白樫学園記

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5■萌える緑☆恋する季節? SIDE:希(了)

21.熱視線

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「希?」
起こさないようそっとドアを閉めたのに、声が聞こえた。
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん、少し前、目が覚めた」
 ベッドに行くと、珠希が体を起こしていた。
 珠希のおでこに手を当てる。
「ちょっと、下がったかな」
「うん。ずいぶん楽になったよ。どこ行ってたの?」
 ちょっと珠希が寂しそうに見えて、なんだか嬉しくなる。
「部屋に、着替えに戻ってたの」
「お風呂、入った?」
「うん」
 珠希は僕のまだ少し濡れてる髪に手を通す。
「僕も入りたい。すごい汗かいた」
 珠希はそう言うけど。
「だめだよ、まだお風呂は無理だよ」
「でも気持ち悪い」
 珠希は汗のたっぷりしみ込んだTシャツを体から剥がして言う。
「じゃあ、着替えよ? で、タオルで体拭いてあげるよ。ね? それでいい?」
 僕は小さい頃に自分が母さんからしてもらったことを思い出して言った。
「え、あ……うん、わかった。そうする」
 珠希は困った顔をしてから考えて、うなずいてくれる」
「いい子」
 そう言って僕は笑って珠希の頭を撫でた。
「ほんと、希には負けるよ」
 珠希は笑いながら自分の手で顔を覆った。
「じゃ、僕用意してくる。チェスト勝手に開けてもいい?」
「うん、いいよ」
 僕はお湯をはった洗面器とタオル、それと着替えのTシャツを持って戻った。
「すごい汗。これじゃよけい酷くなるね」
 珠希のTシャツは汗でぐっしょり濡れている。
 でも、そうやって喋っている間にも、僕は珠希の体から目を離せなかった。球技音痴で、普段だって運動してるようには見えないのに、珠希の胸もお腹も、筋肉がしっかりついていて、きりっと筋が刻まれている。
「希、見過ぎ」
 そう言われてびくっとして見上げると、はにかんだように笑う珠希が僕を見下ろしていた。
 熱のせいだと思うけど、珠希の目が潤んでいて、すごく熱かった。
「じゃ、拭くよ」
 そう言って僕はお湯を絞ったタオルを持って珠希の後ろに回った。
 それ以上その視線に耐えられそうになかったから。


「珠希、鍛えてるの? 体」
「うん、一応。体育の授業だけじゃ体あなまるから、ときどきトレーニングルーム行く」
「そっか。僕もなにかしよっかなー。いいなあ、僕も珠希みたいに筋肉付くかな」
 背中を拭き終えて、前に回る。腕を拭いて、肩、胸。
「でも僕筋肉付きにくいんだよね。どうしてだろ、中学の時だって卓球部でみっちりしごかれたし、筋トレだって毎日させられたのに、僕だけ腹筋ほんの少ししか割れなかったし……」
 僕が話してる間、珠希が一言も喋らないのを不思議に思って目を上げると。
 珠希が眉間にしわを寄せてるのに気がついた。
「珠希? どうしたの? 苦しい?」
「……え、あ、ううん、大丈夫」
 変な珠希。そう思いながら、タオルを胸からお腹に向かって下ろす。
「……ん、」
 ……?
 珠希から、小さな呻き声が聞こえてきて、それから小さな息が漏れた。やっぱり苦しいの?
 そう思って目を上げる。
「ご、めん、突っ込まないで、気にしなくていい」
 そう言って片手で顔を覆う珠希に驚いて、目を下ろすと、つくん、と赤く尖った膨らみが目に入ってきた……。
 熱を計ろうとした時のことがフラッシュバックする。
 !!!
 そ、ういうこと?
「へ、んなたまきぃー、ほら、早く着ないとぶり返すよ、ね」
 そう言って僕はTシャツを無理矢理珠希の頭から被せた。
 自分でも顔が真っ赤なの、分かってるんだけど。
 だって、僕まだ珠希とそういうこと話すの、準備出来てないよ。
「あ、うん。もうちょっと寝ようかな」
 珠希もTシャツに袖を通して頷いた。ベッドに寝かせて、首までしっかり布団を掛ける。
 珠希の頭に冷たいタオルを乗せる。その顔が赤いのが、熱のせいなのかそうじゃないのか、分からなかったけど、僕は黙っていた。
「部屋にあるもの、なんでも好きに使っていいから」
 そう言って珠希は目を閉じた。


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