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31因縁の対決
しおりを挟む黒狐家の当主が、私たちの目の前に立っていた。
「まさか、あの鯰を操っていたのはお前か」
瑠生が歯を食いしばる。
「ふふふ、そうとも」
当主は薄く笑みを浮かべる。
「キナ、気をつけろ。こいつは只者じゃない」
不知火が警戒の声を上げる。
私は黙ってうなずいた。
確かに、当主からは尋常ではない気配が漂っている。
「さて、白狐家の姫君よ。お前の力、存分に見せてもらった」
当主が私に向かって手を伸ばす。
「さあ、我が家に来い。お前の力は、黒狐家のものだ」
「断る」
即座に答える。
「私の居場所は、ここよ」
瑠生が私の肩に手を置く。
「そうだ。如月はもう、お前たちのものではない」
当主の表情が一瞬険しくなる。
「愚かな……」
彼の周りに、黒い霧が渦巻き始めた。
「ならば力ずくでも連れ帰る!」
霧が私たちに向かって襲いかかる。
「させるか!」
瑠生が刀を抜き、霧を払う。
不知火も弓を構え、光の矢を放つ。
「無駄だ」
当主の声と共に、霧が私たちを包み込む。
「くっ、見えない!」
不知火の声が聞こえる。
私は目を閉じ、心の中の力に集中する。
すると、体が再び淡い光に包まれ始めた。
「これは……」
当主の驚いた声。
光が強くなり、霧を押し退けていく。
「なんという力だ……」
当主の声に、驚きの色が混じる。
霧が晴れ、私たちの姿が再び現れる。
「如月!」
瑠生が私に駆け寄る。
「大丈夫よ」
私は瑠生に微笑みかける。
「さて」
私は当主に向き直る。
「もうやめにしましょう」
「なに?」
「この争い、もう終わりにしましょう。白狐家も黒狐家も、本来は同じ家族だったはず」
当主の表情が複雑に変化する。
「甘いな、お前は」
「甘くはないわ。ただ、こんな争いに意味はないと思うの」
私は一歩前に出る。
「私の中には、白狐と黒狐、両方の血が流れている。それは、二つの家が一つになれる証拠」
「馬鹿な」
「本当に馬鹿なのは、血筋だけにこだわる古い考えよ」
私の言葉に、当主が息を呑む。
「お前……」
「さあ、和解しましょう。これ以上、無駄な争いは避けるべきです」
私は当主に向かって手を差し伸べる。
「如月」
瑠生が私の背中に手を置く。
「俺も同感だ。もう、争うのはやめよう」
不知火も頷く。
「確かに、こんな争いをしていては、本当の敵と戦えないしな」
当主は、しばらく私たちを見つめていた。
その目に、何かが宿り始める。
「まさか、こんな日が来るとは……」
当主が、ゆっくりと私に手を伸ばす。
その瞬間。
「父上!やめてください!」
突如、刻塚の声が響く。
振り返ると、刻塚が大きな刀を振りかざして、当主に襲いかかろうとしていた。
「刻塚!」
私は思わず叫ぶ。
その時、予想もしなかった光景が広がった。
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