から僕をのぞき込むように見ている。
「前に、つらいことがあった時。空也にもずいぶん励ましてもらったけど、学園長にもいろいろ相談に乗ってもらったんだ」
珠希がなんだか恥ずかしそうにそう言った。
きっと、水沢さんのことを言ってるんだって分かったけど、前みたいな複雑な気持ちにはならない。僕は、ほんの少しだけ強くなれたから。
そっか。だからさっきマコ兄は珠希によかったな、って言ったのか。
きっとマコ兄は僕らのことが心配で、見に来てくれたんだね。
それに……
「珠希、幸せなんだね」
さっきは聞き流したけど。
声に出して、噛み締めた。
「そうだよ、希のおかげだよ」
珠希が握った手にきゅっきゅっと力を入れる。
「へへっ」
嬉しくってくすぐったくって、僕はくすっと笑った。
「でも……」
顔を上げると、真剣な声で珠希が続けた。珠希がテーブルから体を起こして、僕に近づいて来る。
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その瞬間思わず笑いがこみ上げたけど、すぐに最高のデザートに夢中になって、僕のくすくす笑いはどこかへ消えてしまった。
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