西さんは今日もせっせとマウスの世話をする

九丸(ひさまる)

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さあ、決戦の日だ!続き

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僕が席に戻ると、角さんが早速突っ込みを入れてきた。
「アンちゃん、ちょっと長すぎない?  斉藤さんと何話してたの?  」
「今やってるアニメの話で盛り上がりまして」
僕は適当な返事をしておいた。まさかふられたとも言えまい。

隣の西さんの視線も痛い。
「西さん、飲んでる?そろそろ次に行こうか?  皆さんもせめて今日はうちにも来てくださいよ。売り上げないから」
「大丈夫だよ。行くよ俺は」
西さんがボソッと呟いた。

角さんも乗ってくれて、斉藤さんが帰ってきたら、うちに来ることになった。

僕は準備があるので先に行ってますと、席を立ち、店の入口に向かった。お金は多目に西さんにそっと渡してある。奢ろうが割り勘だろうが好きにしてくださいと。

ちょうど入口に差しかかった時に、斉藤さんが帰って来た。これからのことを伝えたら、斉藤さんも了承してくれた。そして、下までお見送りに出てくれた。

僕は何となく、今日は気にいった人がいたかを聞いてみた。
「アンちゃん以外だと、西山さんかな」
はい?

僕のビックリした顔を見て、斉藤さんは笑いながら答える。
「アンちゃんみたいに、何でも察してくれて共感力高い、器用な人はもういいかな。あんなに不器用で正直な人は、何か新鮮だったから。それに職業も安定してそうだしね」

僕は苦笑いで、その場を後にした。
西さんに対しては、すいません、絶対応援しないですと、斉藤さんに対しては、今のところはねと、両者に呟きながら。

店で待ってると、以外とすぐに皆さんが到着した。

僕はドリンクを作りなが観察していると、角さんは酔ってぐだぐだになって、佐々木さんと新井さんに話しかけていた。いつもの光景である。ごめんなさい、佐々木さん、新井さん。

西さんと斉藤さんは二人で話が盛り上がってるようだった。まあ、一方的に西さんが話してるだけのようだが。

日付も変わろうとする時間になったので、この場は御開きにすることに。

一応皆で連絡先の交換をする。僕も未練たらたらで斉藤さんとも交換をする。

外まで皆さんを見送りして、店のカウンターに一人座りながら、ふと思う。
これが、勝負に勝って試合に負けるということかと。

それが正しいかどうかも考えるのが面倒になり、ちょっと早いが、帰り仕度を始めた。
「帰って寝ましょ」
呟きが自然と漏れていた。
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